「知識・教養」タグアーカイブ

感想メモ:第8の習慣 「効果」から「偉大」へ

第8の習慣  「効果」から「偉大」へ
第8の習慣 「効果」から「偉大」へ
  • 発売元: キングベアー出版
  • 価格: ¥ 2,494 (5% OFF)
  • 発売日: 2005/04/23

★★★★☆

 フランクリン・コヴィー博士による、名著「7つの習慣」の続編。

「7つの習慣」が「行動を行う際の指針」であるのに対し、
この「第8の習慣」は行動以前に「ボイス(内面の声)」に耳を傾け、
「自分が情熱を持って行い、才能を発揮できることを見つける」
という所から議論が始まる。

つまり、「第8の習慣」で何をするのかを定め、
「7つの習慣」に基づいて実行するという構造になる。

 詳しい内容は他に譲り、印象に残った点を書いていく。
本書には繰り返し現れるフレームワークとして、
「1.肉体(PQ)、2.知性(IQ)、3.情緒 (EQ)、4.精神(SQ)」
というものがある。

IQとEQの違いはわかるが、EQとSQの違いがピンと来なかった。
しかし、EQは感情、SQは信頼や夢(ビジョン)などが属するものと捉えると、
なんとなく違いが理解できる。

 内容の理解を深めるものとして、短編映像が入っているDVDが付属されている。
ページ数も500ページを超え、ボリュームたっぷり。
腰を据えて取り組むべき本。関連する本として「パワーの原則」を挙げる。
(→感想メモ:パワーの原則

第1部に関しては「大好きなことをしてお金持ちになる」も近い印象を持った。
内容はすばらしいと思うのだが、ちょっとヘビー過ぎたので★4つ。

関連エントリー


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:「食糧危機」をあおってはいけない

「食糧危機」をあおってはいけない (Bunshun Paperbacks)
「食糧危機」をあおってはいけない (Bunshun Paperbacks)
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 1,150
  • 発売日: 2009/03/26

★★★★★

 データに基づいた説得力のある議論

 人口増加。資源の枯渇。低い食糧自給率。食糧危機を煽る風説は、世間に一定の理解を得ている。しかしその内容は正しいのか?と聞かれれば、「知らない」というのが普通の人の答えだろう。一方、その問いに「否」と答えるのが本書である。

 著者は農水省で世界の食料生産見通しなどの研究を行い、現在東大農学部の助教授をしている識者。タイトルは軽いが、しっかりとデータに基づいた議論がなされていて説得力がある。

  • 中国、インドなどの経済成長での食糧消費増加で食糧危機?→NO
    →肉を食べる量が増えるという仮定に基づいている。中国の飼育用食糧はブラジル産大豆のしぼりかすで賄われた。インドは肉を食べない。
  • 人口爆発で食糧危機?→NO
    →アジア主要国の出生率は既に2以下。
  • 食糧生産量は限界?→NO
    →世界に休耕地は多い。生産効率化も進んでいる地域の方が少ない。食糧生産量は需要に合わせられているだけ。
  • バイオ燃料で今後食糧不足に?
    →NO。アメリカのバイオ燃料施策は農業保護。トウモロコシはブラジルのサトウキビに価格競争力で勝ち目がない。
  • 食糧自給率はカロリーベース。肉の消費量が増えると、飼料が輸入に頼っているため計算上自給率が下がるという寸法。

 まとめると、食糧は余っている。買ってくれるところがないから作らないだけ。生産余力は十分ある。食糧の入手先は多様。全ての国が同時に輸出を禁じることは考えられない。よって食糧危機は来ない。

 あらまぁ。食糧危機説って農水省のプロパガンダなの?

 ということでおもしろかった。良著。オススメの★5つ。


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:反対尋問の手法に学ぶ 嘘を見破る質問力

反対尋問の手法に学ぶ 嘘を見破る質問力
反対尋問の手法に学ぶ 嘘を見破る質問力
  • 発売元: 日本実業出版社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2008/06/19

★★★★☆

 弁護士として数多く法廷で証言をする証人を見てきた著者による、嘘をつく人への対処法を説明する本。法廷という特別なシチュエーションで培われた考察だが、普通の状況でつく嘘にも当てはまるだろう。

 おもしろいと思ったのは以下の点。

  • 嘘には、記憶違いや思い込みによるものと、意図的に作られているものがあるが、記憶違いは結構多いこと。人の記憶は影響を受けやすく、かなりあやふや
  • 記憶違いの場合は「嘘つき」呼ばわりは危険。共同作業で一緒に思い出してもらう
  • 意図的に嘘をついている人は、聞かれてもいないことを話しがち
  • ストーリーは理路整然としていても、実体験ではないのでディテールを聞かれると詰まる
  • ・女性は男性よりも嘘がうまく、嘘をつくときでも目が泳がず目を見据えることができる

 実際に明日から書かれていたことを使うかと言われると難しいが、知っていておもしろい内容だった。サラッと読むとよいと思う。★4つ。

関連エントリー

その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法

決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)
決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)
  • 発売元: 朝日新聞社
  • 価格: ¥ 756
  • 発売日: 2007/05/11

