感想メモ:オードリー・タンの思考

★★★★☆

オードリー・タンと言えば、
台湾史上最年少で入閣した台湾のデジタル担当大臣。
天才ハッカー。トランスジェンダー(従って「彼女」と表記)。
というぐらいの前提知識で読み始めた。

この本では彼女へのインタビューを元に、幼少期の経歴、
それがどのように彼女の人格形成に影響を与えたか、
社会活動への参画のきっかけとその後の活躍、
思想などが書かれている。

台湾では、2014年にひまわり活動という学生運動が起きた。
ひまわり学生運動 – Wikipedia
詳細は上のリンクを参照してもらうとして、
この活動で何が起きているのか、リアルタイムで配信したのが、
彼女が参加しているg0vという団体だった。
g0v.asia

ポリシーとして、透明性を重視(全て記録、公開)している。
デジタル担当大臣として、毎週水曜は大臣室をオープンにし、
予約を取れば誰でも面会可能にしているそうだ。
また、発言はオンラインで残るようになっている。

オープンソースコミュニティー出身のハッカーである彼女。
異なるバックグラウンドを持った多様な人が、
協力できるようにファシリテートする。
トップダウンではなくボトムアップで問題に取り組む。
やっていることはずっと変わらないのだと。

常に何十ものプロジェクトに参加していて多忙なはずだが、
燃え尽きないのだろうか?
そのあたりの答えも書かれていた。

私は趣味でデジタル担当大臣をやっているので、
この仕事をしているときが一番楽しいんです。
ある漫画で主人公が『自分は趣味でヒーローになった』
と言う台詞があるのですが、それと一緒ですね。

まさかのワンパンマン。
というのは置いておいて、楽しむ(fun)、面白い、
ということを重視しているようだ。

2006年、私は国際的に『まず、楽しむこと』
と言う概念を発表しています。
情熱や使命感は一定の時間を過ぎると使い終わって
しまうけれど、楽しさを原動力にすれば
ずっと続けることができる。
だから私たちは使命感ではなく自分が楽しいことを
優先しよう、と提案しました。

私の行動原理はとてもシンプルで、
「自分が面白いと思うことしかしない」と言うことです。
例え大金を稼げる仕事があったとしても、
面白いと思えない仕事であれば、やりません。

面白いと思いながら何かに携われる場合、
私はその過程で新しい学びを得ることができ、
私と一緒に仕事をしている人とも
そういった学びの楽しさを共有でき、
彼らもまたより積極的に
参加してくれるようになるからです。

また、睡眠は8時間取るようにしているそうだ。
睡眠不足だといい仕事ができないと。見習いたい。

インスピレーションの源は睡眠です。
やり方はとてもシンプルで、寝る前、
解決したい問題に関連する資料を読み込みます。
この時はただ頭に入れるだけで、何も考えずに、
ただただページを素早くめくります。
そのまま眠りにつくと、翌朝起きた時には
答えが出ているのです。

日本の政治も、台湾のような透明性を
持つようになる日が来て欲しい。