感想メモ:企画力 「共感の物語」を伝える技術と心得

田坂 広志
ダイヤモンド社 2004-03-11
¥ 1,470

★★★★☆

企画書というと、パワポで作ったりワードで作ったり、
フォーマットはこうで、こういう項目を盛り込め、
というようなノウハウの本を多く見かける印象がある。

しかし本書では、
・企画力とは何か
・企画書の役割とは何か
・そもそも企画とは何か
というような議論からなされている。

企画力とは、「人間と組織を動かす力」のことである。
企画とは、実行されて初めて、企画と呼ぶ。
「企画」という営みにおいて最も大切なことは、
「魅力的な物語」としての「企画書」を創ることです。

こういった、根っこの部分をしっかりと抑えておくことは、
細かいテクニックを身に付ける以前に、必要なことだ。

「自問自答」のスタイルで「問い」と「答え」を投げかけ、
読み手の「思考の流れ」を導き、「問題意識」そのものを、
どのように持つべきかを提案する企画書。
それは、ある意味で、「最高の企画書」なのです。

先日見た田坂氏の「震災半年後」の映像を見ると、
まさにこの「自問自答」のスタイルに
なっていることがわかる。
田坂広志 前内閣官房参与 2011.10.14

他にも、企画書を作る上で心得るべき、
様々なポイントが紹介されている。

こうした「欲張り企画書」は、「書き手中心」の企画書なのです。
書き手が書きたいことをすべて企画書に盛り込み、
それを読み手の都合も考えずに読まそうとしているものだからです。
  1. 第一の原則:読み手は、一瞥して目に入る文字しか、読まない
  2. 第二の原則:読み手の思考は、立体的ではなく、直線的である
  3. 三つの原則:すべての項目を「三つ」に整理して書く
テクニカルには、箇条書きには必ず番号を打つ。
「ある視点から批判されたとき、明確に説明し、
説得できる内容になっているか」

「想定質問」です。
企画書の目的は、
「企画」を売り込むことではない。
その本当の目的は、企画の奥にある
「人間」を売り込むことなのです。
企画書の勝負は、どの瞬間か。
顧客が、企画書の表紙を見た瞬間。
「言葉を選ぶこと」の難しさ
「心理を読むこと」の難しさ
没にした企画の数が、企画のすごみ。

企画とは、組織を動かすための許可として、
特に大きな組織であれば、必須である。

そもそも企画とは、という議論から始まり、
企画書を作る上での心得、企画書を見せる際の注意点など、
様々な角度から企画について説明されているこの本は、
企画に携わることになった人は、
まず読むとよいのではないかと思います。
オススメ度は★4つです。おもしろかったです。

田坂 広志
ダイヤモンド社 2004-03-11
¥ 1,470


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