「君の名は。」の入れ替わりの謎について考えてみた

「君の名は。」を深読みする

※ネタバレを多分に含みますので、未鑑賞の方はご注意ください
## 残った謎 「君の名は。」が感動を生む理由について考えたことを、 前回の記事で、お腹いっぱいになるまでたっぷり語った。 →「君の名は。」はなぜ人を感動させるのか? - うむらうす が、いくつか腑に落ちない点があったので、 小説を読んだり、何回も映画を見返したりして考えた。 そのうち、主に他のサイトであまり触れられていない点について、 書いておきたい。 主に、 - 映画を観て、もっと深く知りたくなった人 - 映画を何回か観た人 - これから二回目を観ようという人 向けですが、そうでない方でも、 何かの参考になれば幸いです。
これはあくまで個人的な意見であり、 正しいとかいうつもりは全くありません。 こういう考え方もあるんだな、と読んでもらえれば幸いです。
## 内容 - **三葉と瀧の入れ替わりは、同じ日には起きていない?** - **御神体からの帰り道、入れ替わりが強制終了した後はどうなった?** ## 三葉と瀧の入れ替わりは、同じ日には起きていない? これは、映画を何回か観て感じた違和感だった。 **瀧が初めて三葉の体に入れ替わったのが、仮に9月X日**とする。 「夢の中で入れ替わってる」と言うから、私は **9月2日は互いに入れ替わり、つまり 瀧は三葉に入り、三葉は瀧に入った** んだろうな、と思っていた。 三葉が自分のノートに**「お前は誰だ?」**と 見慣れぬ筆跡で書かれているのを見たのは、 **入れ替わりの翌日だから9月3日**。 your_name14.png
©2016「君の名は。」製作委員会(※画像は予告動画からのキャプチャです。以下同様)
とすると、**瀧の体に入れ替わった三葉が、 手のひらに「みつは」と書いたとき、 ノートの「お前は誰だ?」はまだ見てなかったのでは?** と思った。 your_name13.png ちょっとややこしいので、表にする。 緑の数字は、ストーリー進行の順番。
日付 三葉の体の中の人 瀧の体の中の人
9月1日 三葉
2日    三葉
瀧の手のひらに
「みつは」と書く。
ノートまだ見てない?
お互いの入れ替わり初日
3日  三葉
ノートに書かれた
「お前は誰だ?」を発見
3日の夜  三葉
「イケメン男子に
してくださーい!」
5日 三葉 ←次の入れ替わり
こんな感じの、違和感を感じたのだ。 ただ、シーン進行が____→____→____→____ であるおかげで、 観客は、____の時点で**「お前は誰だ」は見ている**ので、 ____で思い出すことに違和感は生じにくいだろう。 はて、どういうことだろうか。 もう一度、映画でのシーンの進行を確認してみる。 - (____)**9月2日** 瀧が三葉の体に初めて入り - (____)**翌日3日** 三葉がノートに見慣れぬ筆跡の**「お前は誰だ?」を発見** - (____)**3日の夜** 豊穣祭で口噛み酒をクラスメートに見られ、 **「東京のイケメン男子にしてくださーーい!」** と叫んだ。 your_name02.png - (____)その翌日以降、 三葉が瀧への入れ替わりを初めて体験。 **これは三葉の時間では、4日以降**なはず(確か5日) つまり、 **瀧が三葉に入ったのは、9月2日**。 **三葉が瀧に入ったのは、9月5日**。 ということは・・・こんな感じ?
日付 三葉の体の中の人 瀧の体の中の人
9月1日 三葉
2日   ←瀧初の入れ替わり
3日  三葉
ノートに書かれた
「お前は誰だ?」を発見
3日の夜  三葉
「イケメン男子に
してくださーい!」
5日 三葉  三葉
瀧の手のひらに
「みつは」と書く。
ノートは既に見た!
←三葉初の入れ替わり
それ以降 三葉 ←入れ替わり
同時じゃないこともある
あれ?・・・そうなの? **入れ替わりって、お互いが同時に入れ替わるんじゃない**の? なんか同時に入れ替わらないと、 **一人が、瀧の体と三葉の体、両方に入らないといけなくなり**、 複数の義体を同時に扱う少佐のようなスペックが必要になる ような気がしていた(©攻殻機動隊)。 しかし冷静に考えると、**そもそも3年ずれてる**のだから、 上の表の2日も、5日も、 **「完全に同じ日に両方に入ってる」わけではない**。 だから、いいのかな。 三葉も瀧も、 **「記憶に一日空白があると、そのときは相手が入ってる」** とだけ理解している風であり、 **入れ替わる先の日付は、入れ替わる元の日付の 次の日だとは限らない**のかもしれない。 **<結論>** - **入れ替わりは、同時に起きるわけではない** - だから、**入れ替わる先の日付が、入れ替わる元の日付の 次の日だとは限らない** 御神体へ向かう日、三葉に入った瀧が **「なんで制服着てるの?」**と言われるのは、 このことを示しているのかもしれない。 書いてみたら理解できた。スッキリ。
追記 と思ったら、公式パンフレットvol2で、 答えがしっかり説明されていた。 - **入れ替わりは同時に起きる!(3年ずれて)** 矛盾するように思えるが、 説明を読むとそういうことか、と思えた。 なぜそうなるのかは、読んでみてください。