★★★★★

 なんとなく会計を勉強したい、という人にとてもオススメできる本。私が読んだ「わかりやすい会計の本」の中では最も良い。その理由は、B/S、P/L、CSを「つながり」を持って説明していることにある。

 事業の流れとしては、「お金を集め」「何かに投資し」「利益を上げる」という3つがある。これがそれぞれ「B/Sの右側」「B/Sの左側」「P/L」との「つながり」がある。「B/Sの右でお金の集め」「B/Sの左で投資し」「P/Lで利益を出す」と考えれば、とてもスッキリする。

 またこの3つが、CSの「財務CF」「投資CF」「営業CF」との「つながり」もある。そしてP/Lの「当期純利益」がB/S右下の「繰越利益余剰金」に現れるという「つながり」もある。お金を集めるには「借りる」「資本を入れてもらう」他に「自分で稼ぐ」という手があるからだ。そしてこの「繰越利益剰余金」は新しい資産としてB/S左側に現れる。

 これらの基本を説明した後に、それを踏まえて架空の事業で財務3表がどう動くかをシミュレートする。この実践例を全てこなしたら、かなり身になるだろう。知識は、意味と関連性を考えることで定着しやすくなるという良い例。

 全ての社会人にオススメ。★5つ。


関連エントリー

その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:データでわかるモノの原価

データでわかるモノの原価
データでわかるモノの原価
  • 発売元: ソフトバンク クリエイティブ
  • 発売日: 2005/12/22

★★★☆☆

 いわゆる原価本(←そういう言葉があるのかは知らない)。

 ユニクロ、宝石、iPod、お茶、ハンバーガー、中古車、100円ショップ、大人のおもちゃ、カツラ、コンタクトレンズ、棺桶、牛乳、納豆、卵、ラーメン、チョコレート、パン、りんご、うなぎ、ビール、ケーキ、アイス、ふぐ、ワクチン。色々なものの原価が出ている。

 全部読んでもどうせ覚えちゃいられないので、興味があるところを拾い読みしていくとよいだろう。個人的にはユニクロの原価率が意外と低いこと、牛乳、納豆、卵、チョコレート、ハンバーガーの薄利多売ぶり、コンタクトレンズ、お茶、棺桶などの間接費用の高さが印象に残った。他にも、流通が複雑すぎる業界もある。もっとシンプルになるのではないか。逆に、シンプルにしてコストを下げているところこそが生き残っているとも言える。

 似たような本も色々出ているので、どれか読んでおけば良いだろう。教養ですな。★3つ。

関連

その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:計画の科学—どこでも使えるPERT・CPM

計画の科学—どこでも使えるPERT・CPM (ブルーバックス 35)
計画の科学—どこでも使えるPERT・CPM (ブルーバックス 35)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 861
  • 発売日: 1965/04

★★★☆☆

 プロジェクトなどの計画を行うための手法である、PERT(Program Evaluation and Review Technique)、CPM(Critical Path Method)などの紹介。1967年の本。

 事業の大規模化が進み、計画の重要性は増しているが、日本人は全体を見渡した計画を作るのが苦手であるところを、オペレーションの勤勉さカバーしている。そこで「PERTなどを使ってきちんと計画を行うといいですよ」というのが主旨。PERT+CPMは、一番時間のかかる工程やボトルネックを把握するのに便利な手法。詳しくはこの辺りを参照されたい。
http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/pert.html

 現在どの程度PERTが使われているのかは知らないが、実際に工程を動かす実務には役立っているのではないかと思われる。日常的にはガンチャートくらいしか見ないが、製造業とかだときちんとやってるのだろうか。よく知らない。

 読んだのは「計画の科学II」の方なのだが、Amazonにないのでこちらをリンクしておく。IIの方が実際のプロジェクトの計画の説明が多い実務寄り、Iの方はPERT/CPMの紹介に近いようだ。

 やや専門的なので、興味がある人には★4つ。関係ない人には★3つ。


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:人生と財産—私の財産告白

人生と財産—私の財産告白
人生と財産—私の財産告白
  • 発売元: 日本経営合理化協会出版局
  • 価格: ¥ 10,290
  • 発売日: 2000/01

★★★★☆

 手に取るとズシリと重い(しかもお値段約1万円)昭和25年発行の「私の財産告白」、26年発行の「私の生活流儀」、53年発行の「人生設計の秘訣」の3冊をまとめた本。正直気後れしたが、読み始めてしまえば実は随分と読みやすい本だった。

 内容については、戦前の話もあるが、仕事への取り組み方などは現代にも通じるところは多い。心に残ったことは以下の部分。

・仕事の道楽化
 これが難しい。

・人生即努力、努力即幸福
 努力が幸福につながると考えれば努力のしがいもある。

・十五〜二十年単位の人生計画

・処世九訓

  1. 常に心を快活に持すること
  2. 専心その業に励むこと
  3. 功は人に譲り、責は自ら負うこと・・・縁の下の力持ちに
  4. 善を称し悪を問わないこと・・・長所と交われば悪友なし
  5. 本業を妨げなき好機はいやしくも逸しないこと
  6. 常に普通収入の1/4と臨時収入の全部を貯えること
  7. 人から受けた恩は必ず返すこと
  8. 人事を尽くして時節を待つこと
  9. 原則として個人間に金銭貸借を行わぬこと

・全ては実行にある
 早手回し。仕事、支度、移動、、、

 偉人の人生訓を聞けるということで★4つ。

 三冊同時復刊で、合わせて3000円程度で入手できるようになったようだ。
【重要】本多静六博士の三部作、三冊同時復刊!ツイてる!

