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感想メモ:新教養主義宣言

新教養主義宣言
新教養主義宣言
  • 発売元: 晶文社
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 1999/12/25

★★★★☆

教養。ないよりある方がいいに決まってる。

それではなぜ、自分は教養があると
自信を持って言えないのだろうか?
それは教養がないからだ。

代わりにあるのは、ドラえもんの身長体重とか、
ドラクエの呪文の消費MPとか、
およそ教養とは言えない知識とかだ。

それではなぜ、役に立つと思われる教養的な知識ではなく、
よくわからない謎の知識がしっかりと長期記憶に
インプットされてしまうのだろうか?

答えは簡単だ。
興味がある(あった)からだ。

逆に、なぜつまらなかった授業の内容が、
期末試験を受けたはずなのにも関わらず、
かけらも記憶が残っていないかというと、
興味がなかったからだ。

そして問題は、興味がないことに興味が湧かせることが
とても難しいところだ。
これができれば最強だと思うのだが、どうすればいいんだろう。

以下、メモした部分。

  • でも一番根っこのところで僕がよりどころにしたいと思っているのは、
    なんと言うべきか、おもしろさとか、心のときめきとかいうやつなんだ。
  • いつだって、伝えるべきなのは、教養そのものじゃない。
    その教養の持つ力であり、おもしろさだ。
    それがわかれば、みんな黙ってても勝手に自分で勉強するようになる。

情報について。

  • 情報は、何か意思決定して行動するためのツールとしてのみ意義を持つ。
    価値があるのはその意思決定なのだ。

その通り。だからこそ、教養をつけるためだけの
勉強なんていうものは、続く方が不自然なのだ。

  • 情報投資をいくらしても、生産性は実は全然上がらないのだ。
  • コンピュータがいくら使いやすくなったところで、
    意思決定は、そしてそれに伴う各種の行動が
    加速することはないだろうと思う。
    人間がこの世の主役である限りは。
  • 結局のところ、人は腹を決めるための時間が必要なのだ。
    「情報が必要だ」というのは実は、
    「時間が必要だ」と言っているだけなのだ。

このあたりの意見もおもしろい。

ここまでは前半1/3くらいまでなのだが、
その後は興味が湧かず、走り抜けてしまった。
教養がない私の教養への道のりは長いということで★3つ。
文学が好きな人とかは、もう少し評価が高くなるだろう。

やっぱり楽しくないことは続かないな・・・。

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感想メモ:本を読む本

本を読む本 (講談社学術文庫)
本を読む本 (講談社学術文庫)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 945
  • 発売日: 1997/10

★★★★☆

「本を読む」ことについてもう一度考えてみる

本書では、読書を4つのレベルに分けている。

  1. 初級読書
  2. 点検読書
  3. 分析読書
  4. シントピカル読書

1.は、読んだ内容を理解することができるという、読書に必要最低限のレベル。
2.は、本の内容を素早く把握することができるという、斜め読み、拾い読みといったレベル。
3.は、内容を丁寧に検討し、著者の主張を検証しながら読むレベル。当然時間がかかる。
4.は、同じトピックに関して複数の本を読むレベル。その分野に関する理解が深まる。

私の考えでは、この2.分析読書をできるかできないかが、
その人の読書量に大きく影響する。
というのも、全ての本を精読していたら、
「本を読む」ことの時間的、精神的なコストが、
非常に大きくなってしまうからだ。

読むべき物は読む、読まなくていい物(少なくともその時点では)は軽くスルーする、
というメリハリが、本と付きあっていくために重要だと思う。
読書が人生に与える影響が大きいと考えるならば、
この点検読書を身につけることが、
人生に影響を与えるものすごく大きな一歩になる。

