「★★★★」カテゴリーアーカイブ

感想メモ:糖質制限食パーフェクトガイド

★★★★☆

糖尿病の食事療法として生まれた
糖質制限食だが、ダイエットの手法としても
とても効果がある。

この本は、「パーフェクトガイド」
というだけあって、論文の内容は豊富。

著者は、糖質制限食の第一人者の江部先生。
「ドクター江部の糖質病徒然日記」のブログにも
情報は豊富にあるが、本書は内容を体系化し、
より理解しやすいかたちにまとめられている。

「食事の内容のうち、
血糖値を上げるのは糖質だけ」。
この生理学的な事実に加えて、
糖質制限食の有効性について
数々のエビデンスの裏付けが
積み重ねられ、アメリカにおいては
糖質制限食が定着しつつあるのです

ケトン体が増加するのは
一日の摂取糖質量が50g以下の場合
とされていますので、
これ以上の糖質を摂取すると
ケトン体増加はないことになり、
体外への排出もありえません。

入門書というよりも、より正確な知識を得たい、
疑問を明らかにしたい、という人にオススメです。

糖質制限って?という人には、
「マンガでわかる糖質制限」もオススメです。

感想メモ:自分を愛する力

★★★★☆

「自分を愛する力」すなわち
「自己肯定感」について。

「五体不満足」の乙武氏は、
五体満足な多くの人よりも、
強い自己肯定感を持っている。
そしてそれは、両親からもらったもの。

僕が両親の子育てを振り返ったときに
最も重要だと感じたキーワードは
「自己肯定感」だった(p104)

自分の子供が両手足がなく生まれてきたときに、
果たして「かわいい」と言えるだろうか?

そう言えるような母親の元だからこそ、
彼を授かったとも言えるのかもしれない。

思いの根っこにあるのは「わが子のため」なのかもしれないが、
それを無理強いすることで、
いちばん大切にしなければならない
「わが子の思い」を踏みにじってはいないだろうか(p74)

人間関係の課題とは、
自分としては喜ばせているつもりだけど、
相手は喜んでいない、ということに気付く
ことなのかもしれない。

子どもがいる人、これから子どもを持つ人に
特にオススメです。

感想メモ:悪魔を出し抜け!

ナポレオン・ヒル
きこ書房 2013-11-01
¥ 1,836

★★★★☆

「思考は現実化する」の著者のナポレポン・ヒルが、
「悪魔との対話」を書き留めたもの。

そんななので、原稿自体は70年以上前のものだが、
親族が出版を差し止めていた、といういわくつき。

確かに、生前にこんな本が出版されたら、
世間の目や評判などが、気になりまくるだろう。

で、内容はどうかと言うと、
とても含蓄深い言葉が並んでいる。

この本にどう臨むかというと、
私は以下の通りだと思った。

おそらく、この対話を最も有効的に利用する方法は、
悪魔の存在を彼の主張する通りに受け入れ、
自分がこれは使えると思うメッセージがあれば、
それに素直に従うことだ。
悪魔が何者で、それが本当に実在するのかどうか
などということは、この際忘れた方がいい。(p86)

ということで、以下がメモした部分。
たくさんになった。

何かを手に入れたいのなら、まず与えることが大切だ。
窮地にある人に手を差し伸べようとする人は、
必ずそれに対して正当な報酬を得ることになる。
それは直接相手から来なくても、
いずれ必ず何らかの形でもたらされる。(p69)

欲しいものをあれこれとねだるのではなく、
すでに持っているものを
自分が無駄にしないようにと祈る。(p72)

すべての人間は、幸福で充実した人生を
自分に与えるという義務がある。
それを達成し、もはや自分の願望の実現のためには
時間もエネルギーもそれほど必要なくなったという人間だけが、
他人を助けるという義務を負うことになる。(p246)

失敗によって人間は、自分が意志の力をどれほど
持っているか試される。
さらに、失敗することがなければ
決して知ることのなかった
多くの真実も学ぶことになる。
また、失敗によって多くの人間が、
自制心の重要性を知るようになる。(p309)

人間の思考習慣は環境から受ける影響によって形成される。
よって、その影響をコントロールすることのできる者は
自分の運命を自ら支配することができる。
そうでない者は運命の方に支配される。(p338)

