Q&Aの答え3
〜Infomation about soap & soap making〜


**鹸化価って何ですか?

  油脂にアルカリを加えると、油脂はグリセリンと脂肪酸に分解し、脂肪酸はアルカリとくっついて、石鹸の本体である脂肪酸ナトリウム塩(orカリウム塩)をつくります。この反応を鹸化といいます。

 油脂の種類は数多くありますが、これに反応するアルカリの量は決まってます。またアルカリの種類(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)によっても異なります。
 鹸化価といえば通常油脂1gに対する水酸化カリウムのmg数を指し、通常40〜250の範囲に収まり、多くの油脂で190前後です(小数点以下3桁である場合は、水酸化カリウムのg数ということになりますね)。資料などから計算する場合、アルカリの種類を確認してください。
 
 また鹸化価は、その油脂に含まれる脂肪酸の種類とその含有率から計算されますが、5〜40%の幅を持って表記されるのが普通です。「
ぐるぐる計算機」では使用の簡便さを目指し、特定の鹸化価を採用していますが、いくらかのズレが生じているかもしれないことを承知しておいて下さい。

 ヨウ素価が、油脂の不飽和度の指標となるように、鹸化価は油脂の脂肪酸の組成を示唆する情報です。

**鹸化率って何ですか?

 鹸化率とは、油脂全体のうちで、石鹸(脂肪酸塩)にする油脂の割合のことです。全体からディスカウント率を引いたものともいうことができます。
 市販されている石鹸の多くは、使用している油脂のすべてを石鹸に変えています。この状態を「鹸化率100%」と言います。

**ディスカウントって何ですか?

 手作り石鹸では、通常鹸化率を85〜95%程度に抑えます。どうやって抑えるかといえば、鹸化価から求めたアルカリ量を、5〜15%減らすのです。このことをディスカウントといいます。たとえばオリーブオイル500gを鹸化するには67.0gの水酸化ナトリウムが必要ですが、これを60.3gにして石鹸にすると、10%ディスカウントということになります。

 ディスカウントをするのは、大きくふたつの理由があります。
 ひとつは、使用感の向上です。ディスカウントした分、油脂が石鹸に残るので、油脂のスキンケア効果が期待できます。しかし未反応油脂が酸化すると、石鹸が劣化しますので注意が必要です。

 もうひとつは、安全上の理由です。アルカリや油脂は1g単位で量れる秤を使用しますが、計量の未熟や、家庭用という秤の仕様の問題で、数gの誤差が出る可能性があります。また鹸化価がぴったりであることは通常ありませんから、油脂に反応するアルカリ量は目安としてしか求めることができません。

 しかし水酸化ナトリウムなどが、たとえ1gであっても未反応で石鹸中に残っているという事態は避けなくてはなりません。油脂がちょっとくらい過剰でも問題ありませんので、添加するアルカリの量を手控えるのは理にかなったことなのです。この理由から、5%以下のディスカウントは、バッチ数の小さい場合とりわけ薦められません。
 しかし、過剰なディスカウントも油っぽい石鹸になるという説もあり、10%程度にするのが、一般的であるようです。

**スーパーファットって何ですか?

 スーパーファットとは、石鹸の中に含まれる石鹸になっていない未反応油脂のことです。過剰油脂ともいうらしいです(そのまんまですが^^)。

 スーパーファットは、ディスカウントの結果残る油脂と、トレース後に加える場合の両方のことを指すようです。(byたおさん)

**水分量35%の根拠は何ですか?

  アルカリは、目に見えるくらいのサイズでは、油脂と反応するのに塊が大き過ぎるので水に溶解させます。つまり水にはアルカリを分散させる役割があるのです。

 水が多すぎた場合はどうなるでしょう?
 柔らかすぎる石鹸ができるでしょうし、また熟成するにつれ乾燥して抜ける水分が大きければ、反り返ったり等の変形が大きいと考えられます。

 では水が少なすぎると何がいけないでしょう?
 物質には、温度によって水に溶ける限界量が決まっています。これを溶解度といい、水100gに対して溶解できるg数で表します。
 水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの溶解度は、ともに室温で110g程度です。溶解熱によって多少の蒸発をすること、また溶けやすさのためにその倍量以上の水で溶かしたいところです。

 このように考えると、水分量は油脂量でなくアルカリ量に対して求めてもよいということになります。実際にそういうレシピもありますが、どっちでも構わないことなので、「ぐるぐる計算機」では油脂量を採用しています。

 では35%という数字に拘る必要があるでしょうか?
 それはないと思います。以上の理由から、30〜40%程度が妥当と考えられますが、細かい数字に拘る必要はないし、計量の時にも、シビアにやらなくともよいと思います。
 
 

**バッチって何ですか?

 バッチには、ふたつの意味があるようです。
ひとつは、油脂の総量をバッチサイズと呼びます。オリーブオイル500gのみで作る場合、これを「500gバッチ」と言います。

 もうひとつは、石鹸をつくることをバッチというようです。どの作業を指すことなのかは今ひとつわかりません。
 文例:「まだ10バッチ目の初心者ですが、、、」

**アルカリの濃度を考慮する必要はありますか?

 化学薬品は、純度100%の製品がベストですが、不純物をなくすのが難しい場合もあるので、規格としてその物質の含有率を明記しておくのが普通です。
 実際に使っているアルカリの容器についているラベルを見て下さい。「>99.9%」などと表示されているはずです。

 水酸化ナトリウムは96%以上か99%以上、水酸化カリウムは85%以上であるのが一般的と思います。「
ぐるぐる計算機」では、「アルカリの濃度」でその数値を記入すれば、アルカリに含まれる不純物を考慮した上での必要なアルカリ量を算出することができます。

 しかしアルカリの濃度はどの程度気をつける必要があるでしょうか?
 苛性カリは比較的不純物含量が高いことが多いので、考慮してもよいと思いますが、水酸化ナトリウムは純度が高く、それほどナーバスにならずに、通常デフォルトの100%のままでよいと思います。また、苛性カリの場合でも、あまりアルカリを多くすると中和に手間取るという意見もありますので、そのへんはリーズナブルに数値をいじるとよいでしょう。

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