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感想メモ:実践 行動経済学

リチャード・セイラー,キャス・サンスティーン
日経BP社 2009-07-09
¥ 2,310

経済学は、
「人間は完全に合理的な行動を取る」
と仮定している。
しかし、自分のことを考えればすぐわかるが、
そんなことはない。

さっさとやればいいと、頭ではわかっていても逃避する。
時間のムダだと思うことに没頭する。
10円の節約をして10000円の無駄遣いをしたりする。
何より「めんどくささ」にものすごく弱い。

だって人間だもの。

では、その人間らしさを考慮したらどうか。
具体的には‥

  • 選択肢を多くしすぎない
  • デフォルトの選択肢を推奨されるものとする
  • 選択肢の検討は、可能な限り簡単にする

など。

こういったことによって、
多くの人々が最大の利益を得るような、
制度設計が可能になる。

この本では、こういった工夫のことを
「ナッジ」と呼んでいる。

実例として、
資金運用プランの設計、
保険制度の設計、
などが挙げられている。

この考え方は、人々を狙い通りに動かす、
という強力な力を秘めているので、
良心を持った運用が求められる。

以下、メモ。

社会的影響力は二つのカテゴリーに大別される。
第一のカテゴリーは「情報」である…
第二のカテゴリーは「仲間からの圧力」(ピア・プレッシャー)
である…(p91)

つまり、「みんなやってるよ」効果。
「みんな悪いことやってるよ」にしてはいけない。
「みんないいことやってるよ」にするのがポイント。

社会的に望ましい行動にナッジしたいなら、
現在の自分たちの行いが社会的標準レベルよりも
良いことを絶対に知らせてはならない(p114)

え?がんばりすぎた?もっと手を抜こう。
となるから。

制度設計に関わる人には、
ぜひ一読をオススメしたい。
ただ、ページ数多いので注意。

リチャード・セイラー,キャス・サンスティーン
日経BP社 2009-07-09
¥ 2,310

感想メモ:逃げるお金に続け

邱 永漢
グラフ社 2011-05
¥ 1,365

★★★☆☆

邱永漢氏のサイト上でのコラム「もしもしQさんQさんよ」
( http://www.1101.com/Q/index.html )のうち、
2009年11月から2010年2月分の内容を書籍化したもの。
なんと34冊目!

時系列に並んでおり、当時の経済状況や、
その当時の考えが書かれている。

事業家でもある邱永漢氏。
中国とでの新規ビジネス立ち上げのストーリーなど、
興味深い話が多い。

経験豊富な氏の言葉は、
経験豊富な商売のセンスに基づいていて、
なるほどなー、と思わさせられる。

さし当たり必要なことは、財布の紐をしっかり
締めなおす人たちにお金を使わせることです。
そのためには「お金を使ったら税金を負けてやる」
という政策を打ち出すのが一番効果があります。(p33)

世界で通用するのは、日本人のサービス精神であって、
日本料理ではありません。(p65)

邱永漢氏は2012年に亡くなられた。
ご冥福をお祈りします。

邱 永漢
グラフ社 2011-05
¥ 1,365

感想メモ:「世界金融危機」のカラクリ

★★★★☆

アメリカ、イギリス、フランスは、
対外純資産残高がマイナス、つまり借金が多い。
特にアメリカは世界一のマイナス。
にも関わらず、国としての所得収支はプラスなのだそうだ。

世界一借金漬けのアメリカが、
世界一のカネ貸しの日本より、
金利などをたくさん稼いでいるのです。(p40)

なぜ?

アメリカという国は、政府が国債で海外から資金を集め、
民間企業がそれを対外直接投資に回しているという感じです。
…日本は対外直接投資に消極的な国だといえます。(p55)

直接投資によって高い利益率で海外ビジネスができるからこそ、
アメリカは所得収支の黒字を維持・拡大できたのです。(p66)

アメリカの主要な稼ぎどころは、
一般的なイメージである証券投資ではなく、
海外ビジネスこそがメインエンジン、
ということであるようだ。

借金の問題で言えば、日本に関してはどうなのだろうか?

政府の借金と、対外的な借金では、
後者の方が深刻だということがベースだ。

日本は世界一の対外純資産残高を誇っています。
日本は、対外純資産残高のマイナスがひどいギリシャなどと
並べて論じられるような国ではありません。(p95)

他にも

  • ユーロ圏内でドイツが独り勝ちしている理由
  • PIIGSの問題となっているのは何か
  • ユーロ圏内でも為替レートが存在している
  • 日本が貿易収支の赤字を維持すべきである理由