与えることの重要性、失敗について、思考について、
情報源がなんであれ、大事なことは大事なことなのだ。

結局のところ、とても参考になる本でした。

ナポレオン・ヒル
きこ書房 2013-11-01
¥ 1,836

感想メモ:毎日が小さな修行

塩沼亮潤
致知出版社 2013-11-21
¥ 1,404

★★★★☆

人生も中盤にさしかかってくると、
なかなか思うところも増えてくる。

しかし大人になってから、
人生の知恵を教えてくれる人に、
出会うことは、あまり多くないだろう。

そんな人には、九日間も飲まず、食べず、寝ず、
という荒行をも体験された、大阿闍梨である著者からの
人生を生きる上でのヒントとなる言葉がオススメ。

一つ目は、呼吸をし、
この世に生かされていることだけで
ありがたいと「感謝する」心を持つこと。
二つ目は、自分の悪いところを見つけて、
心の底から「反省」をして、
さらに一段上の自分に生まれ変わろうとすること。
三つ目は、好き嫌い、
尊敬できるかできないかにかかわらず、
どんな人にでも「敬意」を払うこと。

その日出会った一人ひとりを喜ばせて、思いやる一日を送る。
それが人生円満、家庭円満、世界円満の基本です。
自分自身の日常を見直すことは、
すべての円満につながっていくことです。

誰かにお仕えさせていただき、
皆さんが喜んでくださったら、
自分の心が潤います。
前向きに考えれば、仕事は非常に楽しくなり、
いつの間にか次の日の分まで
終わっていたりします。
仕事を楽しみ、自分との戦いに克つと、
とても有意義な一日になります。

厳しい修行は、人格を練る(=悟る?)ことが
その目的なのですな。

多くのいい言葉に出会える本でした。

塩沼亮潤
致知出版社 2013-11-21
¥ 1,404

感想メモ:42.195kmの科学

NHKスペシャル取材班
角川書店(角川グループパブリッシング) 2013-02-09
¥ 820

★★★★☆

運動好きならば観たであろう、
NHKの「ミラクルボディー」シリーズ。

そのマラソンの回の内容について、
番組では紹介できなかった取材内容やデータも含め、
紹介されている。

特に「効率の良い走り方」についての、
マラソン世界記録保持者の科学的なデータ、
専門家による分析に注目した。

マカウの肉体は、マラソンを走っている間でも
乳酸が過剰に蓄積しない。つまり、マカウは
1km三分を軽く切るペースでマラソンを走っていても、
足に疲労を感じることなくフィニッシュまで辿り着いている
可能性があるということです(p89)

なんと!マラソン走っても足が疲れない!?どういうこと?
その秘密は「ミラクルに効率の良い走り方」にあるそうだ。

そのポイントの一つは姿勢。

マカウの走りで、まず目を引いたのは、きれいに直立した姿勢である。
真横から見ると、頭から首、胴体(体幹)が一直線となり、
足も、腰(重心)の真下からやや前方に着地をしている…
肩甲骨を引き、下腹部を引き締め、腰の位置も高い。(p91)

確かに、効率が良いのは一直線だろう。

次のポイントが、着地。

マカウは足の小指から着地し、
つま先全体で地面を捉えて蹴りだしていることが確認できた。
かかと(踵骨)には、ほとんど体重が乗っていない。(p98)

つま先に近いマカウの着地の方が、
体に受ける衝撃力が、約40kg分も少なかったのである(p102)

マカウはソフトにつま先から着地をすることで
ブレーキがかかるのを防ぎ、
その結果、より少ない力でスムーズに重心を
移動することが出来ていたのである。(p107)

いわゆるフォアフット着地。
データとしても、衝撃が小さいと確認された。

ただしこれは、幼少時から裸足で過ごすことで、
その走り方に足が適応していることもあるようだ。

マカウは、足の指を曲げたり、土踏まずを支えたりする
「深部底屈筋群」(後脛骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋)が
非常に発達していた(p123)

踵着地よりも、足の中心着地や、
つま先着地のランナーの方が、
走力が高いというデータもあるそうだ。

それは、つま先着地により足が鍛えられる、
という側面もありそう。

足底のアーチ・サポートや
硬いソールを備えたランニングシューズが、
足や土踏まずの筋力の低下を招き易くしたした(p124)

