感想メモ:人生と財産—私の財産告白

人生と財産—私の財産告白
人生と財産—私の財産告白
  • 発売元: 日本経営合理化協会出版局
  • 価格: ¥ 10,290
  • 発売日: 2000/01

★★★★☆

 手に取るとズシリと重い(しかもお値段約1万円)昭和25年発行の「私の財産告白」、26年発行の「私の生活流儀」、53年発行の「人生設計の秘訣」の3冊をまとめた本。正直気後れしたが、読み始めてしまえば実は随分と読みやすい本だった。

 内容については、戦前の話もあるが、仕事への取り組み方などは現代にも通じるところは多い。心に残ったことは以下の部分。

・仕事の道楽化
 これが難しい。

・人生即努力、努力即幸福
 努力が幸福につながると考えれば努力のしがいもある。

・十五〜二十年単位の人生計画

・処世九訓

  1. 常に心を快活に持すること
  2. 専心その業に励むこと
  3. 功は人に譲り、責は自ら負うこと・・・縁の下の力持ちに
  4. 善を称し悪を問わないこと・・・長所と交われば悪友なし
  5. 本業を妨げなき好機はいやしくも逸しないこと
  6. 常に普通収入の1/4と臨時収入の全部を貯えること
  7. 人から受けた恩は必ず返すこと
  8. 人事を尽くして時節を待つこと
  9. 原則として個人間に金銭貸借を行わぬこと

・全ては実行にある
 早手回し。仕事、支度、移動、、、

 偉人の人生訓を聞けるということで★4つ。

 三冊同時復刊で、合わせて3000円程度で入手できるようになったようだ。
【重要】本多静六博士の三部作、三冊同時復刊!ツイてる!

私の財産告白
私の財産告白
  • 発売元: 実業之日本社
  • 価格: ¥ 1,050
  • 発売日: 2005/07/10
私の生活流儀
私の生活流儀
  • 発売元: 実業之日本社
  • 価格: ¥ 1,050
  • 発売日: 2005/07/10
人生計画の立て方
人生計画の立て方
  • 発売元: 実業之日本社
  • 価格: ¥ 1,050
  • 発売日: 2005/07/10

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感想メモ:フラット化する世界(上)(下)

フラット化する世界 [増補改訂版] (上)
フラット化する世界 [増補改訂版] (上)
  • 発売元: 日本経済新聞出版社
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 2008/01/19
フラット化する世界 [増補改訂版] (下)
フラット化する世界 [増補改訂版] (下)
  • 発売元: 日本経済新聞出版社
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 2008/01/19

★★★★☆

 有名な本書だが、今ごろ読んでみた。

 内容は伝え聞いて知っていた通り。ネットの発達により世界の距離が縮まり、また距離を超えた仕事のアウトソーシングも進行している。このことを「フラット化」というキーワードで述べているわけだが、その要因を大きく3つにまとめている。

 PC1台あれば、距離を超えて世界中から情報を手に入れ、コミュニケーションを取ることができるような「場」ができたということ、その場を利用する「人」が爆発的に増えたこと、その人たちが場の新しい「使い方」を身につけ始めた、という3つである。本書ではこのこと「三重の収束」と呼んでいる。

 
 確かに、「場」はできた。日本はインフラも十分発達していて、ユーザーもブロガーも非常に多い。しかしこの「フラット化」を活用している人は非常に少ない。それは言語の問題があり、またフラット化の恩恵に預からなくても日々暮らしていけるという環境の要因もあるだろう。

 扉が開かれている。では、その扉はどうすれば開くのだろうか。


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感想メモ:報酬主義をこえて

報酬主義をこえて (叢書・ウニベルシタス)
報酬主義をこえて (叢書・ウニベルシタス)
  • 発売元: 法政大学出版局
  • 価格: ¥ 6,090
  • 発売日: 2001/02

