出生率低下の原因についてのまとめ

更新 : 2014/5/28

いろいろな議論があるのだが、どうも前提が食い違ってることが多い。
そこで、前提となるデータを確認しておこうと思って調べてみた。

日本の婚外子は2.2%(平成24年)なので、
現在の少子化の主要因は夫婦からの出産を考えれば良い

illegitimate_births.png 平成26年我が国の人口動態‎(政府統計)(PDF) p33

すると、考慮すべき点は以下の3つと言える。

  1. 結婚率の低下
  2. 晩婚化による出生率低下
  3. 夫婦の出産数の低下

1. については、
平成26年我が国の人口動態‎(政府統計)(PDF)の31ページ、
「婚姻件数及び婚姻率の年次推移ー昭和22〜平成24年」
の図が参考になります↓ marriage_rates.png

2. についても、同じ
平成26年我が国の人口動態‎(政府統計)(PDF)の30ページ、
「夫・妻の年齢階級別にみた婚姻件数及び平均婚姻年齢の年次推移-昭和22~平成24年-」
age_at_marriage.png
に載っています。

3.については、こちらに様々なデータが載っています。
第14回出生動向基本調査/国立社会保障・人口問題研究所

また、データだけではなく、アンケートなどで
理由を調査しているのが、こちらの調査結果。
「結婚と出産に関する全国調査」(2006)
2006年の結果ではあるが、下で述べるように
出生児数の変化は2005年から現れているので、
意味のあるデータだと判断した。

これらを内容を簡単にまとめると、以下の通り。

未婚率は急上昇している

zuhyo01-00-20.gif
第1-特-20図 生涯未婚率の推移(男女別) | 内閣府男女共同参画局

女性の未婚率は、ここ10年で急激に増加している。

「合計特殊出生率」=
「結婚する者の割合」×「結婚した夫婦の子供の数」

なのだから「結婚する者の割合」が低下したら、
当然出生率も低下する。

従って、未婚率の増加が出生率低下の要因なのはまちがいない。

晩婚化で出生率は低下する

z21.gif
第14回出生動向基本調査/国立社会保障・人口問題研究所

妻の結婚年齢が30歳未満の場合、
平均出生子ども数が1.9〜2.0程度であるのに対し、
30〜34歳の場合は1.5、35〜39歳の場合は1.16と、
格段に低くなっている。

従って、晩婚化が出生率に与える影響も、大きい。

晩婚化については、結婚年齢が遅れることで、
見かけ上出生率が低下するという影響もある。
(子どもの数は変わらなくても、
出産のタイミングが後にずれることで、
見かけ上出生率が下がる)

しかし、データを見る限り、
実際の出生率低下の影響の方が大きいと思われた。

以上から、
未婚率と結婚年齢の二つのパラメータが、
出生率に与える影響はとても大きい

ということがわかった。

以下は、
「結婚する者の割合」×「結婚した夫婦の子供の数」
の後者、「夫婦の出生率低下」について見ていく。

完結出生児数(夫婦の最終的な出生子ども数)はゆるやかに減少

h21.gif
第14回出生動向基本調査/国立社会保障・人口問題研究所

完結出生児数(夫婦の最終的な出生子ども数)は、
1972年〜2002年の30年間で、2.2とほぼ変わっていない。

しかし、2005年から減少が始まり、
2010年に初めて2を割って1.96となった。

→ 結婚している夫婦は、平均2人子どもを作っている。
しかし、30年間変わっていなかった出生児数が、
2005年から減り始めている。

そこで、出生児数の内訳の変化を見てみる。

出生数3人以上が低下、出生数2人未満が増加

h22.gif
第14回出生動向基本調査/国立社会保障・人口問題研究所

出生児数3人以上が、
1997年:32.9%
2002年:34.4%
2005年:26.7%
2010年:21.6%
と、10年前から見て2/3程度に低下している。

一方、出生児数2人未満(0人、1人)が、
1997年:13.5%
2002年:12.3%
2005年:17.3%
2010年:22.3%
と、10年前から見て1.6倍以上になっている。

出生児数2人が56%と半数以上を占めているので、
出生児数全体の変化としては、大きく現れていないものの、
ここ10年で急激に出生児数が変化している(下がっている)

なぜだろうか?

