Q&Aの答え4
〜Infomation about soap & soap making〜


**いくら混ぜてもトレースが出ません。

 トレースは、普通に泡立て器を使った場合、数十分から数時間で出るのが普通です(早くするコツは、適度に湯煎で温めることです)。もし6時間を超えてトレースが出ない場合は、鹸化がうまく進んでいない可能性があります。その原因を考えると、

 1.トレースの遅いレシピである。
 2.過剰油脂が多い(
ディスカウントし過ぎ)。
 3.油脂と水酸化ナトリウムの分量比が間違っている。
 4.温度が低い。

 1は、オリーブオイル100%で水と水酸化ナトリウムしか入れていない場合などで起こります。自然なことですので、気にする必要はありません。気長に待つことです。でも30分放置して油と水に分離しないようならば型入れしていいそうです(byまりりんさん)。またオリーブオイル100%でもジュースやミルクなどで水酸化ナトリウムを溶かすと、トレースが早まるようです。

 2と3に関しては、今更変更がきかないので、一日放置してみます。それでもだめなら型に入れて1週間くらい放置してみましょう。油を捨てるのは環境に悪いので、できるだけ粘ってみてください。もしかすると固まるかもしれません。それでもダメならばリバッチです。リバッチに関しては、私は経験がありませんので、どなたかの情報を得てください。
 分量間違いは、事故のもとです。それだけは避けるようにすること、それから適度に温めること、そうすればトレースが出ないという事態はそれほど起こることではありません。あと石鹸作りに慣れてきたら、
ブレンダーを使うととっても早いですよ。

**きれいなマーブルができません。

 かわいい石鹸をつくる手法の一つに、マーブルがあります。複数の色の生地をトレース時に少しだけ混ぜて、自然にマーブル模様をつくるのです。

1.トレース時に石鹸生地を少量すくい取り、別の容器に移す。
2.好きな着色料を加え混ぜる。
3.生地の入ったボウルに着色した生地を5,6箇所に分けて戻す。
4.さっくり控えめに混ぜてから、型に流し入れる。

という手順を踏みます。キレイにできない最大の原因は、型に生地を流したあとで着色した生地を入れていることが多いようです。さらなるコツは、

・トレースはやや固めに出す。
・着色する生地は3分の1くらい、少なめに。
・3色よりは2色マーブルの方が無難とおっしゃる方もいます(私は3色しかしていませんが、特に難しいとも思いませんが)。
・生地を戻すときの入れ方(勢いよく入れるか、いくつに分割して入れるかなど)によってマーブルの入り方も違ってくる。

など。着色は、小分けした方でなく、残りの方にするというのもアリですね。マーブルのコツは、たおさんの掲示板でお聞きしたことです。

**きれいなレイヤー(層)ができません。

 かわいい石鹸をつくる手法の2つめは、レイヤーです。色の違う生地を重ねていくだけ、簡単にトリコロール模様をつくることができます。

 オーソドックスな記述では、次の生地を流すまでに1時間おく、というのを読んだことがありますが、そんなに待ってられるかー!というのが私の本音。
 でもせっかちをすると、生地が混ざってしまって、生地の境界線ががたがたになります。また時間が経ちすぎると、上の生地の鹸化が進み過ぎて、マッシュポテト状になり気泡が入ってしまいます。ああ、悩ましい。

 きれいなレイヤーを作る理想的な状態は、膜が張るまでに下の生地が固まっており、上の生地はポタージュくらいのとろとろ状態であること。下の生地を型に流したら、すぐ保温器で強制加熱します。すると早く固まるようです。

 経験的にいえば、やはり上下の生地を同時に作り始めると、なかなか上の状態には持っていけないようです。アルカリと油脂をあわせる時間を変えるのが、まず簡単な方法でしょう。そして所要時間を考えると、
ブレンダーがないと、一日仕事になりかねません。

**型からうまく出ません。

 牛乳パックやポテトチップの筒を使った場合、べりべり破りながら剥くので、特に問題になることはないはずです。べとべとくっつくなら、型出しを中止してもうしばらく日数を置くか、冷凍庫に入れて凍らせてからします。

 型出しがつらいのは、プラスチックのモールドを使った場合です。一応、型入れ前に、鹸化しにくいもの(ワセリンやホホバオイルなど)を塗っておくという処方がありますが、それよりも油脂の配合を考えなおす方がはるかに有効であるようです。
 基本的に
柔らか過ぎる石鹸は、型出しが困難です。プラモールドを使用した場合、ソフトオイルは半分以下にした方がいいようです。

**香りが残りません。

 まず、熟成中の石鹸に含まれる未反応の水酸化ナトリウムによって香りがなくなってしまうケースと、単に熟成時間が長いために揮発して、なくなってしまっているケースがあると思います。後者は、ちょっとどうしようもない気がしますが、前者はトレース後に加えることで影響を減じることができるでしょう。

 水の代わりにハーブティやハイドロソルなどで水酸化ナトリウムを溶解した場合、香りは残らないという人もいます。(すみません、試したことはありません)。
 また、エッセンシャルオイルは香りの持続時間によってトップノート、ミドルノート、ラストノートと分類されており、前者ほど早く香りが消えてしまいます。使用しているエッセンシャルオイルを調べてみて下さい。オレンジやグレープフルーツなどのシトラス系でも量を増やせば残ります。

**石鹸が柔らかすぎ/固すぎます。

 鹸化法で作る石鹸はグリセリンを多量に含むため、もともと柔らかいものです。しかし柔らか過ぎるのも実用上困ります。逆に蝋燭のように固い石鹸ではどうしようもありません。適度な硬度を確保することが必要となります。

 石鹸を柔らかくする要素は、まずはソフトオイルです。オリーブ、米糠、大豆、菜種などの油脂の含有が多いと柔らかくなります。しかし柔らかさをもたらす脂肪酸は、洗浄力にすぐれている場合もあるので、ソフトオイルを完全になくしてしまうことは得策ではありません。また黒糖や蜂蜜などの糖類も石鹸を柔らかくします。

 石鹸を固くするものとしては、油脂ではココナツ油やパーム油、ラードや牛脂などの動物性油脂が適当です。これらは石鹸に硬度を出す他、泡立ちに貢献します。
 オプションでは蜜蝋などのワックス類やココアバター、ステアリン酸など。ワックス類は、油脂の5%程度にとどめた方がよいようです。ココアバターは、私は20%入れたところ、固さが出すぎたのですが、この濃度を推奨なさっている人もいらっしゃいます。ステアリン酸は500gバッチで小匙2杯程度加えるといいそうです。

 また、油脂についてはレシピ作成時に融点を検討すると適当な固さを確保できるでしょう。詳しくは、「soap」のページをご覧下さい。あと、数ヶ月熟成させるうちに石鹸は硬度を増します。根気よく水分が抜けるのを待ってもいいかもしれませんね。

**あまり泡がたちませんが?

  オリーブ100%の石鹸を使うと、泡立たないばかりかねばーん、と 糸をひきます。害はまったくありませんが、やはり泡立ちが 悪いことを嫌う方は多いですから、なんとかしましょう。ただ、泡立ちの よさは洗浄力の強さを意味しないことは覚えておいてください。

 一つは、小手先の対策です。泡立てネットを利用します。東急ハンズなどで600円程度で売られていますが、みかんネットや食器洗いスポンジのネットなどのお古で十分です。目の細かいネットを4重程度に重ね合わせ、水で濡らして石鹸をぐりぐり擦り付けると、よい泡がたちます。これを利用して泡立たない石鹸にはお目にかかったことがありません。
 もう一つは、脂肪酸にラウリン酸を持つ油脂を使用することです。一般にココナツ油は泡立ちをよくし、パーム油や動物性油脂は泡のもちをよくするといいます。 これらを適度に配合すると、泡立ちをよくするとともに石鹸を適当に固くしてくれます。

**石鹸の表面に白いものがついていますが?

  石鹸の表面につく白いものは、石鹸だという説もありますが、私は個人的に、水酸化ナトリウムが空気中の二酸化炭素と反応してできた炭酸ナトリウムだと思っています。ですので、鹸化中に空気を遮断すると減らせると思うのですが、乾燥させねばならない以上、それは困難です。
 通常使用にはまったく問題がありませんが、稀に敏感肌に反応することがあるそうですので、人にプレゼントする場合には削った方が無難かもしれません。

**ぐるぐる計算機に使いたい油脂がありません(鹸化価が不明)。

 まず使いたい油脂はインヒューズドオイルではありませんか?
 インヒューズドオイルというのは、ベースオイルに何かを漬け込んだオイルで、アロエベラ油(aloe vera)、キンセンカ油(calendura)、タヒチデモモイ油、などがそうです。こうした油脂は、特有の鹸化価が存在するわけではないので、載せていません。ベースオイルを選択してください。

 また、原料が複数の油脂の混合物であることが多いもの、または何が原料であるかわかりにくいものも除外しました。マーガリンとショートニングです。
 逆に魚油は、数種類の魚の鹸化価が近いものだったので、統合して一つにしてあります。

 上記のようなことを踏まえてお使いください。 
**牛乳を使ったら、モロモロしたものができて臭いです。

  水の代わりに牛乳で水酸化ナトリウムを溶解させて牛乳石鹸を作ろう、というのは割と多くの人が試みることのようです。それで溶解させたときに、白いモロモロが発生して、あらびっくり、というのも非常によくあることです。

 牛乳には蛋白質がたくさん含まれています。牛乳が透明でないのは、さまざまな種類の蛋白質がコロイド状に分散しているためです。
 水酸化ナトリウム水溶液のようなアルカリを加えると、荷電していた蛋白質の一部が電気的に中和された状態になり、沈殿します。また、蛋白質は高温にさらされると構造が不可逆的に壊れて(生肉が焼肉に変わるように)、これも沈殿します。それらが白いモロモロの正体です。害はありませんので、そのまま油脂に加えて問題ありません。白いモロモロは熟成後も、石鹸の中に残るようです。もともと牛乳を加える理由は、乳脂肪によるしっとり感であるらしいので、蛋白質が壊れても問題ないということらしいです。

 また牛乳を使うと、アンモニアができて、えらく臭い石鹸になります。これは熟成後にはずいぶん飛んで大丈夫になるようです。匂いの正体の一つは、アンモニア。

 モロモロの回避法ですが、まずはミルクパウダーを使うことです。トレース後に他のオプション同様に加えます。こうすれば匂いも気になりません。また、温度を低く保つと沈殿しないということを聞いたことがありますが、個人的な意見としては疑っています。

**型入れ後、油が浮いています。分離?

  型入れ後、高過ぎる温度で保つと、あるいは攪拌が足りなくて鹸化がきちんと進行しないと、分離するらしいです。でも経験したことがないので、偉そうなことは言えませんです^^。

 油がうっすら浮くくらいのことは、よくあることです。それくらいなら、肌にトラブルのある方以外、気にしなくてもよいようです。
 生地の上3分の1くらいが油、その下部が固くなっているくらいのときは、リバッチをした方がいいです。

 失敗すると、あっさり捨ててしまう人が多いように思えるのですが、熟成時間を長くおけば、リバッチすれば、大抵のものは大丈夫だと思うので、粘ってみてくださいね。

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