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感想メモ:運動脳

★★★★★

運動をすれば心が落ち着き、
ストレスにも強くなる。
そして記憶力や創造性、集中力といった
認知機能も高まる。

体を活発に動かした人の脳は
機能が向上し、加齢による悪影響が
抑制され、むしろ若返ると判明したのだ。

結論:運動は脳に良い

良いことは他にもたくさんある。

  • 病気になりにくい(コロナでも重症化リスクが50%減)
  • 脳の海馬の細胞が加齢で減らずに増える
  • 不要な食欲が抑えられる
  • 記憶力が高まる
  • 集中力が高まる
  • 成績が良くなる
  • アイデアが出やすくなる
  • ストレス耐性が上がる
  • うつ病が改善する
  • 認知症の発症が4割ほど減る

もう大義名分の塊。
運動しないでいいことがあろうか、いやない(反語)

では、上のようなメリットを享受するには、
どれくらいの長さで、どれくらいの運動をすればいいのだろうか?

理想的な心拍数の目安は、
最大心拍数(220から年齢を引いた
数字)の70〜75%だ。たとえば、
あなたが40代であれば、1分あたり
130〜140回を目標にするとよい。
運動は朝にしよう。
可能であれば30分続けてみよう。
そして運動を習慣にしよう。

おすすめは
ランニングやスイミングなどの有酸素運動
少なくとも20分。体力に余裕があれば30〜45分
週に少なくとも2、3回は心拍数が
大幅に増えるような運動を
(難しければただ散歩でもいい)

ただ、ハードルを上げると挫折してしまうので、
完璧にやろうとせずに気軽に取り組もう。

体を動かすのであれば
どんなことでも有効であり、
その一歩一歩が脳にとって価値がある。
いつ、どこで、何をするかは
大した問題ではない。

という気持ちでいいと思う。
エスカレーターではなく階段を使う、
ちょっと歩く、そんなことでも、
やらないよりもやった方が良い。
脳の細胞は何歳になっても増えていくのだから。

他にも、勉強の効果や集中力も、
運動で上がるというのが興味深かった。

運動をした直後にドーパミンの分泌量が
増えることがわかっている。
運動を終えた数分後に分泌量が上がり、
数時間はその状態が続く。
そのため運動後には感覚が研ぎ澄まされ、
集中力が高まり、心が穏やかになる。

身体に負荷を与えると、
脳はそれが生死を分けるほど重要な
行動だと解釈するのである。
そして結果的に集中力が高められるのだ。

週に3回、40分、早足で歩くだけで
毎年0.5〜1%縮んでいく海馬が
2%ほど大きくなっていた!
これは記憶力の改善を意味する

持久力系のトレーニングを定期的に
3ヶ月続けた場合、単語を暗記できる
能力がかなり上がるという結果が出た。

もし暗記力を最大限に上げたいのであれば、
運動と暗記を同時に行うことをお勧めする。
ただし、疲労を覚えるほど運動すると、
かえって逆効果になる。

「暗記の能力」は、筋力トレーニング
ではなくランニングによって高められる
ことがわかっている。だが、「連想記憶」は、
筋力トレーニングで高まるという。

学校でも職場でも、
立って作業すると脳が効率よく働くのだ。
立ち机を使うと、テストの結果が平均で
10%も上がっていたのである。

ということで、運動しよう。

感想メモ:PIXER 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話

★★★★★

PIXERと言えば、
トイ・ストーリーやファインディング・ニモ、
カーズなど、数々の3DCGアニメをヒットさせた会社。

と同時に、アップルから追い出されたスティーブ・ジョブスが、
ネクストの次に経営し、IPOで復活を果たした会社、
畑違いの業界でも結果を出すとは、ジョブスすげーなー、
というのが、浅い私の理解だった。

この本の著者は、スティーブ・ジョブスから誘われ、
PIXERのCFOとなったローレンス・レビー氏。
前職はシリコンバレーの弁護士。

アニメーション映画事業というのは、
一本作るのに数年かかり、それが当たれば大きいが、
当たらなければ数年収入なし、という
リスクの塊のような事業。
そんな先の見えない事業を専業とするスタートアップが、
どうやってIPOを果たすのか?