その分析読書のキモだと思われる部分を紹介しておく。

  • 精神というこのすばらしい人間の道具は、
    ただ目を通して必要な情報が与えられさえすれば、
    本の一目でひとつの文または一つのパラグラフさえも
    つかみとることができる。
  • だから、読者の精神の働きを妨げる目の固定や逆戻りを
    まず第一に修正しなくてはならない。
    幸いなことに、これは簡単に直せる。・・・
  • 目を固定する癖をなおすには自分の手を使うだけでよい。
    自分の手をページの上において、
    それを段々早く動かす練習をする。

確かにこれだけでかなり早く読めるようになる。
かつ、そこそこ文意が把握できることに気づくだろう。
実は、もっと早くやっても結構把握できる。
(参考:フォトリーディング)

1978年の本だが、内容は現代でも全く通用する。
これは良著であることの証だろう。★4つ。

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感想メモ:本当はヤバくない日本経済

本当はヤバくない日本経済 破綻を望む面妖な人々
本当はヤバくない日本経済 破綻を望む面妖な人々
  • 発売元: 幻冬舎
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2009/04/23

★★★★☆

「外需依存型国家である日本は、円高の影響で輸出企業が壊滅、経済破綻する!」

よく吊り広告などに載っていそうで、なんとなくそうなのかなぁと
思ってしまうようなフレーズだが、実は四重に間違っているらしい。
その間違いとは、以下の通り。

  • 日本は他の先進諸国に比べて外需依存型じゃない
  • 実効為替レートではまだ円高というほど円高ではない
  • 輸出企業に影響への打撃は円高よりも需要減が大きい
  • 通貨高で破綻した国はない(逆はある)

それぞれの主張はデータに基づいていて、説得力がある。
逆に、マスコミの議論の粗さが目立つ。
まぁ、マスコミはキャッチーな話の方が目を引くので、
正しさは二の次なのだろう。

マスコミの報道を見ていると、過去5年に数回は日本は崩壊していそうだが、
実際はなんとか踏ん張りつつがんばっている。
マスコミは、なぜ適当な理屈で悲観的な話ばかりしたがるのだろうか。

1.経営者は給料を抑えたい
 →「経営環境は厳しい厳しい」と言っておきたい
 →マスコミのスポンサーは企業(のトップ)

2.悲惨な話の方がウケるから

3.単に自虐好き/けなすのが好き

4.どっかの陰謀

まぁ検証できないのでどれでもお好きなもので。

マスコミの情報を鵜呑みにするのではなく、
データに基づいた知識を得ておくのは良いこと。
話もわかりやすいし、良い本だと思う。★4つ。

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感想メモ:反転―闇社会の守護神と呼ばれて

反転―闇社会の守護神と呼ばれて
反転―闇社会の守護神と呼ばれて
  • 発売元: 幻冬舎
  • 発売日: 2007/06

★★☆☆☆

検事から弁護士に転身し(いわゆるヤメ検)、
ヤクザなど裏社会と強い関わりを持った田中森一氏。

検事の仕事の中身、政治家と裏社会との繋がり、
大物実業家のバブル時の振る舞いなど、
一般人には知り得ない様々なエピソードが読める。

知識として、へぇー、とは思ったが、
それほど強い興味を持っていないようで、
あまり読み進めなかった。

こういった内容に興味のある人向け。
私はあまりなかったので、★2つ。

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感想メモ:エコノミック・ヒットマン

エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ
エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ
  • 発売元: 東洋経済新報社
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2007/12/14

★★★★★

金融危機で陰りを見せているとはいえ、いまだアメリカは
世界全体に対して大きな影響力を持っている。
その影響力は、一体どのようにして作られてきたのだろうか?