★★★★★

子供が良い成績を取ったらごほうびをあげる。
企業業績と給料を連動させる。
こういった報酬による動機付けは、世の中に広く浸透している。

 報酬は、確かに短期的に人の行動をコントロールすることができる(行動主義)。
しかし、
「報酬が行うのは報酬そのものに対する欲求(外的動機付け)」
であり、
「行動そのものを行う喜び(内的動機付け)を生み出すことはない」
というのが著者の主張である。

そればかりでなく、報酬の弊害は大きい。

  • 報酬を与えられない場合、罰として作用する
  • 人間関係を破壊する:他人の足を引っ張ることが自分の利益に繋がる
  • 冒険に水をさす:求められること以上のことをするのは無駄になる

 そして報酬の最も大きい弊害は、
対象への興味を損なうことである。

私は、全ての報酬が悪だとは思わない。
子供の勉強などを思い返してみれば、
きっかけは報酬だが、やがて内的動機付けが生まれてくる、
というケースもあると思うからだ。

そして、報酬をなくすことはできそうもない。
ならば、報酬の害を最小限にするにはどうしたらいいだろうか?

  • 報酬は小さくこっそりと
  • 相対評価にしない
  • 課題と似たものに
  • もらう方に選択の余地を

つまるところ、子供や従業員が、
勉強や仕事自体を楽しむようにするには、
どうしたらよいのだろうか?

その鍵として3つのCが紹介されている。 

  • 協力(COLLABORATION):チームワーク
  • 内容(CONTENT):意味があると感じられること
  • 選択(CHOICE):やり方を自分で決められること

である。

つまるところ、人間は、
意味がないと思われることをやらされるのは嫌い
で、
意味があると思えることを、
仲間たちと、自由に(と思えるように)やれると一生懸命になる

ようだ。

なんとなくわかってはいたことだが、
理解が深まってとてもおもしろく読めた。
オススメ度は★5つです!
ちょっとお高いので、図書館などで。

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感想メモ:だれでも天才になれる脳の仕組みと科学的勉強法

だれでも天才になれる脳の仕組みと科学的勉強法
だれでも天才になれる脳の仕組みと科学的勉強法
  • 発売元: ライオン社
  • 価格: ¥ 750
  • 発売日: 2001/12

★★★★☆

 池谷裕二氏による、脳科学の知見を利用した勉強法の紹介。

  • 復習は1ヶ月以内でないと忘れてしまう
  • 参考書は1冊を繰り返す
  • 一科目を得意にすると、他の科目の理解も上がる(学習の転移)
  • 知識記憶よりも経験記憶に(関連付け、語呂合わせ、人に説明、耳で覚える)
  • 知識記憶は中学生まで、高校からは経験記憶が優勢になる
  • 方法記憶(理解の仕方)は、知識を他の分野にも活かせる魔法の記憶
  • 学習の転移は累乗の効果があるので、努力の継続により急上昇する
  • 勉強を始めてから効果が現れるまで最低3ヶ月以上かかる
  • 睡眠は記憶を整理するので最低6時間の睡眠が必要
  • 繰り返しの刺激が記憶を定着させるので復習は必須
  • 興味を持つ(θ波)、感情を刺激する(扁桃体)、空腹時/寒い(生体の危機感の利用)により学習効率は高まる

 個人的には「STUDY HACKS!」など他の本で同じような内容を読んだことがあったので、復習になった。「方法記憶」はこの本で最も強調したいところだったと思うので、もう少し掘り下げて欲しかった。

 本全体として、知っていて損はない内容。近年の脳科学の発展はすばらしいと思う。★4つ。

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感想メモ:1日5分 頭がよくなる習慣

1日5分 頭がよくなる習慣
1日5分 頭がよくなる習慣
  • 発売元: 中経出版
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2007/12/01

★★★★☆

 25年間、子供から大学生までの勉強を見てきた著者が紹介する、「頭がよくなる習慣」の数々。それは一言で言うと、「頭」だけでなく「心」と「体」も使うということである。

