感想メモ:風の帰る場所

★★★☆☆

宮崎駿の作品には、悪人が出てこないと言われる。
確かに、単純な勧善懲悪の図式には、
あてはまらないものがほとんどだ。

それはなぜなのだろうか。

自分がくだらない人間だと思ってるから(笑)、
善良な人が出てくる映画を作りたいと思うんです(p19)

だから、どんな状態になっても世界を肯定したい
っていう気持ちが自分の中にあるから、
映画を作ろうっていうふうに
なるんじゃないかと思うんです(p312)

くだらないものなんて、身の回りに溢れているのだから、
お金を払ってまで見たくないでしょう?
という言葉は、確かに、と頷いてしまった。

この宮崎駿のインタビュー本を読んでいて感じるのは、
彼の中には学生時代から続く思想があり、
その思想の変遷とともに、作られる作品も
変わっているということ。

興行的に、トトロは赤字だったとか、
紅の豚のモデルだとか、へぇーと思う知識も多かった。

宮崎駿の作品が好きな人は多いと思う。
彼の考えていることを知ると、
また味わいが変わってくるかもしれない。