御神体からの帰り道、入れ替わりが強制終了した後はどうなったの?

実は、上のことが問題になるシーンが、もう一つある。
それは、三葉に入った瀧が、御神体へ口噛み酒の奉納を
終えた後の帰り道のシーン
だ。

一葉に、「あんた今、夢を見とるなぁ?」と言われた瀧は、
初めて「眠る」以外のトリガーで、入れ替わりが解ける

次のシーンは、奥寺先輩とのデートの日に目が覚め(10:15)、
自分の涙に気付くシーン。(涙の理由は、次の項目で)

ここで気になるのが、
「あんた今、夢を見とるなぁ?」と言われた後の三葉の体は、
どうなったのか
、ということだ。

一葉と四葉が、あの山道の途中から三葉を運び下ろすのは
無理だろうから、自然な解釈は「三葉が中に戻って帰った」
というものだろう。

この場合も、「入れ替わりは同じ日に起きている」とすると、
三葉が、瀧の体と三葉の体、両方に入らないといけなくなり、
なんかおかしくなると思った。

でも、3年ずれてるし、日付もずれてOKと考えれば、
お休みしていた三葉に急な呼び出しがかかっただけで、
特に問題はなさそう
だ。

ということで、このことも、
「入れ替わりは別の日でもOK仮説」
裏付けるものとなった、ような気がする。

追記 ここに関しては、公式パンフを読んでもすっきりしない。 入れ替わりが同時に起きるのだとしたら、 瀧と三葉は同時に突然元に戻ったのだろうか?

三葉は、東京行きの朝、なぜ泣いていた?

your_name04.png

「あれ?私・・・なんで?」
(みたいなセリフだったと思う)

このシーンの涙の理由だが、
「瀧のことが好きになり始めているから、
瀧が奥寺先輩とのデートするのがイヤ」

という解釈が多いようだ。

それはそれでステキな解釈なのだが、
付け加えて別の可能性を提示してみたい。

それは、
「もう入れ替わりが起こらない、
つまり瀧との別れを予感しているから」

というもの。

避難をしないケースでは、
もう入れ替わりは起こらないため、
このままでは、もう瀧と会う機会は永遠に失われてしまう

意識はしていないが、
そんな予感に、いてもたってもいられなくなり、
東京に瀧に会いに行った...
のではなかろうか。

こう思うのは、理由がある。
それは、この日(瀧にとってはデートの日)の朝、
目覚めた瀧も、同じように泣いていた
のだ。

your_name12.png

このシーンは、瀧が三葉に入れ替わり、
一葉と四葉と御神体へ向かい、口噛み酒を奉納してからの帰り、
一葉に「あんた今、夢を見とるなぁ?」と言われた直後。
これが涙の理由とは思えず、瀧自身も涙の理由はわかっていない。