理想子ども数は約2.5、予定子ども数は約2.1

ideal_planned_number_of_children.png
「結婚と出産に関する全国調査」(2006) p36

理想的には、2.5人子どもが欲しい。
実際の所は、2.1人子どもを作る予定。
でも、現実に生まれた子どもの数は1.96人。

ということであるようだ。

この「理想的な子ども人数」と「予定子ども人数」の
推移は下の表の通り。
ideal_planned_number_of_children2.png
「結婚と出産に関する全国調査」(2006) p36

2005年にやや減少しているが、
それほど大きく変化していない。

「理想の子ども人数」と「予定子ども人数」の差は0.37人、
「予定子ども人数」と「実際の子ども人数」の差は0.15人。

つまり、
理想の人数の子どもを作れない理由(影響大)、
子どもを作ろうとしているが作れない(影響小)、
という二つの理由があるようだ。

なぜだろうか?

理想や予定の子ども人数に達しない理由

birth_number_reason1.png
第1部 少子化対策の現状と課題について

「理想の子ども人数」を下回る理由は、
「お金がかかるから」が圧倒的。

birth_number_reason2.png
「結婚と出産に関する全国調査」(2006) p38

「予定子ども人数」が0〜1人である理由は、
「欲しいのにできないから」がトップ。

ということで、出産の制約条件は、
「自分の生活を大切にしたいから」というような
ライフスタイルの話というよりも、
「お金がかかる」という経済的な理由、
そして「欲しいのにできない」という
医学的な理由が大きいようだ。

どうすれば「実際の子ども人数」が増えるのか?

これまで書いてきたことをまとめると、
・お金がないから理想の人数子どもを作れない
・予定の人数子どもを作りたいのにできない

という2つが、出生児数低下の原因であるようだった。

経済支援などの話は、書き始めるとキリがないので、
政府の少子化社会対策白書でも読んでもらいたい。
平成25年版少子化社会対策白書 全文(PDF形式)

気になるのが、「欲しいのにできないから」
かなり多いということ。
認識されていない潜在的な不妊も、かなり多いと予想される。

現状不妊治療には保険が適用されないので、
数十万円から百万円かかることも珍しくない。
不妊治療の保険適用は、予定子ども人数0〜1人の夫婦の
予定人数を増やすことに繋がると期待される。

もう一歩立ち返って考えてみると、
「結婚後に子供を作る人数」はそれほど落ちていないので、
「未婚率の上昇」と「晩婚化」が、少子化の要因であるようだった。
すると、「いかに結婚を促すか」が、
少子化対策としても重要であることがわかる。

独身男性の4割が年収300万〜400万、600万以上は3.5%。
一方女性が結婚相手の男性に求める収入が600万とのことなので、
不況が続くとますます少子化の方向になるのだろう。
(参考:【第3回】"モテ"と"キャリア"の歴史その2:日経ビジネスオンライン

ちなみに、都市部の出生率は低い。
結果の概要|厚生労働省

H22年の合計特殊出生率の全国平均1.39に対して、東京都は1.12。
この原因は、果たして都会人のライフスタイルによるものなのだろうか?

どうも、違うようだ。
「合計特殊出生率」=
「結婚する者の割合」×「結婚した夫婦の子供の数」

なので、
東京の出生率が低い原因は「結婚する者の割合」の低下であるようだ。

厚生労働省:都道府県別にみた夫・妻の平均初婚年齢の年次推移を見ると
東京と神奈川だけ29歳を超えている。東京は29.7歳で一位

ちなみに先進国でも出生率が高いケースとして
よく引き合いに出されるのがフランスだが、
こちらは婚外子が半数を超えている
これは、婚外子も保障が得られるのも要因のひとつである様子。
図録▽婚外子(非嫡出子)の割合(国際比較)

ちなみに、同じ欧州先進国でも、婚外子が少ないドイツは出生率が低い。
図録▽合計特殊出生率の推移(日本と諸外国) そして、日本もドイツも財政支出も少ない。
図録▽少子化対策と出生率(先進国間比較)

移民政策などの政治的、文化的な背景と、
財政的な背景の切り分けは難しい。


まとめ:
少子化の要因は以下の通り。

  1. 結婚率の低下
  2. 晩婚化による出産先送りのため見かけ上の出生率低下
  3. 夫婦の出産数の低下

調べた限りでは、1と2の影響が大きいように思えた。
2.の晩婚化は3の原因にもなる。

予定出産数低下の原因は

  • お金がかかるから
  • 欲しいのにできないから

いずれにせよ、財政支出はある程度有効だろう。

<追記>
厚生労働省の2011年の人口動態統計によると、
初産は30歳超、初婚年齢も上昇...晩婚晩産進むとのこと・・・


<参考>

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このページは、haruが2009年11月17日 23:51に書いたブログ記事です。

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