感想メモ:ラストホープ 福島孝徳

ラストホープ 福島孝徳 「神の手」と呼ばれる世界TOPの脳外科医
ラストホープ 福島孝徳 「神の手」と呼ばれる世界TOPの脳外科医
  • 発売元: 徳間書店
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2004/03/20

★★★★★

ゴッドハンドと呼ばれる、脳外科医福島孝徳氏。

彼一人が年間にこなす手術数は、他の日本人全体の手術数を上回る。
更に、手術の成功率も抜群。
一体どうしたら、彼のような人ができるのだろうか。

才能、というのは必要条件だろう。
福島氏の場合、天性の手先の器用さというのはまずある。
そして尽きることのないエネルギー。これも天性のものだろう。

しかし、才能だけではこれだけの実績は残せないと感じる。
イチローにしても高橋尚子にしても、才能+たゆまぬ努力があってこそ、
天才と言われる実績にたどり着くのだろう。

その努力を支えるのはなんだろう。
そのヒントは福島氏の以下のセリフにある。

・Passion(情熱)
私の人生そのものがパッション。全身脳外科人生です。

・Love(愛)
天職としての脳外科を愛しています。もちろん妻や子を愛していますが、妻には「あなたは脳外科と結婚したひとよ」と言われたりします(苦笑)。

・Happiness(幸福)
自分がやりたいと思うことを続けてきて、こんなにもうまくいっている。そのことに幸せを感じるし、日々神様に感謝しています。

・成功(Success)
手術をして
最高の結果が出ること。それが私にとって唯一のサクセスです。

・Growth(成長)
一日一日、少しでもいいから進歩したい。どうやったら自分の手術がもっと良くなるかをいつも考えてます。それをやめたら私の成長は止まってしまう。

情熱。

これこそが、福島氏の努力を支えているものの正体だ。
自分がやりたいことを、愛していることをやり、その上で結果を残している。
おそらく彼は、人生幸せだと感じていることだろう。

「成功者の話を聞いても、自分の成功とは関係ない」
という意見もある。しかし私は反対の立場だ。

なぜなら、成功者の話には共通点が見られるということは、
進むべき方向はわかるということだからだ。
到達することは難しくても、近づくことはできる。
実行が難しいのと、不可能であるのとは全く別の話だ。

福島氏の言うように、
「一日一日、少しでもいいから進歩したい」
この気持ちを持ちながら生きていくことが大事なのだろうと感じた。
自分は、今日、少しでも進歩したか?
こう問いかけるだけでも意味がありそうだ。

他にも、医療制度に関する話もおもしろい。
私は、以下のように考えていた。
医療現場の労働環境が過酷なのは医者不足が原因なのだから、医者を増やせばいい。
でもそれは、医療業界側が絞ってきたという側面もある、と。

しかし福島氏の意見はこうだ。
日本は医学部に入った人のうち100%に近い人が医者になる(ドイツやフランスは10%程度)。
従って、数は足りている。ただ、カリキュラムに問題があり、
臨床の経験が不足している医者が大量に生まれている。
医者が足りないと感じられるのは、一部の限られた病院に医者が集中しているから。

氏の提案は以下の通り。
医学部は数を減らし、質を向上させる。
カリキュラムを刷新し、臨床経験を多く積ませる。
具体的には、一般教育と基礎医学過程を4年から2年に縮め、臨床を2年から4年にする。

ということで、いろいろとためになる良い本だった。★5つ。

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です