感想メモ:心はなぜ腰痛を選ぶのか

心はなぜ腰痛を選ぶのか―サーノ博士の心身症治療プログラム
心はなぜ腰痛を選ぶのか―サーノ博士の心身症治療プログラム
  • 発売元: 春秋社
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 2003/10/20

★★★★☆

心と体はつながっている。
これは、ストレス性の頭痛や胃潰瘍などが
存在することからも明らかだ。

しかし、心が体に及ぼす影響は、
私たちが思っている以上に大きいのかもしれない。

本書はTMSという聞き慣れない病気について説明した本。
TMSとは「緊張性筋炎症候群」の略。
特徴は、ケガなどの体の構造的な異常ではなく、
心理的な要因によって、体のさまざまな部位に
激しい痛みが生じるという点にある。

といっても、TMSは一般的にあまり認知されていない。
通常は、検査をすることで体に何らかの構造的な変化がみられると、
それが原因ということで片づけられることが多い。
しかし、

  • 検査をしても原因がわからない
  • 痛みが現れる場面が限定されている
  • 痛みが生じる部位が変わる

などの特徴がある場合、体の構造的な変化が要因とは考えにくい。
この場合、「痛みの原因は心理的なものである」
という前提に立つTMSの治療により、
痛みがなくなっているという事例が数多く存在する。

TMSは、幼児期のトラウマやストレス、憤怒などに対し、
脳が直面を避けるために、体のある部位の神経の酸素濃度を下げることで
激しい痛みを生じさせている、という仕組みらしい。

ギックリ腰や座骨神経痛、テニス肘などもこのTMSであるケースが
多いと書かれている。驚きだ。

痛みは炎症によるものでも、圧迫によって症状が出るような
構造異常によるものでもありえない。なぜなら、炎症や構造異常による痛みなら、
数分や数時間で消えるはずがないからだ。
しかし、軽度の酸素欠乏が起きたと考えれば、まったく矛盾なく説明できる。
自律神経系はその気になれば、数秒で血流量を変化させられるのである。
TMSは無意識下に発生した怒り・憤怒(その場合、当人は怒りの存在に気づいていない)、
あるいは無意識下に抑圧されてしまった怒りに対する反応です。
感じることのできる怒りや、表出された怒りは、TMSとは無関係なのです。

これまでの常識とはかなり異なることが描かれているが、
日本にもTMSの治療を取り入れている医療機関も存在する。
あなたも、場所が移る痛み、ある状況でしか現れない痛みがあったら、
TMSのことを思い出してみよう。

おもしろかった。オススメ度は★4つです。

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

「感想メモ:心はなぜ腰痛を選ぶのか」への3件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です