ランナーや運動好きの人には、かなり楽しめる内容。
オススメです。

NHKスペシャル取材班
角川書店(角川グループパブリッシング) 2013-02-09
¥ 820

感想メモ:外反母趾は包帯1本で治せる

★★★★☆

外反母趾では、親指が人差し指の側に曲がってしまう。
かかる人は、女性が多い。
様々な治療法があるが、治すのは難しい。
こんな印象。

この本で紹介されている治療法は、
包帯を巻くだけという手軽さ。
そしてそれでも効果があるというのが驚き。

母趾外転筋と母趾内転筋のバランスが取れていれば、
足の第一指ははまっすぐに伸びています。
ところが、開張足でそのバランスがくずれ、
内側のほうへ引っぱる力のほうが強くなると、
足の第一指が第二指側に曲がってしまう…(p24)

簡単に言うと、

  1. 足の甲の筋肉が弱まって、足が広がる(開帳足)
  2. 親指を人差し指側に引く筋肉が、強く引っ張られる
  3. 親指を外側に引く筋肉が弱る

→親指が人差し指側に曲がる
という感じ。

1の、「足の筋肉が弱くなる」ところが元凶であるようだ。
そこで、伸びる包帯で足の甲をグルグル巻くことで、
親指が人差し指側に引っ張られないようにして、元から断つ。
対症療法ではないので、時間はかかっても効果がありそうだ。

本当は、裸足で凸凹な道を歩くのが、自然のトレーニング。
が、そうも言ってられないので、ウォーキングしたり、
お風呂で揉んだりして、筋肉のバランスを整える。
バランスが崩れてしまったら、包帯を巻いてサポート。
ということになるのだろう。

外反母趾に悩んでいる人や、
私のような体・健康マニアの人にオススメです。

感想メモ:実践 行動経済学

リチャード・セイラー,キャス・サンスティーン
日経BP社 2009-07-09
¥ 2,310

経済学は、
「人間は完全に合理的な行動を取る」
と仮定している。
しかし、自分のことを考えればすぐわかるが、
そんなことはない。

さっさとやればいいと、頭ではわかっていても逃避する。
時間のムダだと思うことに没頭する。
10円の節約をして10000円の無駄遣いをしたりする。
何より「めんどくささ」にものすごく弱い。

だって人間だもの。

では、その人間らしさを考慮したらどうか。
具体的には‥

  • 選択肢を多くしすぎない
  • デフォルトの選択肢を推奨されるものとする
  • 選択肢の検討は、可能な限り簡単にする

など。

こういったことによって、
多くの人々が最大の利益を得るような、
制度設計が可能になる。

この本では、こういった工夫のことを
「ナッジ」と呼んでいる。

実例として、
資金運用プランの設計、
保険制度の設計、
などが挙げられている。

この考え方は、人々を狙い通りに動かす、
という強力な力を秘めているので、
良心を持った運用が求められる。

以下、メモ。

社会的影響力は二つのカテゴリーに大別される。
第一のカテゴリーは「情報」である…
第二のカテゴリーは「仲間からの圧力」(ピア・プレッシャー)
である…(p91)

つまり、「みんなやってるよ」効果。
「みんな悪いことやってるよ」にしてはいけない。
「みんないいことやってるよ」にするのがポイント。

社会的に望ましい行動にナッジしたいなら、
現在の自分たちの行いが社会的標準レベルよりも
良いことを絶対に知らせてはならない(p114)

え?がんばりすぎた?もっと手を抜こう。
となるから。

制度設計に関わる人には、
ぜひ一読をオススメしたい。
ただ、ページ数多いので注意。

リチャード・セイラー,キャス・サンスティーン
日経BP社 2009-07-09
¥ 2,310

感想メモ:「疲れない身体」をいっきに手に入れる本

★★★★☆

ロルフィングの施術者である藤本氏は、
「五感」の感覚器を活用することが特徴。

私たちの普段の生活では、外の世界との関わりの大部分を
視覚情報を通して行うため、聴覚情報に意識を向けることは、
身体をリラックスさせるのに役立ちます。(p31)

目と耳と口とゆるめると、
身体もゆるんでくるそうだ。
おもしろい!