など、興味深いトピックが詰まっていた。
会計の知識がないと、ちょっとつらいかもしれないが、
読めればかなりおもしろい本でした。

感想メモ:日本の景気は賃金が決める

★★★★☆

アベノミクスという言葉はほとんどの人が知っているだろうが、
その内容と意味を説明してみて、と言われると、
ぐぬぬ、となる人がほとんどだろう。

本書はそんな人がターゲット。
かなりの割合の人が当てはまろう。

以下の点は、あまり知らなかったので、
なるほど〜、と思いながら読んだ。

日本の不況の根本原因は、単純に「消費不足」であり、
これを貯蓄の面からみて「貯蓄過剰」などということもあります。(p173)

国民所得の約七割は労働者に賃金所得として分配されるのですから、
「賃金所得が民間消費に使われる」部分を活性化せずに、
本当の意味での景気回復など起きないことがわかります。(p175)

  • 1男女の賃金格差
  • 2企業規模の大小による賃金格差
  • 3正規・非正規などの雇用形態による賃金格差
  • 4勤続年数の長短による賃金格差

が、消費不況などの問題の根底にあり、これらは
属性による賃金格差といえます。(p198)

日本での「属性による賃金格差」は、国際的にみて
“異常に大きな賃金格差”です。(p218)

パートタイム労働者の賃金はフルタイム労働者の6割弱
女性の賃金は男性より約3割低い
30人未満の企業は大企業の約5割の賃金しかもらえない

イギリスとスウェーデンでは、社員1000人以上の大企業よりも
中規模の企業の方が、平均的に高い賃金を支払っています。(p215)

つまり、賃金が下がることが原因で、消費が足りていないこと。
属性による賃金格差が大きすぎること。
が、不景気の大きな要員としている。

それに対し、アベノミクスの意味合いを議論した上で、
「都市部への人口集中」と「都市部の不動産価格の継続した上昇」を、
景気対策として提案している。
その意図するところは、本書を参照してほしい。

親書だから内容が薄いのは仕方ないかな、
などと思いながら読んだのだが、
しっかりデータに当たっての分析が盛り込まれている、
ものすごく濃い本だったのはよい驚きでした。

感想メモ:リーマンショック後の資産を守る不動産活用術!

白岩 貢,浅野 和治
ごま書房新社 2011-05-06
¥ 1,575

★★★☆☆

「資産を守る」ときに一番考えなくてはいけないのは、相続税対策。
親が元気なときうちには、話し出しづらい話題。
しかし、判断力があるうちに話を決めておかないと、
それこそ血のつながった兄弟で争い合う、ということも珍しくないそうだ。

著者の白岩氏の体験談はすさまじい。
まさに何も決めていない状態で父親が亡くなり、
誰も知らなかった資産が残された。
兄夫婦の裏切り、数年に渡る戦い。
心労から心筋梗塞にもなったとのこと。

相続税なんて関係ない、と思う方も多いだろうが、
控除が縮小する方向であるようだ。
都内に土地があれば、かなりの割合の人が関係してくるのではないか。

後半は、物納による相続税対策について事例が紹介されている。
知っているかいないかだけで、何千万という差が出る世界。
特に親御さんが土地を持っている方は、
一読しておく価値がある本です。

白岩 貢,浅野 和治
ごま書房新社 2011-05-06
¥ 1,575


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感想メモ:「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った?

★★★☆☆

数学の参考書「よくわかる」シリーズの著者細野氏の本。
彼の本を読んだ受験生は現在社会人になっているだろうから、
売れるのも頷ける。

年金の話も、わかっているようであまりわかっていないまま
過ごしている気がする。
実際、読んでみて知らない話がそこそこあった。

  • 未納は第1種の人だけの話なので
    (他は天引きなので考えてみれば当たり前)、
    年金支払者全体の5%程度。
    なので、破綻はしないっぽい。
  • 2009年から、国民年金の支払の1/2を税金から賄っている
  • 所得代替率(年金が現役世代の手取り給料の何%になるか)は
    世代間であまり変わらないように調整されている。

年金の話とは離れるが、以下の話は
元予備校教師の言葉だけに重みがある。

このように、本などの情報に接した時には、
その後の「復習の仕組み」をどのように作っておくのか
というところまでキチンと考えられるかどうかで、
学習効率は大幅に変わってくるものなのです!

私はこうやって書評を書いているので大丈夫。
でも、後で見返すとあんまり覚えてなかったりする。
人間の忘却力はあなどれないな!