私の財産告白
私の財産告白
  • 発売元: 実業之日本社
  • 価格: ¥ 1,050
  • 発売日: 2005/07/10
私の生活流儀
私の生活流儀
  • 発売元: 実業之日本社
  • 価格: ¥ 1,050
  • 発売日: 2005/07/10
人生計画の立て方
人生計画の立て方
  • 発売元: 実業之日本社
  • 価格: ¥ 1,050
  • 発売日: 2005/07/10

その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:フラット化する世界(上)(下)

フラット化する世界 [増補改訂版] (上)
フラット化する世界 [増補改訂版] (上)
  • 発売元: 日本経済新聞出版社
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 2008/01/19
フラット化する世界 [増補改訂版] (下)
フラット化する世界 [増補改訂版] (下)
  • 発売元: 日本経済新聞出版社
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 2008/01/19

★★★★☆

 有名な本書だが、今ごろ読んでみた。

 内容は伝え聞いて知っていた通り。ネットの発達により世界の距離が縮まり、また距離を超えた仕事のアウトソーシングも進行している。このことを「フラット化」というキーワードで述べているわけだが、その要因を大きく3つにまとめている。

 PC1台あれば、距離を超えて世界中から情報を手に入れ、コミュニケーションを取ることができるような「場」ができたということ、その場を利用する「人」が爆発的に増えたこと、その人たちが場の新しい「使い方」を身につけ始めた、という3つである。本書ではこのこと「三重の収束」と呼んでいる。

 
 確かに、「場」はできた。日本はインフラも十分発達していて、ユーザーもブロガーも非常に多い。しかしこの「フラット化」を活用している人は非常に少ない。それは言語の問題があり、またフラット化の恩恵に預からなくても日々暮らしていけるという環境の要因もあるだろう。

 扉が開かれている。では、その扉はどうすれば開くのだろうか。


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:弁護士が教える 気弱なあなたの交渉術

弁護士が教える 気弱なあなたの交渉術
弁護士が教える 気弱なあなたの交渉術
  • 発売元: 日本実業出版社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2008/08/28

★★★★☆

 交渉において、言ってははいけないこと、やってはいけないこと、
言うといいこと、やるといいことなどを、弁護士である著者が
具体例を挙げて紹介している本。

 交渉は相手に合わせすぎても我を通しすぎても、
理性に頼りすぎても実地ではうまくいかない。
感情と理性のバランスをとることで初めて、
通用する交渉ができるようになったとのこと。
感情の部分について、「影響力の武器」という本が紹介されている。

 次に、交渉におけるテクニックが紹介されている。

  • まず聞くことで相手に聞く耳を持たせる
  • 限定する
  • 質問で要求
  • 「仮に」で展開をコントロール
  • 「YES BUT」ではなく「YES そして」

 他にも、相手のタイプ別の対処法や、断るときのコツなどが紹介されている。
交渉には必ず相手があるので、心理学が有効に活用できる。
その意味で、コールドリーディングの本と重なる部分が多かった。

 さすがに、本書を読んでいきなり交渉がうまくなることはないだろう。
実際の交渉にあたり「こういうやり方があったな・・・」と思い出せればそれでよしとすべき。
それには復習が大事。一読しただけでは身に付くまい。
知っていると良いことが多かったと感じたので★4つ。

関連

その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略

★★★★☆

 世界に50億と言われる貧困層(BOP:Bottom of Piramid)だが、彼らを対象としたビジネスは可能であり、そのためは何が必要かを説明し、実際に運用されている事例を紹介している本。本書の前半は理論的な部分、後半は事例の紹介。

 このような話では、グラミン銀行のマイクロファイナンシャルが有名だが、他にも途上国でのビジネスを成功させている例はあるのだ。例えばヨード欠乏症を防ぐ、ヨード添加塩の販売。下痢による感染の蔓延を防ぐために、手洗い習慣を推進する石鹸販売、他にも義足の販売、信用販売、住宅供給など成功例は多い。貧困層をターゲットとしたビジネスは不可能ではないのだ。

 ただし、それが簡単でないのも事実。例えば、嗜好品を売ろうと思ってもうまく行かないのは明白だ。従って、成功にはいくつもの条件が必要とされる。それを文中では「イノベーション12の原則」として紹介している。

 ★4つだが、堅い本なのできちんと全部読もうとすると、かなり時間がかかるので注意。付属のCD-ROM(英語)には、本に書かれている事例についての映像での説明がある。また、本に書かれていない追加の事例紹介もあり。

その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru