生協5:生協法

第九条  組合は、その行う事業によつて、その組合員及び会員(以下組合員と総称する。)に最大の奉仕をすることを目的とし、営利を目的としてその事業を行つてはならない。

 生協には、平成17年3月現在で日本全国の1116組合に6000万人近い組合員が所属し、店舗と共同購入を合わせた購買活動での総取扱高は2.9兆円(生協制度見直し検討会資料)に上ります。日本の総世帯の3割で利用があるそうで、思ったよりもずっと巨大でした。

 冒頭に引用しましたように、生協は1948年に制定された消費生活協同組合法によって非営利の法人として活動することが定められており、消費生活協同組合資金の貸付に関する法律などによって、優遇措置が取られています。

 歴史的には、戦後食料の安定供給のために発足し、その後昭和40年代に公害問題の高まりの中で食の安全を追求して、急成長しました。化学合成添加物を使用しないハムなど、生協が開発した意義深い食品も数多くあり、現在の自然食志向をリードしてきたとも言えるでしょう。しかし、その後、生協の意義が社会的に共有されにくくなり、通常の食料品販売業者と変わらないのに優遇措置はおかしい、というバッシングが起こっては消えるようになります。今年になって、生協法が60年ぶりに改正される予定で、多少変化の兆しが見られるようですが。

 生協は、かつての郵便局や国鉄と同じく、民間企業がうらやむ素晴らしい資産を有しながらも、それを最大限生かす気がない組織なのかなあというのが私の感想です。生協は、ロイヤリティの高い顧客を大量に有し、優良な生産者と長年の信頼関係を築き上げ、金融機関からの信用も高く、消費動向を予測できる大量の過去データも持っていますが、既存の仕組みを変えたり、新しい試みに挑戦したりすることには、あまり積極的ではないように見えます。

 長らく、スーパーや食品会社は悪で、生協は優良な生産者と消費者が相互に支え合って行く活動という位置づけで、消費者にも一定の貢献を要求しているようですが、この図式自体、今も有効なのかと問われれば、疑問があります。生協が追求している食の安全や味の良さを、消費者の要求として汲んで、ビジネスをしていきたいと思う民間業者もいるでしょうし、そうした業者は消費者に不便さを強要しないでしょうが、そこに何かしらの道義の欠如を感じる人はいないでしょう。生協のルールが参加の必要条件です、ということであれば、私のような面倒臭がりは、失礼致しました、で退散すればいいだけの話ではあるのですが、消費者に求めるものが変化してもいいんじゃないのか、と思うわけです。

 生協が提供しているサービスは、多くの消費者が支持しているものですし、これまで築き上げて来た様々なネットワークは維持されるべきだとは思いますが、そうしたサービスが生協という形でしか運営できない理由は私にはよくわからず、いずれは民営化されるような気がします。それがいつになるかは、誰かがロビー活動をするとか、あるいは生協に対する関心が高まるか次第という感じでしょうか。

 現在の私にとっての生協宅配のサービスの悪さが、経営の体質的な問題であるなら、早く民営化してサービス向上していただきたい、と思ってしまいますが、共済は残って欲しい。というより、サービスの良い事業者があればいいだけのような気もします。調べてみた限りでは、おいしっくすだけですね、土日配送、時間指定アリなのは。でも、新しい事業者が事業を興すよりも、生協を民営化した方が簡単で、生協を民営化するよりも、土日配達と時間指定をアリにする方がさらに簡単なわけで、もうちょっとどうにかなってくれるといいなあと、思います。

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このページは、ruruが2006年11月 1日 23:30に書いた記事です。

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