してやられたの「して」とは?

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「してやられた」という表現がある。

相手の策略にまんまとハマって、
悔しい思いをした時に使う表現である。
自らの額を扇子でピシッと叩きながら使うと、
最高に何かがみなぎってくる。

ところで、この「して」って何なんだろう?

この午後のひと時(決めつけ)、
皆さんと一緒に考えて行きましょう。

その1:能の「シテ」説

能楽には「シテ」(仕手)という主役がいます。
「シテ」は物語の中心人物で、
観客を物語の世界に引き込む、
重要な役割を担っています。

つまり、
観客は「シテ」の演技によって、
まんまと能の世界に引きずり込まれる

ということなのです!

これが転じて、
「シテにやられた」→「してやられた」
つまり「主役の演技で騙された」
という意味に違いありません!!

ちなみに反対の役割は「ワキ」(脇)です。
脇役ってここから来てるんでしょうね。たぶん。

その2:パリの「シテ島」説

いきなり本命的な答えが出てしまったところで、
箸休めと行きましょう。

2番は、ハイ!

パリのセーヌ川に浮かぶ
「シテ島(Île de la Cité)」。 です。

ここはパリ発祥の地で、
古代からの要塞都市です(今知った)。

つまり、敵を島に誘い込んで、
四方を川に囲まれた状況で攻撃する、
という戦術の舞台なのです。

そう。
「してやられた」=「シテ島作戦にハマった」 なのです。

川に囲まれて逃げ場がない状況に
追い込まれる感覚。
これは確かに「してやられた」感です。
「してやられた」感しかない!(強調)

箸休めの割に、意外といい感じですね。

その3:「そして」が短くなった説

一番現実的なのはこれですね。

「そして」が短くなって、「して」になった

「相手が策略を仕掛けて、
 そして(その結果)、(自分が)やられた」

A→Bという原因と結果をつなぐ順接の接続詞、
キングオブ接続詞である「そして」の登場です! 待ってました!(待ってない)

これが縮まって「してやられた」になった、
というわけです。

言葉の変化としては自然ですし、
意味的にも筋が通りますね。

某有名RPGのサブタイトルにも入ってますし。
「して、伝説へ」
やや苦しいか。(フォロー)


いやー、読み返してみても甲乙つけ難いですね。
多分3番目が正解なんだろうですが、
1番目や2番目の方がウィットが効いている。
特に2であってほしい(願望)

想像してみてください。
パリに行ったときにセーヌ川を眺めながら、

「ああ、ここで昔の人も『シテやられた』んだよね。
 ナンチャッテ」

などとウソ知識を披露して同行者の失笑を買う。
最高の思い出ですよね。

さて、答え合わせといきましょうか。

して‐やら◦れる【▽為て▽遣られる】
[連語]《動詞「してやる」の未然形+受け身の助動詞「れる」》相手の策略にはまってしまう。

為て遣られる(シテヤラレル)とは? 意味や使い方 - コトバンク

なんや「為て遣る」って。
たいそう偉そうでおわすなぁ。

感想は以上です。

というわけで、弊サイトは「シテ島説」を強く
推していきたいと思います。