 「体」について著者が見出した法則とは
「成績が良い子は体がやわらかく、芳しくない子は体が硬い」
だったそうだ。逆に、勉強前に前屈とブリッジを習慣付けることで、集中できる時間が延びたとのこと。

 鼻呼吸をすると口呼吸よりも酸素摂取量が多くなるというのは知らなかったが、そうらしい。眠くなったときにも良さそうだ。
鼻呼吸と口呼吸の違い – 教えて!goo

 脳がブドウ糖を必要とするというのは良く知られている通り。

 「心」については、勉強の目的を持つこと、穏やかな心を保つことなど。他の勉強ノウハウ本にはない内容が多かった。

 自分が体験を通じて感じていたことが書かれているところもあり、自信になる部分もあった。他の本でも見られるような内容も多いが、それだけ多くの人のお墨付きということであるので、覚えておいてもよいことだろう。

 「これはできない」と思うこともあったが、ただのノウハウ本とはちょっと違う雰囲気がおもしろかったので★4つ。

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感想メモ:弁護士が教える 気弱なあなたの交渉術

弁護士が教える 気弱なあなたの交渉術
弁護士が教える 気弱なあなたの交渉術
  • 発売元: 日本実業出版社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2008/08/28

★★★★☆

 交渉において、言ってははいけないこと、やってはいけないこと、
言うといいこと、やるといいことなどを、弁護士である著者が
具体例を挙げて紹介している本。

 交渉は相手に合わせすぎても我を通しすぎても、
理性に頼りすぎても実地ではうまくいかない。
感情と理性のバランスをとることで初めて、
通用する交渉ができるようになったとのこと。
感情の部分について、「影響力の武器」という本が紹介されている。

 次に、交渉におけるテクニックが紹介されている。

  • まず聞くことで相手に聞く耳を持たせる
  • 限定する
  • 質問で要求
  • 「仮に」で展開をコントロール
  • 「YES BUT」ではなく「YES そして」

 他にも、相手のタイプ別の対処法や、断るときのコツなどが紹介されている。
交渉には必ず相手があるので、心理学が有効に活用できる。
その意味で、コールドリーディングの本と重なる部分が多かった。

 さすがに、本書を読んでいきなり交渉がうまくなることはないだろう。
実際の交渉にあたり「こういうやり方があったな・・・」と思い出せればそれでよしとすべき。
それには復習が大事。一読しただけでは身に付くまい。
知っていると良いことが多かったと感じたので★4つ。

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感想メモ:考具—考えるための道具、持っていますか?

考具—考えるための道具、持っていますか?
考具—考えるための道具、持っていますか?
  • 発売元: 阪急コミュニケーションズ
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2003/03

★★★★☆

 考えてアイデアを生み出し、企画としてまとめる。博報堂の企画屋である著者が、培ったノウハウを教えてくれる本。考具とは「考えるためのツール」という意味。

 本書は企画屋さんの本らしく、インプット→展開(アイデア)→収束(企画) というように企画としてまとめる流れと、その各ステップに用いるツールを紹介している。ツールは、心構えや習慣から筆記用具、PCの使い方まで幅広い。

 しかし本書で教える最も大切なことは「アイデアを考える習慣をつける」ということだろう。どの道でも、継続は力なり。逆に言えば、読んで「ふーん」と思うだけでは、いくら良い本であっても意味がない。その習慣をつけるための方法が書いてある本として、「脳が教える! 1つの習慣」がオススメ。★4つ。

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感想メモ:脳が教える! 1つの習慣

脳が教える! 1つの習慣
脳が教える! 1つの習慣
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2008/07/05

★★★★★

 目標を達成したい。何かを成し遂げたい。
そのときに効果を発揮する「1つの習慣」。それが、

「小さなことから始める」

ということだ。

 なぜだろう?
脳は、大きな変化を必要とする大きな目標を立ててると、
脳は難しく感じて抵抗する「ようにできている」のだ。
生物として、生存確率が低くなることは避けたいだろうから、
そうなってしまっているのだから、しょうがない。

