Part 1 環境への影響

自然と髪の毛を大切にする人へ。

Part1は主に環境への影響について、Part2は人体への影響について書かれています。

合成シャンプーで髪の毛が痛むのか、地肌に悪いのか、 そして何よりハゲるのかということについて知りたい人はPart2からどうぞ。

1.1 Introduction

例の「買ってはいけない」という本を読んでいたら、「シャンプーが髪に悪くてせっけんなら良い」 とかいう項がありました。 なに〜!?髪の毛に悪い?? 髪に悪いと言うことは、抜け毛が増えるということなのか? ってことは・・・もしかしてハゲるのだろうか?

世の男子一般の例にもれず、シャンプー時に手についた抜け毛を見て「・・う〜む」と思ったことがある私としては、 やや動揺して、というか興味をそそられて

「普通のシャンプー(合成界面活性剤入りシャンプー)は
髪の毛や頭皮に悪いのか?」

ということについて調べてみることにしたわけです。
(参考にしたサイトはリンクのページにあげてあります)

調べてみたところ、だいたい2つの意見に分かれているとわかりました。
まず「シャンプーとリンスは髪や頭皮(人体)に危険だ」という意見。
これは「シャンプーとリンスは合成界面活性剤で、この合成界面活性剤こそが諸悪の根源だ」という論調のものが多いです。
 もう一つは「合成洗剤だって進歩してきていてせっけんに劣らない、せっけんばかり使うことこそ問題になる」というものです。

つまり「せっけん派」対「合成界面活性剤(合成洗剤)派」という対立があるようだとわかりました。 しかしややこしいことに、その両者の言っていることに食い違う点があるのです。

例えば、せっけん派には

「合成洗剤は生分解性(微生物により無害な物質になるときの分解されやすさ)が悪く、せっけんは天然資源から作るので生分解性が良い」

という意見があります。これに対し合成洗剤派は

「今の合成洗剤はせっけんと同じくらい生分解性が良いし、 むしろせっけんカス(脂肪酸のカルシウムまたはマグネシウム塩。 せっけんで体を洗ったスポンジを濯いだ時に水に浮くやつ) のほうが分解しにくく、皆がせっけんを使うようになったら下水管がせっけんカスでつまる」

と反論します。

それに対してせっけん派は

「せっけんカスは微生物の食べ物になるのですぐに分解される」

と反論する、という具合です。
これじゃあ、素人の私には何が正しいのかわかりません。
(この問題についての答えはこちら)

そこで、せっけんと合成洗剤の環境への負荷、 髪や頭皮への影響について調べてみた結果を 簡単に説明しようというのがこのページの趣旨です。
そもそもこういう二極型が単純すぎると思うんだけど・・・

さて、この「せっけん派対合成洗剤派」の話は、大雑把には「環境への影響」と「人体への影響」という2つの話に分けられます。 このPart1では「環境への影響」について書くことにします。

とりあえずいろいろ情報を集めてみました。 結果、第三者的な立場の研究機関による 研究報告を見つけることができました (東京都環境科学研究所の研究内容報告)。

以下まとめてみます。
結構細かいので、だいたいのところがわかればいい、という人は「まとめ」だけ見てもOKです。

1.2 界面活性剤の生分解性

興味がある人だけどうぞ。細かい人にこだわらない人は飛ばして下さい。

界面活性剤は、親水基の電離極性により

という風に分けられます。
良く使われるのは陰イオン界面活性剤で、次が非イオン界面活性剤です。残りはあまり使われていません。
そのうち代表的なものをあげます。

○陰イオン界面活性剤の例

  • ABS:分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(現在使用されていない)
  • LAS:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(使用量が一番多い界面活性剤)
  • AES:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩
  • AOS:α一オレフィンスルホン酸塩
  • AS:アルキル硫酸エステル塩

○非イオン界面活性剤の例

  • AE:ポリオキシエチレンアルキルエーテル

河川水中での生分解性はASが最も速く、次いでAESとAOS、LAS、一番分解が遅いのがABSです。
つまり早い順に並べると

  AS(≒せっけん)>AES≒AOS>LAS>ABS

ということになります。
非イオン界面活性剤AEも生分解性は良いです。

生分解性は温度にも依存し、合成界面活性剤のなかで一番使用量の多いLASは高水温(25°C程度)では比較的すみやかに分解されます(2〜3日)が、 低水温域(15°C以下)では分解されにくい(6〜7日以上)です。

合成洗剤は以前は生分解性の悪いABSが主体でした。
しかしそのことが判明してからは、生分解性の比較的よいLASを主体に切り替えています。
このことを、「洗剤のソフト化」と言います。
(生分解性については、よくLASが7日かかって分解されるがせっけんは1日で分解されるというが、 これはおそらく低水温域でのものなのでしょう。しかしこのことはこの報告には入っていません)