この二人の涙、私には同じものに思える。もっと言えば、
大人になってからの二人が、
起きたときに流している涙と同じ理由、つまり、大きな喪失

を予感したからなのではなかろうか。


ということで、映画を何回か観た人、
あるいはこれから二回目を観ようというような人向けに、
あまり他で書かれているのを見ない点について書いてみた。

他にも、
「三葉に他人が入っていると気付いたのが、
祖母と父だけだったのはなぜ?」

とかも書こうと思ったのだが、
これは他の方が書いているので、いいやと。

まぁざっくり書くと、その二人が入れ替わり経験者だからかなと。
祖母は自分で言っているし、父についての根拠はこちら。

好きな作品について調べるのって、楽しい。 本当に、すばらしい作品をありがとうございます。 観てから何週間経っても、まだ満喫しております。 皆さんが感動したシーン、好きなシーンなど、 web拍手のコメントから教えてもらえるとうれしいです。 ↓
----- ## もっと深く考えたい人へ ## 理解を深めるために(参考にした資料など) ### 小説
新海 誠
KADOKAWA / メディアファクトリー 2016-06-18
100万部突破。 第三者的な視点で描かれる映画とは異なり、 三葉と瀧の視点から、それぞれの内面も語られている。 映画では、表情しかわからなかった彼らの内面が、 ああ、そういうことかとわかったり。 例えば、一度目の御神体からの帰り道、 三葉に入った瀧が、おばあちゃんに **「あんた今、夢を見とるなぁ?」**と言われたとき、 瀧が何を考えていたのか、など。 理解を深めたい人には、オススメ。 ### Another Side(外伝的な小説) このAnother Sideでは、 映画では詳しく描かれなかった、 三葉(瀧)のバスケ、バス停横のカフェづくり、 テッシーが三葉に協力的な理由、 町長説得(2回目)が成功した理由などがわかる。 特に、映画ではほとんど描かれなかった、 町長の内面が描かれていたのが、非常に良かった。 理解を深めたい人は、こちらもぜひ。 ### その他資料 **新海誠監督作品 君の名は。 公式ビジュアルガイド** 新海監督や、安藤作画監督、キャラクターデザインの田中氏、 音楽のRADWIMPSのメンバーなど、製作スタッフのインタビューも 掲載されている。 ストーリーに沿った、映画のシーンも掲載されているので、 映画を見た気分が蘇るところもうれしい。 設定資料などもあり。 **新海 誠Walker**
新海 誠,コミックス・ウェーブ・フィルム
KADOKAWA/角川マガジンズ 2016-08-26
¥ 2,592
こちらも、インタビュー記事が掲載されている他、 新海監督の過去の作品についても紹介されている。 結局私は「ほしのこえ」「秒速5センチメートル」 「言の葉の庭」も見るに至った。 「君の名は。」は、過去の作品の要素も 多く散りばめられているので、 興味を持った方は、どうぞ。 **ユリイカ 2016年9月号**
新海誠,神木隆之介,RADWIMPS,丹治匠,中田健太郎
青土社 2016-08-27
¥ 1,147
さすがユリイカ、ものすごく深読みしている人たちの論評が読める。 なるほどなぁ、という視点がいくつも得られた。 個人的には、木村朗子さん、藤津亮太さんの論評が、興味深かった。 一通りの情報を読み終えたら、最後にたどり着くところはコレ、という感じ。
追記 と思ったが、12月発売だけあって、 こちらももう一つの終着点。 小ネタや裏設定がいろいろ明らかに。 **君の名は 劇場パンフレット Vol.2**

参考にしたサイト

  1. 『君の名は。』大ヒットの理由を新海誠監督が自ら読み解く(上) 新海誠・映画『君の名は。』監督インタビュー|『週刊ダイヤモンド』特別レポート|ダイヤモンド・オンライン
  2. 新海誠監督が「君の名は。」の舞台裏を語った......「映画通に不評でも、大きな層を狙いたかった」 (1/4) - ITmedia ニュース
  3. 『シン・ゴジラ』と『君の名は。』と 〜あの日以降の日本と映画〜
  4. 映画『君の名は。』考察と評論 作品タイトルに込められたテーマとは? ※ネタバレあり!
  5. 『君の名は。』ネタバレ解説!ラストまでのあらすじや伏線、売上などを徹底考察します!
  6. 『君の名は。』深すぎる「15」の盲点
  7. 【ネタバレ】「君の名は」関連年表(アニメ版・小説版・スピンオフ小説版総合)
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このブログ記事について

このページは、2016年10月11日 08:00に書かれたブログ記事です。

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