もっとも手っ取り早いのは、
瞼の上から指で眼球に触れる方法です。(p33)

眼球を動かす筋肉と首の深部筋には、
解剖学的にも神経学的にもつながりがある(p40)

耳の緊張が「頭の芯」を介して横隔膜に伝わり、
横隔膜が固くなっている(p51)

脚を組みたくなったり、貧乏ゆすりしたくなるのは、
脚が身体を支える機能をしていないことが理由です。

耳を引っぱると、頭も横隔膜もほぐれるというのも、
おもしろい。耳なら、やろうと思えばすぐできるし。

仕事でもプライベートでも、
パソコンが日常に浸透している人は、
眼だけでなく頭が慢性的に疲れがち。

うまく疲れを取ってあげたるためのヒントが、
たくさん詰まった本です。

身体についてマニアックに興味がある、
私のような人もオススメです!

感想メモ:ライフ・トラベラー

喜多川 泰
ディスカヴァー・トゥエンティワン 2013-08-13
¥ 1,365

★★★★☆

人生は旅のようなものだ。
という考え方を持ったことは、特になかった。

そんな私ではあるが、この本で言わんとすることは、
とてもしっくりきた。

むしろ、これまでの経験から、現在持つに至った考え方を、
ピッタリと言葉にしてくれていることに驚いた。

著者の喜多川泰さんと考え方が似ているのか、
あるいは喜多川さんの本に影響されてきたのか。
おもしろかったから、どちらでも良いことにする。

<やりたいこと>を<やらなきゃいけないこと>に
変えなければいいだけさ(p64)

目の前にやってくることに全力で取り組めば、
楽しく感じて、その中からやりたいことが湧いてくるんだって(p66)

これから誰かに出会うかなんて、どんなに<損得>を考えても、
将来を計算しても誰にもわかりっこない。
でも、その出会いが中心となってぼくたちは人生を創っているんだ(p73)

いま真剣に取り組んでいることから
情熱を感じるものがあったら何か行動を起こす、
という生き方のほうが、自分が想像している以上の
幸せが手に入る。驚くべき人生が待っている、
とぼくは思うんだ(p74)

タイトルの「タイム・トラベラー」については、
小さい驚きが待っていたので、ここでは書かない。

読んだ感触は「スタートライン」に似ていた。
もっと続きが読みたいのに、終わっちゃったなー、という感じ。

今後も期待してます。

喜多川 泰
ディスカヴァー・トゥエンティワン 2013-08-13
¥ 1,365

感想メモ:採用基準

伊賀 泰代
ダイヤモンド社 2012-11-09
¥ 1,575

★★★★☆

日本に足りないのはリーダーやリーダーシップであると同時に、
「リーダーシップに関する、重要性や必要性の認識」です(p172)

と、マッキンゼーで12年間採用業務を担当してきた著者は言う。

これは、日本にはリーダーシップに対する誤解があり、
その誤解によって、リーダー経験を持つ人が
不足していることに原因がある。

  • リーダーは一人いればいい
  • リーダーが全部やる。他の人は見てればいい
  • リーダーは全員の意見をまとめなければならない
  • リーダーは調整役である

これらはすべて誤解である。

リーダーとは、
成果を出すことを優先する人
のことなのだ。
他のことは、例えチームの和ですら、二の次となる。

目標を掲げ、先頭に立って進み、
行く道の要所要所で決断を下し、常にメンバーに語り続ける、
これがリーダーに求められている四つのタスクなのです(p133)

リーダーの困難さを知っている人ほど、
リーダーをサポートする良いメンバーにもなれる。

リーダーの苦労を知っていればこそ、
リーダーシップを取った勇気ある人が、
何を求めているのかがわかるようになるからだ。

メンバーがリーダーにどこまでついていけるのかということは、
「その成果を出すことに、それぞれのメンバーがどこまでコミットしているか、
成果を出すことを、みんながどれほど重要だと思っているか」
にかかっているのです(p109)

リーダーシップを取るという経験は、決して楽なものではない。
特に初めての場合、様々な苦労を経験するだろう。
でも、それは将来、必ず大きなものとなって返ってくる。

道に落ちているゴミを拾うのだって、リーダーシップ。
そんな小さなところからでも、始めてみよう。

「リーダーシップとは、学び、鍛えるべき資質である」
(Trainable なスキルである)

のだから。

全般的に、その通り、と頷ける本でした。
日本を良くするためにも、多くの人に読んで欲しい一冊です。

リーダーシップについての本は、以下にまとめてあります。
リーダーシップ

伊賀 泰代
ダイヤモンド社 2012-11-09
¥ 1,575