年金の話の他にもサブプライムローンの話も
図入りでわかりやすく説明されている。
昔読んだ参考書とテイストが同じで懐かしかった。
オススメ度は★3つです。

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感想メモ:本当はヤバくない日本経済

本当はヤバくない日本経済 破綻を望む面妖な人々
本当はヤバくない日本経済 破綻を望む面妖な人々
  • 発売元: 幻冬舎
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2009/04/23

★★★★☆

「外需依存型国家である日本は、円高の影響で輸出企業が壊滅、経済破綻する!」

よく吊り広告などに載っていそうで、なんとなくそうなのかなぁと
思ってしまうようなフレーズだが、実は四重に間違っているらしい。
その間違いとは、以下の通り。

  • 日本は他の先進諸国に比べて外需依存型じゃない
  • 実効為替レートではまだ円高というほど円高ではない
  • 輸出企業に影響への打撃は円高よりも需要減が大きい
  • 通貨高で破綻した国はない(逆はある)

それぞれの主張はデータに基づいていて、説得力がある。
逆に、マスコミの議論の粗さが目立つ。
まぁ、マスコミはキャッチーな話の方が目を引くので、
正しさは二の次なのだろう。

マスコミの報道を見ていると、過去5年に数回は日本は崩壊していそうだが、
実際はなんとか踏ん張りつつがんばっている。
マスコミは、なぜ適当な理屈で悲観的な話ばかりしたがるのだろうか。

1.経営者は給料を抑えたい
 →「経営環境は厳しい厳しい」と言っておきたい
 →マスコミのスポンサーは企業(のトップ)

2.悲惨な話の方がウケるから

3.単に自虐好き/けなすのが好き

4.どっかの陰謀

まぁ検証できないのでどれでもお好きなもので。

マスコミの情報を鵜呑みにするのではなく、
データに基づいた知識を得ておくのは良いこと。
話もわかりやすいし、良い本だと思う。★4つ。

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感想メモ:経済学的思考のセンス

経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには (中公新書)
経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには (中公新書)
  • 発売元: 中央公論新社
  • 価格: ¥ 819
  • 発売日: 2005/12

★★★☆☆

 「美男美女は得か」「賞金とプロゴルファーのやる気」
「年金制度」「成果主義」などを例に、
インセンティブなどの経済学的な考え方を説明している本。
しかし、このような手法で説明している本は、別段珍しくはない。

 思うに、この本のウリは、巻頭の小学生の質問への回答である。
タイトルの「お金がない人を助けるにはどうやって助けるの?」というのは、
小学生の質問なのである。
子供の素朴な疑問に、誠実に、かつ簡潔にわかりやすく回答している。

 他の経済学的な内容については、行動経済学の本や「ヤバい経済学」の方が
おもしろかったのでオススメ。★3つ。

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感想メモ:人は意外に合理的

人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く
人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く
  • 発売元: ランダムハウス講談社
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2008/11/20

★★★☆☆

 経済学は人がインセンティブに応じて行動するとしているが、
果たして人はどれだけ合理的にインセンティブを計算できるのだろうか。

 そういった疑問を元に、人の不合理さを説明するのが、
心理学やそれに基づいた行動経済学である。

 本書はタイトル通り、そうは言っても人は以外に合理的なのだと説く。
ただし、人が完全に合理的なのだというのではない。
不合理なところもあるが、無意識のうちにかなり合理的な行動を
とっているのだと、豊富な実例を元に説明している。

 ただし、人が合理的になれるのは、見た目の罠を見抜く経験を積んだ
場合であるようだ。例えば、プロのギャンブラー、売春婦など。

 そしてそんな彼らでさえも、現実から隔離された人工的な環境に置かれると、
不合理な行動をしてしまうのである。

 つまり、著者の主張は行動経済学の主張と矛盾しない。
人は、瞬時に複雑な損得勘定はできないので、
様々なパターンの不合理な行動をしてしまう。
ただし経験を積み、真の損得勘定を見抜くようになった場合には、
合理的に振る舞うことができるのである。

 結局人はだまされやすく、合理的になれるのは限られたケースであるようだ。
ちょっと読みにくかった。★3つ。

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感想メモ:ロバート・アレンの実践億万長者入門

ロバート・アレンの実践億万長者入門 ― 生涯続く無限の富を得る方法
ロバート・アレンの実践億万長者入門 ― 生涯続く無限の富を得る方法
  • 発売元: フォレスト出版
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2002/02

★★★★☆

あなたも億万長者に?

 日頃あまり教えてもらえない、お金についての知識を学べる本。

 前半はマネースキルの紹介。
例えば、レシートを管理して支出をしっかり管理するとか、
衝動買いしないコツとか、結構細かい話が多い。

 お金は勝手に貯まるということはほとんど期待できない。
「金持ちほどケチ」という通り、支出のコントロールなど、
細かい努力の積み重ねなくして億万長者にはなれないのだろうと理解した。

 後半は稼ぎ方の紹介。主に、株、不動産、ネットビジネス。
当然ながら金融危機を想定していない話なので、
前者2つについては、ダメージを受けた人も多いだろう。

 ちなみに神田昌典氏監訳。彼はこの9〜11章を実行したところ、
とても収入が増えたと語っている。
ちなみに9〜11章はネットビジネスのところ。
この本のポイントはここかもしれない。

 日頃あまり真剣に考えていないので、身が引き締まる思いがした。
2002年の本なので、現在の状況にアップデートされた本があったら読んでみたい。
★4つ。

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