感想メモ:動きが心をつくる──身体心理学への招待

動きが心をつくる──身体心理学への招待 (講談社現代新書)
動きが心をつくる──身体心理学への招待 (講談社現代新書)
  • 著者: 春木 豊
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 798
  • 発売日: 2011/08/18

★★★★★

「動き」と「心」は、どんな関係?

多くの人が
「心が指令を出した結果、動きが起きる」
のだと考えているだろう。

しかし、心と身体はつながっているので、
そう簡単な一方通行の因果関係ではない。
むしろ、互いに影響を与え合うという関係だ。
このことは、心はなぜ腰痛を選ぶのかなど、
医療の分野でも言われていることだ。

このように、身体の動きが心の動きに影響を及ぼす、
という立場に立つのが「身体心理学」。

基本的に身体心理学は
身体の動きやそこから生ずる感覚や
気分・感情という心の根源に立ち戻り、
単なる観念ではなく、現実に密着したリアルな
心の働きを明らかにしようとするものである。
脳という中枢の存在は、
末梢である四肢の活動の経験の集積であって、
末梢である身体なしに存在しえない。

特に、次に挙げるウィリアム・ジェームスの説は、
とても興味深い。

身体的変化は
刺激を与える事実の知覚の直後に起こり、
この変化の起こっているときの
これに対する感じがすなわち
情動であるというものである。

「悲しいから泣く」のではなく、
反射的に泣くという身体の変化が起こり、
情動はその結果ついてくる、つまり
「泣くから悲しい」のだというのだ。

呼吸、筋反応、表情、発声、姿勢、
歩行、対人距離、対人接触、
これらは自動的に行われるものでもあるし、
意識的に行うこともできるものでもある。

これらを意識的にコントロールすることで、
心にも影響を与えることができる、
という様々な研究結果が紹介されている。

例えば、呼吸はゆっくりと腹式で、
吐き切った後、吸う前ににしばらくそのままでいる、
というポーズのある呼吸が、
生理的な安定をもたらす
とのこと。

他にも、以下のような実験結果が紹介されている。

  • 姿勢を変化させて音楽を聞くと、
    背筋を丸め、顔は下を向けたときに
    ネガティブな感じに聞こえる
  • 「イー」と発音する場合(口が横に広がる)と
    「ムー」と発音する場合(唇がとんがる)では、
    前者の方が快を感じ、落ち着くと感じる
  • 歩くときに歩幅を大きくし、テンポを上げると、
    自信があり、開放された気分に変化した
    (指でリズムを刻むだけではならない)

また、筋肉を緩める訓練をしておくと、
恐怖への耐性も強くなるそうだ。
精神的な緊張は、身体的な緊張と
一体のもの
なのだ。

筋肉を緩めると、ストレスを下げ、
免疫活動を高めるという結果もある。
つまり、筋肉を緩める技術を身に付ければ、
筋肉だけではなく、精神面や健康面にも
その効果は及ぶ
ということなのだ。
おもしろい!

本の最後には、身体を動かすことで、
心も健やかに保つためのエクササイズが
紹介されている。

心も身体も健やかに保ちたい。

これは万人の願いだろう。
そのための貴重な気づきが多く得られる本だった。
オススメ度は★5つです!
心と身体の健康に興味がある人は、ぜひ。

動きが心をつくる──身体心理学への招待 (講談社現代新書)
動きが心をつくる──身体心理学への招待 (講談社現代新書)
  • 著者: 春木 豊
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 798
  • 発売日: 2011/08/18

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