Part 5 原子力発電について(1)

エネルギー問題 Part 5


久々にコンテンツを追加します。
きっかけは、'04年7月に核燃料廃棄物を、再処理した場合と直接処分した場合にかかる費用の試算について、 国の原子力委員会、電気業界両方が情報隠しを行っていたこと明らかになったことです。 この試算は、以前に国会においても「ない」と答弁していたものなのです。 都合が悪いことは黙っていよう、と隠しておいたらバレてしまったようです。

では何を隠そうとしたのか、なぜ隠そうとしていたのでしょうか。 ということで、原子力発電についてもう少し考えてみます。

5.1 核燃料廃棄物処理費用の試算隠し

原子力発電を行うと、核燃料の放射性廃棄物が出ます。 この放射性廃棄物の処分方法には、核燃料を一度使って処分する「直接処分」と、 再処理を行なって再び利用する「再処理(=核燃料サイクル)」とがあります。

再処理の費用については、2003年度に電力業界の試算が公開されていました。 国の原子力委員会は、直接処理する場合の費用も試算して比較する試算は 「していない」と言っていました。 しかし2004年7月6日、実は十年前に試算していたということが明らかになりました。
使用済み核燃料再処理、原子力委もコスト試算公表せず

原子力発電所の使用済み核燃料の処分方法を巡り、国の原子力委員会が1994年に、 使用済み核燃料を再処理・再利用する費用は地中に埋める直接処分より10〜14% 高くなるとの試算をまとめていたことが6日、明らかになった。

翌7日、電力業界においても試算をしていたことが発覚しました。
核燃料再処理費の試算、電事連も未公表・96年に実施

大手電力10社で構成する電気事業連合会(藤洋作会長)は7日、 原子力発電所の使用済み核燃料の処分費用を比較検討する事実上の試算を1996年に実施していたと発表した。 試算では、使用済み核燃料を再処理・再利用する費用は、 地中に埋める直接埋設処分の費用より3割高くなるとしている。 電事連はこれまで再処理路線を推進するよう主張、直接処分した場合のコストは試算していないと説明してきた。

いずれも再処理をした場合の方が2〜4割高くつくと試算されたため、 公開すると既定の核燃料サイクル路線を継続するのに不利になる、 ということが隠していた原因です。

当然、その直後に行われた原子力長期計画策定会議では、 「最近の試算の妥当性を再検証すべき」との批判が相次いだそうです。

またこの一件から、日経のサイトにも原子力政策への批判の社説が書かれました。
社説1 政策の正当性問われる核燃試算隠し
原子力発電が国策として正しいというのならば、きちんと国民に情報は公開はするべきですよ、 都合の悪い数字だからといって握りつぶしては不信を招くだけだ、 というしごくもっともな意見です。

2003年の、東京電力の原子力発電に関する情報隠しは記憶に新しい所です。 このようなことが続くため、「原子力発電について都合が悪い情報は、一般市民に隠されている」 というイメージが広がってきています。

5.2 核燃料再処理費用

核燃料再処理の費用については、2003年度に電力業界の試算が公開されていました。
それ以前は、かかる費用は約10兆円と見込んでいたのが、 この試算では80年間操業で(40年操業という記載もあり)約19兆円かかると出ました。

既存の制度で11兆円程回収できるものの、7.5兆円ほど足が出るそうです。 さて、増えた費用は誰が負担するのでしょうか?

電力業界の思惑はというと、 2004年3月17日「電力9社、原発後処理費を送電料に上乗せ〜国に基金要求」ということで、 電力会社は利用者に負担させることを国に求めました。 これに対し経済産業省は、5月7日「7.5兆円のうち、2.5兆円分の電気料金に上乗せは認めないよ」 と回答しました。逆に言えば5兆円はOKということです。

結局経済産業省は、5月21日に「後処理費用として処理するのにふさわしくない分を除く4.1兆〜6.2兆円(範囲は未決定)を料金に転嫁して回収することを認め」ました。

つまり、今回の試算で増加した核燃料再処理費用のうち、5兆円程度は電気料金に上乗せして利用者負担、ということになったのです。

5.3 再処理費用による電気料金増加?

上記の通り、再処理費用の試算し直しによる費用の増加分は、約5兆円分は電気料金に転化されます。 それではどれぐらい増えるのか、見てみましょう。

まず、これまではどうなっていたのでしょうか?
家庭の月額負担増えず 原子力発電後処理費で経産省試算 によると、

既存制度で電気料金に上乗せされていた後処理費用(10兆1000億円)の負担分は、過去3年間の平均で1世帯(月間300キロワット時の電気を消費)当たり毎月144円。

つまり、現在既に核燃料の後処理の費用が一般家庭からも取られている ということです(初めて知ったので驚きでした)。
さて、今後はどうでしょうか。

料金転嫁が適当とされた約5兆円について新たな徴収制度を創設した場合でも、毎月の負担額が合計で105円〜117円になると試算した。

「負担額が5兆円も増えるのに、負担額が減る」との試算です。 どういうことなのでしょうか?

再処理工場の稼働年数延長に伴う費用平準化や後処理に相当しない燃料加工など関連費用の削減などを織り込み、 現行制度が対象とする負担分相当が1キロワット時あたり48銭から約21銭に減少。 5兆円相当分についても当初15年間は同14銭〜18銭程度で済むとした。

つまり、今までは「全量の再処理」を前提としていたものを、 「一部再処理、一部中間貯蔵施設で保存(費用徴収の先送り)」 とする、つまり 「コスト削減したり徴収先送りにするので、これまでの負担額の部分は半分になります。 今後増える分も、最初は少なくしときます(後で増やします)」 ということのようです。 利用者の負担増による、核燃料サイクルへの反対気運を抑えるためなのでしょうが、 原子力発電のためなら電気料金も簡単に変わってしまう、というのはひどいのではないでしょうか。

その2

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このページは、2000年3月 8日 17:55に書かれたブログ記事です。

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