「自然と髪の毛を大切にする人へ・・・」

せっけんと合成洗剤について調べていると、一般の人にはよくわからない専門用語にぶつかることがあります。ここではそういう専門用語っぽいものについての説明をしてみようかなと。

Q1 BOD、CODってなに?どうちがうの?

BODBiochemical Oxygen Demand=生物化学的酸素要求量
CODChemical Oxygen Demand=化学的酸素要求量
です。どちらも「水中にどれくらい酸素を消費する物質を含むか」というもので、水の汚れ具合の目安となります。

なぜ酸素を消費するものが汚れなのでしょう。
もし水中に酸素を消費するものがたくさんあると、水中の酸素濃度は低くなり、魚などの生物が住めなくなってしまいます。そして一部の嫌気的な(酸素を必要としない)バクテリアぐらいしか生きていられなくなり、メタンが発生する沼のように水質が汚濁してしまうのです。

では、何が酸素を消費するのかというと、大部分は有機物です。有機物は水中の酸素によって酸化されるため、酸素を消費するのです。ですから「BODやCODは水中の有機物量を表している」と考えてだいたい間違いありません。(厳密には、無機物であるアンモニアも酸素を消費するので、完全に有機物の量だけを表すのではないことに注意が必要です)

ここまでで、BODとCODは水中の酸素消費量を表すものだとわかりました。ではこの二つは何がちがうのかというと、その測定方法です。

BODは、測定する水を20°Cに保って五日間おき、そのあいだに消費された酸素の量を調べます。これは微生物による酸化を見るもので、河川の条件に近いのが利点です。実際の酸素消費量が見たいときはこちらが有利です。しかし前述のようにアンモニアなどの酸素消費量を含んでいるため、有機物の指標として用いる場合は注意が必要です。

これに対してCOD化学薬品によって酸化を行い、その酸素消費量を求めるものです。薬品としてはマンガンを用いるものとクロムを用いるものがあり、マンガンは対象によって酸化しやすさが異なるのでクロムの方が望ましい(9割方酸化できる)のですが、日本ではマンガンが主に用いられているようです。
しかし実際の河川ではここまで酸化は進まないので、環境中でのことを想定するならば上限値と考えるべきです。しかし最終的にどう分解されるかを見るには、非常に役立ちます。

ちなみに現在の下水処理上の一般的な方式である活性汚泥法は、微生物の働きにより有機物などを除去するものですが、これはまさに放流水中のBODを提げることを目的とするシステムであり窒素、リン、重金属などを除去することは目的とされていません(ある程度は除去可能ですが)。そこで窒素、リン、重金属などがどのように処理されているのか注意が必要です。活性汚泥法はトータルで見ると決してベストな方法ではないのです。

Q2 合成洗剤は下水道で分解されるの?

横浜市下水道局のホームページから見つけた。さすがにこの情報は確かだろう。
以下問答。

<Q>
いま、家庭でよく使われているのは合成洗剤ですが、例えば、これがすべて石けんにとってかわるとしたら、下水処理の観点からなにか困ることはあるでしょうか?(石けんカスで下水処理場へのパイプがつまるというようなことはありえるでしょうか?)
合成洗剤も処理できるとのことですが、それは全ての下水処理場で可能ですか?
もし、ランクによって違うようなことがあれば教えて下さい。
また、合成洗剤に含まれている表示指定成分についても、きちんと処理できているのでしょうか?
表示指定成分のなかには環境ホルモンの疑いがあるものも入っている場合があると聞きますが、大丈夫なのでしょうか?

<A>
石けんは,脂肪酸カリウム・脂肪酸ナトリウムといった分解性の高い物質が主要成分となっています。これらの物質は,下水処理における生物処理の過程でほとんどが分解されるため,下水処理への影響は無いと考えています。
水中に含まれるカルシウム,マグネシウム,鉄のイオンが水の硬度100をこえるあたりから石けんと反応して石けんカスが発生します。ただし,日本の水は,硬度50程度の軟水のため,石けんカスが多量に発生することはなく,下水管が詰まるといったことはないと考えております。
合成洗剤については,多種多様のものがありますが,家庭用として市販されている洗剤の主成分は,陰イオン界面活性剤ではLAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム),非イオン界面活性剤ではAE(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)が多く,これらは微生物による分解性の高いものであるため,石けんと同様に下水処理における生物処理の過程でほとんどが分解されていると考えられます。
いずれにしても,下水処理の観点からは適正な量で使用していただくことが必要と考えております。
なお,非イオン界面活性剤の一種であるノニルフェノールエトキシレートについては,その分解生成物であるノニルフェノールが環境ホルモンの疑いのある物質とされていますが,平成10年度の本市調査結果では,下水処理過程でかなり低減されていることが確認されております。

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