方法の一つは、世界一を誇る軍事力だろう。
しかしそれは、あくまで最後の強行手段である
この本では、もう一つの力である経済力により、
他国を支配下に置く方法について書かれている。

その方法とは?
簡単にいうと以下のような流れだ。

発展途上の資源国にアメリカが乗り込み、
融資を受ければ飛躍的な高成長を見込めると口説いて、
大規模な近代化の開発を行う。請け負うのは当然アメリカ企業。
その恩恵は一部の富裕層のみに流れ、貧富の差は拡大。
しかも、飛躍的な高成長は続かないので債務不履行に。
するとIMFや世界銀行が入り、国としての自由は奪われる・・・

ポイントは、全てが合法的に行われているということだ。
コンサルタント、建設業、製造業。それぞれは企業活動を行っているだけだが、
結果としてアメリカ帝国の支配を強めるための駒の1つとなっている。
このやり方を、著者はコーポレートクラシーと呼んでいる。

もう一つのポイントは、普通の国は債務不履行になるような投資はしないが、
アメリカは違うという点だ。これはひとえに、ドルが基軸通過だからである。
この点については北野氏の隷属国家 日本の岐路に詳しい。

著者は、このアメリカの世界帝国化を請け負う、
エコノミック・ヒットマン(EHM)として長年働いてきた。
しかし、自らの行ってきた仕事がいかに世界を歪めているかに気づき、
本書でこの仕組みを告白している。

  • 世界の全人口のうち、もっとも裕福な国々に住む上位五分の一の層と、もっとも貧しい国々に
    住む下位五分の一の層との所得を比較すると、一九六〇年には三〇対一だったが、
    一九九五年には七四対一にまで格差が広がった。
  • もしアメリカの債権国のどこか(たとえば日本や中国)が、
    債務返済を求める決定をしたら、状況は劇的に変化する。
    アメリカは一瞬にして、きわめて危うい状況にいることに気づくだろう。
  • 現代の帝国の本当の筋書きーつまり絶望的な状況の人々から搾取する、
    歴史上もっとも野蛮で、利己的で、最終的には事故破滅的な資源簒奪を実行する
    コーポレートクラシーの物語ーは(中略)あらゆる点で私たち自身の問題なのだ。
  • NBAゼネラル・エレクトリック社の、ABCはディズニー社の、
    CBSはヴァイアコム社の傘下にあり、CNNは巨大な複合企業
    AOLタイムワーナーの一部である。
    新聞や雑誌や出版社の大半は巨大な国際企業に所有され、操作されている。
    メディアはコーポレートクラシーの一部なのだ。

平和な日本に暮らしているからこそ、
資本主義の暗い一面はぜひとも知っておくべき。
最後の1/4程だけでも読む価値がある。
オススメ。★5つ。

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感想メモ:社会化した脳

社会化した脳
社会化した脳
  • 発売元: エクスナレッジ
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2007/10

★★★☆☆

 脳には、社会的な能力を司る、特定の部位があるのだという。
例えば、危険を察知する部位、人の表情を読み取る部位、
信頼できるかどうかを判断する部位、人の視線を読み取る部位、などなど・・・

 こういった部位が損傷を受けた人は、これらの行動/判断がうまくできなくなってしまう。
fMRIでの脳の活性の観察などから、こういったことが明らかになってきているとのこと。

 それでは、これらの部位の働きを効率良く調整、あるいはトレーニングする方法がわかれば、
社会的なスキルの改善への効果的な対策となる・・・のかな?★3つ。

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感想メモ:脳は眠らない

脳は眠らない 夢を生みだす脳のしくみ
脳は眠らない 夢を生みだす脳のしくみ
  • 発売元: ランダムハウス講談社
  • 価格: ¥ 2,310
  • 発売日: 2006/03/16

★★★★★

 脳科学の歴史と現在に至る流れを、ジャーナリストである著者が研究者たちを取材し、まとめた本。

 研究者が書いた本ではないので、一つの立場からの見方だけではなく、
複数の考え方について紹介されており(前に紹介した「夢に迷う脳」の内容も含まれている)、
意見の対立についても書かれている。
例えば、古典的なフロイト心理学派の夢分析と、精神医学からの夢の見方との対立など。

 トピックとしては

  • 夢が脳のどこから発生しているか
  • 夢の持つ機能
  • 明晰夢(「これは夢だ」とわかっている夢)