しかし「ダイエットする」という大きな目標を、
「珈琲に入れる砂糖の最初の一杯を少なくする」
というような小さな目標から始めれば、
一歩目を楽に踏み出すことができる。

 この「一歩踏み出す」ことが大事なのだ。
一歩出てしまえば、二歩目を出すのは一歩目よりもずっと簡単。
そして三歩、四歩と続けていくのも、難しいことではないのは、
誰しも経験があることだろう。

つまり、0歩と1歩の間の谷をいかに超えるかが肝心で、
そのためには「1歩目を小さくすること」が非常に有効なのだ。

 他にも

  • 「自分に小さな質問をする」
  • 「脳はイメージと行動を区別できない」
  • 「小さな行動を起こす」
  • 「小さなごほうびを与える」

 など、おもしろい内容が続く。

 「目標の最初の一歩は小さく」と覚えておくだけで、
自分をコントロールする上でもとても実用的。

「小さなことからコツコツと」は、
脳科学的にも正しいことだったのだなぁ。
オススメ度は★5つです!

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感想メモ:ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略

★★★★☆

 世界に50億と言われる貧困層(BOP:Bottom of Piramid)だが、彼らを対象としたビジネスは可能であり、そのためは何が必要かを説明し、実際に運用されている事例を紹介している本。本書の前半は理論的な部分、後半は事例の紹介。

 このような話では、グラミン銀行のマイクロファイナンシャルが有名だが、他にも途上国でのビジネスを成功させている例はあるのだ。例えばヨード欠乏症を防ぐ、ヨード添加塩の販売。下痢による感染の蔓延を防ぐために、手洗い習慣を推進する石鹸販売、他にも義足の販売、信用販売、住宅供給など成功例は多い。貧困層をターゲットとしたビジネスは不可能ではないのだ。

 ただし、それが簡単でないのも事実。例えば、嗜好品を売ろうと思ってもうまく行かないのは明白だ。従って、成功にはいくつもの条件が必要とされる。それを文中では「イノベーション12の原則」として紹介している。

 ★4つだが、堅い本なのできちんと全部読もうとすると、かなり時間がかかるので注意。付属のCD-ROM(英語)には、本に書かれている事例についての映像での説明がある。また、本に書かれていない追加の事例紹介もあり。

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感想メモ:まぐれ—投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか

まぐれ—投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか
まぐれ—投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 2008/02/01

★★★★☆

 人間はランダム性を正しく認識できないということを、投資を舞台に語っている本。「行動経済学入門」と重なる部分が多いが、「投資家のほとんどの成功は運による要素が多いが、実力と勘違いしている場合が多い」と容赦ない。

 著者によれば、ある状況で高いパフォーマンスを出す投資家は、状況に過剰適応している可能性が高く、大暴落などの状況では、全てを吹き飛ばすような大損をすることになる。日頃は高いリターンを得られないが、堅実な運用をしている人の方が長い目で見れば大きなリターンを得る(ロバストネスのトレードオフ)。果たして、投資の世界には前者のような人たちがほとんどだったということが、今回の金融危機で証明されたことになる。

 著者はというと、ロングのオプションしか取らないという変わったスタンスである。彼のアドバイスに従った投資家は、今回の金融危機でも非常に高いパフォーマンスを上げたということで注目を浴びた。
「ブラックスワン」の助言、プラス50%超の運用成績生む−大暴落でも – Bloomberg.com

 難点は、読みにくいこと。「目次で内容がわかるような本は嫌いだ」と語る通り、目次を見ても内容がわからない。意図的なのだろう。

 投資に興味がある人には★5つ。ない人には★3つ。「The Black Swan」という続編あり。

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読んできた本の内容をまとめて紹介。