IPOといっても、「お金がいっぱいもうかるやつ」
というくらいの知識のワタクシにとっては、
へぇ〜、IPOってこんなに大変なんだ〜、
という雰囲気も感じられ、
「あ〜、IPOね、アレ、大変だよね〜」
とニワカIPO通になることができた。

現実の話なので、結果はわかっているのだが、
当事者の視点で語られると、確かに簡単な話などでは全くなく、
むしろ異常にハードルの高いIPOだったようだ。
それを成功させた、経営陣の手腕はすばらしい。

ハラハラしながら、どんどん読み進められた。
訳者後書きにも書かれているが、
一般的に知られているスティーブ・ジョブス像とは、
違う一面が見られて、その点も興味深かった。

久しぶりに読書メモをしたためるくらい、おもしろかった。
オススメ。

感想メモ:意志力の科学

WILLPOWER 意志力の科学
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★★★★★

この本を読んで、「意志力」という概念を得た。

意志力が強い人は、成績が良いだけでなく、
犯罪を犯しにくく、結婚生活が長続きしやすく、
健康的な習慣が続きやすい
とのこと。

おお、意志力。かなり大事そうだ。

1 意志力の量には限りがあり、
それは使うことで消耗する
2 すべての種類の行動に
用いられる意志力の出所は
一つである

意志力は有限の資源で、使うと減ってしまう。
しかも、意志力は多くのことに使われるが、
出所は一つしかないと。

そして、意志力が減ってしまうと、
自制することが難しくなり、
衝動買いをしたり、選ぶのがめんどくさくなって、
勧められたものを選びやすくなったりするのだ。

普段できるはずのことがなぜかできない、
といったときは、意志力が減っているのかも?
と疑った方がいい。
この状態で何かしようとしても、
うまくいかないことが多い。
特に、大事な決断をするのは控えた方がいい。

ということで、この大事な意志力を、
なるべく減らさないよう、
上手に使うコツが紹介されている。

意志力が減少したサイン

  • 感情が増幅される
  • ふだんより不満を強く感じ、あとで後悔するようなことを言ってしまったりする
  • 飲食や消費の衝動がいつもより強く、抗うことができない

こういうものだとわかっていれば、
あ、今自分は意志力が減っているのだな、
と認識しよう。

休息をとったり、グルコースの補給をするなど、
対策を取ることができる。

意志力を上手に使うコツ

  • 意志力は練習で強化することができる
  • 一度に一つのことに絞って集中する
  • 意志力が減ったら回復させる→グルコースの補給
    • 緊急時:砂糖入りの飲み物を飲む
    • 通常時:タンパク質など健康的な食べ物を体に入れて30分待つ
  • 具合が悪いときは、大事な決定はしない
  • 疲れたときは眠る。よく休息したときの方が意志力は強くなる
  • 詳細な目標を設定し、自分の行動を監視して記録する
  • その記録を、他人と共有する
  • 宣言する(プリコミットメント)

いかに、意志力が高い状態に保つか、
という点が重要そうだ。

それには、

  • 手遅れになる前にきちんと休息を取ること
  • 根性でなんとかしようとしない
  • 計画を立てて日課や習慣にしてしまう

なんとなくはわかっていたことについて、
実験データに基づいた正確な知識を
手に入れることができた。
おもしろい本でした。

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感想メモ:潜在意識が答えを知っている!

マクスウェル・マルツ
きこ書房 2009-03-27
¥ 1,620

★★★★★

イメージトレーニングやセルフイメージについての本。
今でこそよく聞く?言葉だが、この本の出版は1960年で。
つまり、「セルフイメージ」の元祖っぽい本。
「道は開ける」「7つの習慣」にも影響を与えたそうだ。

著者は形成外科医。
整形手術をすると、引っ込み思案だった性格が変わり、
仕事もプライベートも大きく変化した、という患者さんが
何百人もいたそうだ。

一方、手術をして、気にしていた外見が
大きく変わったにもかかわらず、
以前と変わらず見た目を気にし続け、変化がない人もいた。

となると、重要なのは、見た目そのものではなく、
自分が自分をどう思っているか、
つまりセルフイメージの方なのではないか

と気付いたのが研究の始まりなのだそうだ。
そしてその仮説はその通りだった。

自己イメージを変えるようにと教えられただけで、
学生の成績にもセールスパーソンの売上にも
奇跡的な変化が起きたのである(p33)