など。特に夢の機能については一読の価値あり。

 睡眠が、記憶の形成や学習に重要な役割を果たすのは広く知られている。
これは人間だけでなく動物にも当てはまるらしい。
例えば、鳥は眠っているときにも歌を歌い(脳の活性で測定)、
それによって上達しているそうだ。

 人間も、音楽家やスポーツ選手は、練習の1,2日後にパフォーマンスが向上するが、
これは睡眠にが関わっているらしい。
夢は現実の復習やリハーサルでもあるのだ。

 睡眠が大事だというのは誰もがわかってはいるだろう。
この本を読むと、なぜ大事なのか理解が深まり、また興味もわく。
夢や睡眠についての本の中でも、内容も網羅的でかつ読みやすい。
とてもおもしろかったので★5つ!

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感想メモ:記憶力を強くする

記憶力を強くする—最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス)
記憶力を強くする—最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,029
  • 発売日: 2001/01

★★★★☆

 「歳をとると記憶力が悪くなる」「歳をとると物忘れが激しくなる」
というのは良く聞かれるフレーズだ。
しかし「それは誤解」と著者は言う。

 確かに歳をとると、神経細胞の総数は減っていく。
しかしシナプスの数は逆に増加していくというのだ。
このことは、歳をとると記憶容量は大きくなることを示している。

 ただ、年齢によって得意とする記憶の種類が変化するのだ。
若いうちは、脳は丸暗記のような記憶に適している。
それが歳をとるにつれ、丸暗記の能力は下がるが、
その代わりに論理だった記憶能力(エピソード記憶)が発達していく。

 つまり年齢によって得意とする記憶の種類が変わるだけなのだ。
従って、歳に応じた記憶の仕方をすることが重要だということになる。

 これだけでもかなり興味をそそられるのが、他に眠りや夢に関する記述もあり、興味深い。全体を通じては、まとめるのがうまく文章もわかりやすい。

 記憶は誰の生活にも密接に関わり、避けることはできない。
脳についての知識は、知らないと損だと思う。★4つ。

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感想メモ:一瞬で心をつかむできる人の文章術

一瞬で心をつかむできる人の文章術―1日たった15分10日間で上達!
一瞬で心をつかむできる人の文章術―1日たった15分10日間で上達!
  • 発売元: コスモトゥーワン
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2007/11

★★★☆☆

 文章をうまく書きたいけど、どう書けばいいかわからない。
文章を書くのがなんとなく苦手・・・

 そんな人のために、文章スクール主宰の著者が
うまく文章を書くためのコツやアイデアを書いている本。

 ストーリー仕立てで書く、5W1Hで書く、会話や心のつぶやきを入れるなど、
テクニックも色々と書いてある。
また、結論から先に書く、じらす、など構成についてもヒントが書かれている。

 しかし、である。

 結局文章がうまくなるには書くしかないのだ。
書くことを習慣にし、書くことが自然になるまで書くしかない。
1回の授業より100回書くことである。

 従って、一冊本を読んだところで即文章がうまく書けるようになるわけではなく、
文章を書くという習慣をいかに付けるか、というところが肝心である。
本書ではそこにあまりページは割かれてはいないが、長さは気にせず日記を書くことが勧められている。

 読後の感想は、タイトルはキャッチーだったなということだった。
期待しすぎたか。★3つ。

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感想メモ:夜と霧

夜と霧 新版
夜と霧 新版
  • 発売元: みすず書房
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2002/11/06

★★★★☆

 極限での心理状態

 アウシュビッツを生き抜いた心理学者の著者が、
その極限状態の心理分析という視点でその体験を書きつづっている。

 右へ行けば死、左へ行けば生。
掛け値なしにそういった判断が何十も積み重なっている。
そんな中で人間は、人間らしさを残したまま生きていけるものなのか?
そこに自らのあり方について選択の余地があるものなのか?
自分ならどうなるだろうか?

 考えさせられる。

 どんな状況にでも人は適応してしまう、できてしまうのだという事実を
自ら身をもって確認する状況。できることなら体験せずにいたい。★4つ。

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