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感想メモ:影響力の武器

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか
影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか
  • 発売元: 誠信書房
  • 価格: ¥ 2,940
  • 発売日: 2007/09/14

★★★★★

なんだか知らないうちに「うん」と言わされてしまった。
この人に頼まれるとなぜだか断れない。
こんなことはないだろうか?

この本では、人が思わずYesと言ってしまいがちな
6つのパターンを紹介している。

  1. 返報性
     何かしてもらうと、同じような形でお返ししたくなる
  2. コミットメントと一貫性
     前の言動と一致した行動を取りたくなる
  3. 社会的証明
     他の人がそうしているから
  4. 好意
     好意を持っている人の言うことは聞いてあげたくなる
  5. 権威
     専門家の言っていることは正しいだろうという思考停止
  6. 希少性
     数量限定、期間限定、レア物、など

読んでいて、どれも頷かされるものばかり。
確かにどれも効果があると、経験を通じて実感できる。
効果と共に、防御策が書かれているところも○。

「他人にYesと言ってもらいたい」という場面は、
どんな人も日常的に経験しているはず。
ビジネスをやっている人ならばなおさらのこと。
例えば、営業の人だけでなく、上司をYesと言わせたい場合、
同僚、部下に頼みごとをしたい場合。
どんなときにも応用が利く。

ただし、強力なだけに、悪用することも可能だ。
しかし人をだましてYesと言わせることは、
長期的には良い関係を築けないのでやめた方が良い、
というのが著者の言葉。私もそう思う。

ということで、これはぜひ読むべき本。
オススメの★5つ!

ちなみにこの本にたどり着いたのは、マインドマップ的読書感想文
激賞されていたのがきっかけだった気がする。
【速報!】最強のビジネス本「影響力の武器」の[第二版]がいよいよ登場!!:マインドマップ的読書感想文

他にも、勝間和代さんも推奨。
確かに、それだけすばらしい本です。
ちなみに続編の「影響力の武器 実践編」も★5つ。

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感想メモ:鏡の法則

鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール
鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール
  • 発売元: 総合法令出版
  • 価格: ¥ 1,000
  • 発売日: 2006/05/10

★★★★★

実話に基づいたストーリーから、人生の問題を解決する法則を紹介している。

という説明だと、意味がわからないだろう。まぁ、読んでみて欲しい。
解説を入れても100ページないくらいなので、すぐ読める。
誰しも思い当たる節があるように書かれているので、共感できるはず。

鏡の法則とは以下のようなものである。
「私たちの人生の現実は、私たちの心の中を映し出す鏡である」
あるいは、
「自分の心の波長にピッタリな出来事が起きる」

これは、ジェームズ・アレンの「原因と結果の法則」とほぼ重なる。
あるいは、「引き寄せの法則」とも言う。

問題には、原因がある。
原因は自分の中にあり、自分を変えることで問題は解決できる。
そう考え、行動することで、人生を良い方向に向けることができる。
そのための一歩を踏み出す勇気が必要。
そういうことだと理解した。

上に書いたように、100ページもない薄い本。
だからといって、内容も薄いとは限らないという良い見本。
オススメ。★5つ。

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感想メモ:夜と霧

夜と霧 新版
夜と霧 新版
  • 発売元: みすず書房
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2002/11/06

★★★★☆

 極限での心理状態

 アウシュビッツを生き抜いた心理学者の著者が、
その極限状態の心理分析という視点でその体験を書きつづっている。

 右へ行けば死、左へ行けば生。
掛け値なしにそういった判断が何十も積み重なっている。
そんな中で人間は、人間らしさを残したまま生きていけるものなのか?
そこに自らのあり方について選択の余地があるものなのか?
自分ならどうなるだろうか?

 考えさせられる。

 どんな状況にでも人は適応してしまう、できてしまうのだという事実を
自ら身をもって確認する状況。できることなら体験せずにいたい。★4つ。

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感想メモ:心の動きが手にとるようにわかるNLP理論

心の動きが手にとるようにわかるNLP理論 (アスカビジネス)
心の動きが手にとるようにわかるNLP理論 (アスカビジネス)
  • 発売元: 明日香出版社
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2003/10/31

★★★☆☆

他人がどう世界を理解しているかわかったら、
余計な摩擦や衝突も減るし、うれしいだろう。
自分がどう世界を理解しているかわかったら、悩みややる気をコントロールできて、
これまたうれしいだろう。

NLP理論とは、簡単にいうと上のようなものだと理解した。
同じ出来事であっても、認識の仕方が違えば全く別の経験となる。
この認識の仕方をパターン化し、自分や他人がどのパターンかに応じて
効果的なやり方を選択しよう、ということのようだ。

なんだか漠然とした感じだが、説明されている対象範囲もかなり広い。

例えば、

  • 目標設定
  • モチベーションアップ
  • 信頼関係をつくる
  • 説得・交渉
  • 苦手の克服
  • 時間管理
  • チームワークを強める

などなど。キーワードは以下の通り。

  • ラポール
  • バックトラッキング
  • リフレーム
  • チャンキング
  • エコロジーチェック
  • フィードバック
  • GEOモデル

いいこと言った!と思ったのは以下の部分。

  • 経験は五感を通してつくれれ、記憶されるのです。
  • これらをNLPでは「代表システム」と呼び、視覚・聴覚・体感覚(味覚・嗅覚・触覚)として扱います。
  • しかし認識が変わると、失敗した当時は消してしまいたいような経験であっても、楽しい経験として蘇らせることができるのです。
  • 「そして」「それでね」「それから」とつなげることで、未来へと話を向けることができます。
  • 尻込みしている自分に、目標を達成したところにいる自分から、サポートするように力づける呼びかけをします。

つまるところ、心理学的なノウハウ集の本と読んだ。
様々な利用法が紹介されているツールなので、汎用性は高い。
人間関係の向上に役立てるもよし、自分の性格を理解して
モチベーション管理に役立てるもよし。

上のキーワードは、下に挙げる他の本でも出てくるので、
どれか興味が湧く本を読めばよいかも。★3つ。

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感想メモ:誘惑される意志

誘惑される意志 人はなぜ自滅的行動をするのか
誘惑される意志 人はなぜ自滅的行動をするのか
  • 発売元: NTT出版
  • 価格: ¥ 2,940
  • 発売日: 2006/08/30

★★★★☆

なぜ人は自滅的な行動をするのか?