後には、経営者やオリンピック選手の指導まで
するようになった、ということだ。

自分がどのようなセルフイメージを持っているのかは、
日常生活を送っているだけでは自覚しにくい。
それでいて、自分の人生に大きな影響を与えているようだ。

目標やターゲットの決め方、
それに対する気持ちの持ち方、
習慣の作り方…学べることはとても多い本。

時間を取って考えてみることは、
かけたコストの割にリターンが大きい、
割の良い投資となるだろう。

以下、メモを取ったところなのだが、
すごい量になってしまったので、
興味がある方はどうぞ。

人間というのは、自分を取り巻く環境についての
知識や信念やイメージに対して反応するのである。
物事の実像に対してではなく、
物事について抱くイメージに従って、
感じたり行動したりしているのだ。(p81)

自分を、「他人」の基準で判断するのはやめよう。
あなたは、「他人」ではないし、
「他人」の基準に達する必要もない。
「他人」もまた、あなたの基準には達しないし、
達する必要もないのである。(p105)

人間の行動や感情は、思い込みから生まれる
ということを記憶に止めてほしい。
あなたの行動や感情を生み出した
思い込みを取り払うためには、
自分自身に「なぜ?」と尋ねてみる。(p116)

幸福は、心の習慣であり、心の態度である。
そして現在身につけて実践しなければ、
決して味わえないのである…
完全に幸せになりたければ、
「何々だから」幸せというのでなく、
理由など持ち出さず、ただ幸せでなければならない。(p145)

他人を頑固で意地が悪いと思うより、
たとえ間違っていても誠実だと
信じるほうが、人間関係がずっと円滑になり、
お互いを分かり合えるようになる。
だからこう自問してみよう。
「あの人にはこれがどう見えるのだろう?」(p165)

自分に対して抱く感情は、
他人に対して抱く感情と一致する傾向にある…
人に対して思いやりを強くすると、
自分に対する思いやりも必ず増す。
人をそれほど重要でないと思えば、
自分のこともあまり尊重しなくなる。(p169)

自分を受け入れるとは、現在の自分を、
長所だけでなく短所や過ちもすべて、
ありのままに受け入れることだ。
ネガティブな要素は自分の属性であって、
自分そのものではないとわかれば、
自分を受け入れるのはやさしくなる。(p177)

虚しさを感じるのは、
創造的な生き方をしていない証拠だ。
自分にとって大切な目標がないか、
あるいは大切な目標に向けて
才能や努力を傾けていないかの、
どちらかである。(p199)

気にするべきものは、
他人ではなく自分の反応なのだ。
人間は緊張すると、怒ったり、
不安を覚えたり、傷ついてうらんだりする。
しかしリラックスして反応をやめると、
傷つかずにすむのである。(p210)

他人の発言(あるいは視線)の真意に心を悩ませて、
どれほど多くの時間を費やしてきただろうか?
あなたが気をもんでいる一方で、
当の相手はとっくにその出来事を忘れ、
いろいろな人や場所や物事に
関心を移しているものなのだ。(p231)

創造的な行動を意識的に起こそうと頑張りすぎると、
逆にそれができなくなってしまう。
ただ目標や最終的な結果を決めるだけのほうが、
ずっと簡単で効果的だ。(p274)

ネガティブな感情は、意識的な努力や
意思のパワーでは追い払えない。
だが、別の感情でなら追い払える。
ネガティブな感情を正面攻撃で駆逐できなくても、
ポジティブな感情に置き換えることで
結果的に駆逐できるのだ。(p279)

マクスウェル・マルツ
きこ書房 2009-03-27
¥ 1,620

感想メモ:メリットの法則―行動分析学・実践編

★★★★★

どんなに理不尽な行動でも、
習慣化している行動には、
その行動から受ける報酬がある。

その仕組みを理解することで、
自分の行動も、他人の行動も、
変えることができる。

「行動分析学」というものなのだが、
特徴は行動の「原因」だけではなく、
「結果として得られるもの」を分析するところ。

一日何十回も奇声をあげる子供がいる。
この子は、精神的に不安定、興奮する、
だから声を上げる、ということも言える。

しかしここでは、その結果を見る。すると、
「奇声を上げると母親が抱いてくれる」という結果
こそが、この子の行動を習慣づけている、
ということが見えてくるのだ。

従って、対策としては、
「奇声をあげたら母親がいなくなる」
「静かにしていたら母親が抱いてくれる」
というように、行動の結果からの調整を行う。
この方法で、この子は2週間で奇声を上げなくなったそうだ。

