感想メモ:傷はぜったい消毒するな

傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)
傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)
  • 発売元: 光文社
  • 価格: ¥ 882
  • 発売日: 2009/06/17

★★★★★

傷ができたら、消毒して、薬を塗ってガーゼや絆創膏をする。
何の疑いもなくやってきたことだが、
このことが、むしろ傷を悪化させている?

むしろ、傷は消毒せず、乾かさないことで、
痛まず、早く、きれいに治る。
しかも安価で簡便。

というショッキングな情報と、
画期的な傷の治療法「湿潤治療」について書かれている本。
※消毒と洗浄は違うので注意!水で傷を洗うのは必要。

◯湿潤治療とはどんなもの?

  1. すぐに傷が治る。
  2. 痛みもなくなる。
  3. 擦りむき傷も深い傷も熱傷も同じ方法で治療できる。
  4. 消毒薬も軟膏も不要。
  5. 最低限、水とラップと絆創膏があれば治療でき、極めて安価。
  6. 治療材料が軽くてかさばらない。
  7. 治療方法が簡単、簡便。

いいことだらけだ。
なぜそんな良い治療法が
広まっていないのだろう。
その謎については後半に書かれている。

◯消毒は要らない?

つまり問題は、いつ細菌が侵入するか、どこから侵入するかではなく、
細菌が増殖できる場(=感染源)があるかどうかだけなのである。

むしろ、消毒することで皮膚の細胞が損傷するし、何より、痛い。
もし痛い思いをしなくても、早くきれいに治るのであれば、
その方が絶対にいい。
消毒が痛みを引き起こしている…?

シャンプーや石けん、化粧についても
おもしろい説明がされている。
ぜひ読んで見てほしい。

◯乾かすから痛くなる、かゆくなる

280要するに患部を空気から遮断すると痒みや痛みが軽減し、
空気に露出すると痒みや痛みが発生するのだ。
ここからわかるのは、傷の痛みや痒みの原因(の一つ)は「傷の乾燥」だった、
ということである。

火傷も水から上げると痛くなるのは、
そういうことなのか?
湿潤治療をすると、火傷の痛みも抑えられるのだという。
驚き!

当たり前と思って暮らしていて、
もう技術も確立されていると思っていたところに、
まだこんなにも未開拓な部分があるとは!
しかも、生活を大きく変えてしまうようなことが!

ということで、ぜひ一読し、自分で判断して欲しいです。
オススメ度は★5つです!

・著者のサイトはこちら
新しい創傷治療

・動画による説明はこちら

実際に傷を作って実験された方の記録はこちら。すごい!

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その他の書評などはこちら。
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