 体に悪いとわかっていても、タバコやドラッグをやめられない。
損をするとわかっていてもギャンブルをやめられない。
いいことだとわかっていても、ダイエットやトレーニングの決意は
1週間でなかったことになってしまう。

 こういった人の習性は、経済学が前提とする効用理論とは矛盾する。
効用理論では「人は自らの利益(効用)を最大化する」とするが、
実態は明らかに最大化しない行動をとるからだ。

 人はなぜこのような自滅的な行動をするのか?
こんなやっかいな問いに、本書はシンプルな理論で正面から説明してくれる。

 本書の基となる理論は
「双曲割引とその加算性」
だけである。

 単純に言えば、「ハイパー朝三暮四」+「正のフィードバック」とでもなろうか。
双曲線は指数関数よりも減衰が激しいので、
未来の損失を過小評価してしまうので、目の前のお菓子を食べてしまう。
そして一度食べると、次から食べることに抵抗がなくなってしまう、など。

おもしろい。

以下、メモ。

  • 効用に基づく理論は、選択の多くの側面をうまく説明するが、
    自己破壊的な行動の存在も、それを防止する仕組みも登場の余地がない。
  • 人も下等動物も直感的には、将来のできごとを
    期待される待ち時間に反比例して評価する。
  • 双曲線は、多くの効用理論が前提とする指数曲線よりも
    しなっているので、そこから出てくる選好パターンは、
    効用理論的には不合理となる。
  • つまり痛みというのは、癖の周期を急速にしたものでは
    ないだろうか。ちょうど、癖というのが中毒の周期を
    急速にしたものであるのと同じことだ。
  • 意志は自己フィードバックを持った仲介プロセスなので、
    そのフィードバックにより生じるカオスのために、
    わずかな違いがすさまじい結果の差を生み出す。
  • ルールーつまり強い意志に従って何かをやるのは、
    往々にしてその行為自体の喜びを奪ってしまう。
  • 意志の働きにより合理性が高まったために、
    満足度が減ってしまう行動というのもたくさんある。

 著者は「この本はわかりやすいように口語体で書いた」というが、
訳者の山形浩生氏が言うように、全くわかりやすくない。
その代わり、山形氏の「訳者解説」が内容を簡潔にまとめていて
とてもわかりやすい。
なので、この解説から読むことをおススメする。

 内容は興味深いのだが読みにくいのが難点。
ということで★1つ引いて★4つ。

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感想メモ:人間この信じやすきもの

人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか (認知科学選書)
人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか (認知科学選書)
  • 発売元: 新曜社
  • 価格: ¥ 3,045
  • 発売日: 1993/06

★★★☆☆

人間の「誤信」の例とメカニズム

 勝間和代女史推薦。

 誤診とは?
例えばランダムなデータに規則性を見出してしまったり、
統計的に予想できることに別の法則を見出してしまったり、
自分が考えていることはみんなも考えていると思ったり、
自分の信念を補強する情報を過大評価したりしてしまったり。

 つまり、人間の頭は確率を正しく計算できなかったり、
信じたいものを信じたりしてしまう傾向にある。

 ただ、これらのまちがい方には傾向がある。
例えば、不快の方が快よりも印象が強い(マーフィーの法則)。
このいった間違いの傾向を知っていると、罠にはまりにくくなれるのでうれしい。
脳はそういう風にできているのだろう。

 ただ、本書はちょっと読みにくかった。
「考えることの科学」などの認知心理学の本や、
「セイラー教授の行動経済学入門」などの行動経済学の本の方が、
同じような内容で読みやすかった印象がある。
読むなら、これらの方を勧める。★3つ。

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感想メモ:考えることの科学

考えることの科学―推論の認知心理学への招待 (中公新書)
考えることの科学―推論の認知心理学への招待 (中公新書)
  • 発売元: 中央公論社
  • 価格: ¥ 693
  • 発売日: 1997/02

★★★☆☆

 人間はどのように考えて判断するか、その考え方にはどのようなクセがあって、どのように間違うことが多いかを、認知心理学の観点から紹介している。

 人間が確率を正確に把握できないのは有名な話だ。自動車が恐くなくても飛行機が恐いし、宝くじは当たると思って買ってしまう。40人のクラスで誕生日が同じ生徒が一組でもいる確率は実は9割を超えるし、サイコロで1が続けて出たら、次は違う目が出やすいと思ってしまう。そしてこういう考え方のクセは、万国共通である。きっと脳の仕組みなのだろう。行動経済学の本でも出てくる。

 他にもベイズ理論というものが紹介されているが、これは相当直感的に理解しづらい。例えばこんなものだ。
「1000人に1人の割合で感染する病気の検査薬は、感染している場合98%の確率で陽性となる。しかし感染していない場合も1%の確率で陽性となる。この薬で陽性反応が出た場合、感染している確率はどれだけか」
思わず98%と言ってしまいそうだが、答えは約9%。このベイズの理論を直感的に理解する方法も載っている。

 という感じの内容なので、マメ知識として読んでおくと役に立つかも。★3つ。

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