この行動の見方を「行動随伴性」と言う。
育児において絶大な力を持つのはもちろん、
大人に対しても、同じ効果を持つ。

この本で語られるのは、
好子(うれしいこと)・嫌子(いやなこと)
×
出現・消失

の4つの場合付けで、人間の行動の動機付けが
かなり自在に操れる、ということだ。

好子(いいこと)の出現、
嫌子(いやなこと)の消失は、
ともにモチベーションアップなのだが、
その中身は異なる。

好子出現→ポジティブな動機
嫌子消失→ネガティブな動機。ドーパミン

好子出現の方が、質の良い動機であると言える。
だからこそ、ムチは危険なのだ。

この本で語られる内容は、いわば
「外部報酬活用の精緻化」
と言える。

報酬主義をこえて」を読むと、
外部報酬は、内部報酬には勝てずイマイチ、
と思っていたのだが、そうとは限らないようだ。

好子出現は、最初は目的と動機がずれていてもいい。
行動しているうちに、随伴する好子が得られ、
行動自体が楽しくなるかもしれない。
そうなれば、それは内部報酬となる。

それでいいのかもしれない。

知っているのといないのとで、
自分に対しても、他人に対しても、
接し方が変わる力を持った本。
特に、育児をしている人には、
とても役立つ知識だと感じた。

最後に、ちょっと長いが、
なるほど、と思った部分を引用する。

DVや虐待やいじめにしても、
習癖や依存症や不安障害にしても、
あらゆる社会上の問題について、
当事者らがどう主張するかに
惑わされる必要はない。
ついつい、通常では理解できないような
行動をしている人がいる場合、
その行動をしている本人が言っていることが
真実であると思いたくなるかもしれないが、
ほとんどの場合、本人すら行動の機能に
気づいていないか、うっすら気づいていても
動機は隠したいものなのである。
したがって、行動の本当の原因を
しるために大切なことは、
その行動がどのような行動随伴性によって
増減してきたのか、
人それぞれの好子や嫌子を見極めることに
他ならない。

感想メモ:もっとシンプルに楽に生きることをはじめよう!

★★★★★

「本当にやりたいことがみつからない」

そんな漠然とした思いを持つ人は少なくないだろう。
かといって、具体的な行動を起こせるわけでもない。
そんな場合、その裏には別の感情が潜んでいるようだ。

本当は心の中で「失敗するのが怖い」と思っていると、
“やりたいこと”に向けて実際に行動することはない(p31)

なぜ怖いのか?
他人のモノサシが自分の基準になってしまっては
いないだろうか。

他者中心になっていく特徴的な思考は、
「しなければならない、してはいけない」
「したほうがいい、しないほうがいい」
この2点が代表である(p45)

「これでうまくいくのだろうか。
もしうまくいかなかったら、どうしよう」
などと、「思考」を基準にしている限り、
悩みの種は際限なく生まれていく(p108)

「思考」で「感情」を抑えつけてはいないだろうか?

感情や経験のレベルで抱く「実感(意識)が形になる」(p153)

思考で「やるべき」と思っても、
感情が「やりたくない」ことは、一向に進まない。
あるいは、進めるのに、多大な精神力を必要とする。
つまり、続かない。

相手の話は、単なる意見だ。
あなたがそれに従う必要はない。
相手の言葉は、相手のものだ。
あなたがそれに耳を傾けたくなかったら、
それを否定することも拒否することも、
戦う必要もない(p150)

自分の感情を基準にして、”いま”自分の眼の前にあること、
起こっていることに向き合って、”いま”感じるまま、
思うままに行動し、自分のために生きるだけでいい(p168)

「感情を大事にする」
ことの重要性を強く説く本だった。
同時に、シンプルな指針も与えてくれた。

自分を愛するための根本的原則は、
「それをしたいか、したくないか」
である(p193)

