誇大妄想

 ある休日のバッティング・センターで、中年男性と子供の会話を聞きました。子供は、小学校の1年生くらいの男の子なのですが、男性は子供に向かって、「お前は、本当に馬鹿だなあ。だから、お前はダメだって言うんだよ」と、いかにも馬鹿にした風情で、笑いながら言っていました。子供は、何も言わず、恥ずかしそうに申し訳なさそうに笑っていました。

 私はそれを見たとき、あんな小さな子供に馬鹿だとか馬鹿じゃないとか判定して、オッサンこそ馬鹿じゃないのか、と憤慨したのですが、一方でふと、あの子は馬鹿と言われ続けて、根拠もなく自分が馬鹿だと思い込んでしまわないだろうかと、少し心配になりました。

 これほど露骨ではないかもしれませんが、他人を貶めることで自分の優位を確保したい人は、多い気がします。そういう人と一緒にいると、その人の価値観を自分の中に取り込んで、「自分にも何かできるかもしれない」という気持ちが失せてしまうので、選べるものなら、離れた方がいいと思います。「何かやりたい、何かできるはず」という気持ちを、年齢を重ねた上で維持していくことは、そうした妨害がなくても、大変だからです。大体、高校生くらいまでに、勉強だの恋愛だのの競争に疲れて、「自分はこの程度」と見切りをつけてしまったりしますからね。

 自己に対する幻想が大きすぎるのも、また醜いものですが、でもやはり「私なんて何をやっても無駄」よりは、「オレってすごいんだぜー」の方がマシかと思います。誇大妄想を持ち続けられるのも、一つの才能と言えましょう。

 というわけで、頑張っている人にエールを。

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このページは、ruruが2006年11月 9日 20:21に書いた記事です。

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