ここまでは河川に直接流入した場合でしたが、下水道から生物処理を施された時の生分解性はどうでしょうか。

「下水処理場におけるMBASの除去率は98%(1993年度)、合併処理浄化槽*5におけるMBASの除去率は、低水温期でも96%との報告があります。 これらのことから、陰イオン界面活性剤は、生物処理により、効率良く分解されることが分かります。」

MBASとは陰イオン界面活性剤による汚れ具合の指標と言えます。
つまり下水道が整備されることにより、河川に合成界面活性剤を含む廃水は流れにくくなったということです。
しかしこのデータを「おお、96〜98%も除去されるのか。すごいすごい」と見るか、 「残りの2〜4%はどうなの?どんどんたまっていくんじゃないの?」と見るか、 こちらに判断の余地があります。
せっけん寄りの話では、東京湾の底にはLASの層ができているそうです。

結局のところ、せっけん派の主張に見受けられる、「せっけん派生分解性が良く合成洗剤は悪い」という意見は、 下水の整備されていない地域についてはその通りですが、されている地域についてはそれほどの差は出ないことになります。

1.3 界面活性剤の魚毒性

ここも細かいことなので、興味がない方は飛ばして結構です。

界面活性剤の中では、石けんが全般的にみて最も毒性が低いという結果になっています。 毒性にも急性毒性長期毒性があり、当然長期毒性の方が低い濃度で影響が出ます。 これはアルコール中毒で考えるとわかりやすいですね。
すると河川での影響を考えた場合、問題となるのは長期毒性の方です(長期毒性で影響が出なければ、急性毒性も出ないでしょう)。

結果を見てみます。淡水魚におけるLASの最大無影響濃度の大まかな目安と、MBAS濃度を比較してみると、


「一部の中小河川は魚類の生息にとって好ましくない状況にあると言え、これらの河川では水生生物の回復のための施策の実施に当たって、 界面活性剤濃度の低減にも努める必要がある」


とのこと。
つまり「毒性の高い界面活性剤は川に魚を住みにくくしている」ということです。

上の項のことも考えると、やはり分解されやすいものを使った方が無難だろう、と言うことになります。

1.4 まとめ

 「合成洗剤中の界面活性剤については、ソフト化、無リン化といった水辺環境への影響を少なくする対策がとられてきた。 この結果、界面活性剤の生分解性は向上し、下水処理場等において高効率で除去されるようになり、 下水道の整備や合併処理浄化槽の普及など生活排水対策の進展により、河川水中の濃度も改善されつつある。

 しかしながら、界面活性剤は、魚類等水生生物にとって望ましい物質ではなく、私たちが多量に使用すれば、 下水処理場等で処理しても、処理しきれない分が水生生物に悪影響をもたらすことになる。

したがって、水辺環境の改善・向上のためには、今後とも、生分解性の良い石けんや合成洗剤の適量使用、下水道の整備や合併処理浄化槽の普及など、 生活排水対策の推進に努めるとともに、界面活性剤自体も、より生分解性が良く、 水生生物への影響の少ないものへの転換を目指すことが必要と考えられます。」

つまり、下水処理施設によって合成界面活性剤はよく分解されるが、あくまで界面活性剤は環境にとって有害な物質であるため、 下水が整備されていない地域はもちろん整備されている地域でもなるべく生分解性のよいもの(せっけん、あるいは生分解性のよい合成界面活性剤)を、 適量の範囲で使っていくべきだ、ということです。

せっけんにも、分解されにくいエデト酸を出すエデト酸塩などの物質を使っているものもありますし、合成洗剤だから、 とひとくくりにする必要はないのです。

しかしまだ合成洗剤に含まれる物質すべてについて、環境に与える影響が分かっているわけではありません

これもまだよくわかっていないそうなのですが、金属封鎖剤の問題があります。 これは硬水中の金属イオンによる製品の変質を防ぐものですが、本来川に溶けているはずの金属イオンをまとめてしまいます。 これにより、魚の体内に通常よりも多い金属イオンが入ってしまい、それを食べる人間にはもっと多くの金属イオンが入ってくる(生物凝縮)ということも考えられるそうです。

また資源の面から見ると、ヤシ油を使うせっけんは環境に負荷を与えていて、 石油製品の合成洗剤の方が環境負荷が小さいと言う話があります。 これは私調べた限りでは、プランテーションで森林を拓くのはパーム油で、 海岸沿いで栽培するヤシ油の方が負荷が少ないということです。

ですから、なるべく今まで長く使われてきて、環境に与える影響がわかっているものを使うに超したことはない、といったところでしょう。 ただ、個人的にはせっけんを使う理由を環境面には求めないほうがよいと思います。 何もかもせっけんがよい、という考えは視野を狭めてしまいます。 せっけんは決して万能ではありません。

さて、ここまでは主に「環境への影響」という点について述べてきました。
個人的には髪の毛(特に頭皮)への影響も大事なので、そこのところはどうなっているんだろう?

というわけで、気になる髪の毛への影響などについてを次のページで説明します。

Part 2 人体への影響

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このブログ記事について

このページは、2000年4月 4日 17:56に書かれたブログ記事です。

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