ということだ。
そして、これはとても大切なことだと、
私のゴーストがささやいている。

20代、30代の社会人に特にオススメです。

感想メモ:二宮翁夜話

二宮 尊徳,左方 郁子
徳間書店 1978-11
¥ 1,680

★★★★★

「修身講義録」「人生二度なし」の森信三氏が
思想上大きな影響を受けた本、という流れで読んだ。
これまた、大きな驚きだった。

そもそも、二宮金次郎というと、
銅像のイメージしかない。
しかしそれは、彼の一面を切り取ったものでしかない。

この巻を背負いつつ読書に励む金次郎の姿は、
全部が全部虚像というわけではないけれど、
これはあくまでその後、七十歳まで逞しく生き抜いた
六尺豊かな大男尊徳の出発点でしかないのだ(p26)

ということは、さっぱり知らなかった。

更に、二宮金次郎のすごさは、
実行を重んじた思想家である、ところにあったそうだ。

天に善悪はない。だから稲と雑草を区別せず、
種あるものをみな生育させ、生気あるものをすべて発生させる。
ところが、人道はその天理にしたがいながらも、
善悪の区別をつける… 人道はあくまで人が立てた道だからだ(p45)

人道は天意とは異なる。
人工的に作り上げる道だというの だ。

人道は勤めることを尊しとし、
自然に任せることを尊ばない。
人道で勤めるべきというのは、
己にうち克つという教えなのである(p52)

己にうち克つということは、
我が心の田畑に生ずる草を取り捨て、
我が心の米麦を繁茂させるよう勤めることをいうのである。
これが人道である(p52)

人道は天意ではない不自然なものだから、
放っておくと廃れてしまう。
だから、保つためには、勤めなければならない。

他にも、人生訓と言うべき言葉が並ぶ。

奪うことに益はなく譲ることに益がある、
譲ることに益があり奪うことに益はない、
これが天理だ(p113)

長く富貴を維持し保つ方法は、
ただ私が説く道、推譲の教えがあるだけだ(p119)

大事をなそうと欲すれば、
小さなことを怠らずに努力するべきだ(p173)

ちなみに、これは昭和53年の本!

まだまだ、読んでいない素晴らしい本が
たくさんあるのだろうなぁ。
出会えるのが楽しみだ。

二宮 尊徳,左方 郁子
徳間書店 1978-11
¥ 1,680

感想メモ:「人生二度なし」森信三の世界

神渡 良平
佼成出版社 2001-05
¥ 1,680

★★★★★

修身教授録がすばらしかったので、続いて手に取った。

こちらもすばらしかった。
人生に影響を与える一冊となる気がする。
こういう本と出会えるのは幸せだ。

前半は、森信三氏の人生を時系列で追った伝記。
後半は、氏に影響を受けた人々を紹介し、
間接的に森信三氏の影響の大きさを浮き彫りにしている。

森は、「いかに学問を積んだとしても、
それが現実を変革していく力になり得なければ、何の意味もない」
として、いっそう実学に傾斜していった(p52)

こう言える思想家が、どれだけいるだろうか。

日本を代表する教育界の偉人、
そして思想家にまでなった森信三が、
子どもの教育において何より重視したのが
「立腰」であるというのは、とても興味深い。

心は見えないから、まず見える体の方から
押さえてかからなければならぬ。
それゆえ、心を正そうとしたら、まず体を正し、
物を整えることから始めねばならぬ。
靴を揃えること一つが、いかに重大な意味を持つかわからぬような人間は、
論ずるに足りない(p303)

立腰は一切の事柄に先駆けて必要です。
それは人生において、その子に宝物を与えたことになります(p229)

そして教育においては、何より教師自身が、
いかに人生を真剣に生きているか、
その生き方が問われるとしている。

真実は感動を通してのみ授受せられる。
だがそれには、教師自身の生きた真理に対する
感動こそ、その根源といえよう(p291)

人間の偉さは才能の多少よりも、
自分に授かっている天分を、
生涯かけて出し尽くすかどうかにあるのです(p124)

これは、教師だけに限らず、
誰の心に切り込んでくる言葉ではないか。

「人生二度なし」

人生を良く生きたいという人には、
強くオススメします。

神渡 良平
佼成出版社 2001-05
¥ 1,680

感想メモ:4つのエネルギー管理術

ジム レーヤー,トニー シュワルツ
阪急コミュニケーションズ 2004-10-22
¥ 1,785

★★★★★

「パフォーマンスを左右するのは、
時間管理の前にエネルギーの管理」

「がんばってる感」と「パフォーマンス」は一致しない。
頭ではわかっていても、つい「がんばってる感」にひたってしまう。
残念ながらそれは、自己満足以外の何物でもない。

