感想メモ:「世界金融危機」のカラクリ

★★★★☆

アメリカ、イギリス、フランスは、
対外純資産残高がマイナス、つまり借金が多い。
特にアメリカは世界一のマイナス。
にも関わらず、国としての所得収支はプラスなのだそうだ。

世界一借金漬けのアメリカが、
世界一のカネ貸しの日本より、
金利などをたくさん稼いでいるのです。(p40)

なぜ?

アメリカという国は、政府が国債で海外から資金を集め、
民間企業がそれを対外直接投資に回しているという感じです。
…日本は対外直接投資に消極的な国だといえます。(p55)

直接投資によって高い利益率で海外ビジネスができるからこそ、
アメリカは所得収支の黒字を維持・拡大できたのです。(p66)

アメリカの主要な稼ぎどころは、
一般的なイメージである証券投資ではなく、
海外ビジネスこそがメインエンジン、
ということであるようだ。

借金の問題で言えば、日本に関してはどうなのだろうか?

政府の借金と、対外的な借金では、
後者の方が深刻だということがベースだ。

日本は世界一の対外純資産残高を誇っています。
日本は、対外純資産残高のマイナスがひどいギリシャなどと
並べて論じられるような国ではありません。(p95)

他にも

  • ユーロ圏内でドイツが独り勝ちしている理由
  • PIIGSの問題となっているのは何か
  • ユーロ圏内でも為替レートが存在している
  • 日本が貿易収支の赤字を維持すべきである理由

など、興味深いトピックが詰まっていた。
会計の知識がないと、ちょっとつらいかもしれないが、
読めればかなりおもしろい本でした。