そのためのポイントが、
「パフォーマンスアップのための休息」
を意識的に取り入れるということ。

限られた時間に全力投球し、
そのあとは完全に心身を解き放って回復をはかるー
それからまた、新たな挑戦を続けていく。
これが理想形である。(p20)

ライフスタイルを変えるのは難しい。
そこで、儀式の力を借りる。

儀式の存在によって私たちには
無意識に行動できる領域が増え、その分、
主体的な判断が必要な部分にエネルギーを
集中的に注ぎ込むことが可能になるのである。(p24)

エネルギーは消費と回復のサイクルが重要。

「とびきりのアイデアを思いついたとき、
あなたはどこにいましたか」という質問がある。…
一番多かった答えは「シャワーを浴びていた」「ベッドの中」
「散歩をしていた」「音楽を聴いていた」などだった…
「仕事中だったと答えた人はほとんどゼロに近かった」(p145)

後半、本の内容は、人生において何を目標とするのか、
といったミッションステートメント的なところにも及び、
読み手によっては、人生を変える力を持った一冊。

なんだか疲れている…
自分をコントロールできていない気がする…

そんな人に特にオススメです。
スタンフォードの自分を変える教室」と併せて読むと、
更に理解が深まるでしょう。

ジム レーヤー,トニー シュワルツ
阪急コミュニケーションズ 2004-10-22
¥ 1,785

感想メモ:修身教授録

森 信三
致知出版社 1989-03-01
¥ 2,415

★★★★★

昔の日本人は、今の日本人が失いつつあるものを
持っていたように思う。
逆ももちろんあるのだろうが、失った部分ものの中に、
とても大事なものがあるような気がする。

それは、過去に日本を訪れた外人が、
驚きをもって本国へ伝えた言葉に含まれるようなもの。
それは、果たして現在にも言える言葉なのだろうか?

ふと考えてしまう。

その根底にあるのは日本文化の流れ。
それを伝えてきたものの一つが「修身(道徳)」という
科目であったように思う。

今の教育の現場で、どういった授業が
行われているのかは知らないが、
この「修身教授録」は、その中でも
特上のものであることは間違いない。

「人生二度なし」など、
襟元を正さざるを得ない言葉が並ぶ。

かく自分に対して必然的に与えられた事柄については、
ひとり好悪の感情をもって対しないのみか、
さらに一歩すすめて、これを「天命」として
謹んでお受けするといつことが大切だと思うのです。(p13)

平素自分が受けている恩恵については、
その程度が深いものほど、かえって容易に
気付きがたいのが常であります。(p25)

かくして人生の根本は、何よりもまず真の志を
打ち立てるところに始まるわけであります。(p54)

真に志が立ったら、自分に必要な一切の知識は、
自ら求めて止まないからであります。(p92)

われわれの人間生活は、その半ばはこれを読書に費やし、
他の半分は、かくして知り得たところを実践して、
それを現実の上に実現していくことだとも言えましょう。(p63)

人間の生涯を通じて実現せられる価値は、
その人が人生における自分の使命の意義を、
いかほど深く自覚して生きるか否かに
比例するとも言えましょう。(p91)

人間は自ら気付き、自ら克服した事柄のみが、
自己を形作る支柱となるのです。(p134)

われわれが気品のある人間になるためには、
何よりもまず根本のこころの曇りを
払うようにしなければならぬ…
しかしさらに大切なことは、慎独、
すなわち人間がただ一人いる場合にも、
深く己れを慎むということです(p332)

人間の性格上の問題としては、
自分の欠点を反省して、これを除くという努力が、
実はそのまま、長所を伸ばすということになるわけです(p351)

「一度しかない人生を、真剣に生きているか?」
と問われて、はい、と迷いなく言えるだろうか。

言葉というのは、発する人の全人格を通じてその重みを増す。
本も、もちろんすばらしいものだが、
講義の動画があれば、日本の教育にとって、
すばらしい財産になっただろうなぁ。

森 信三
致知出版社 1989-03-01
¥ 2,415