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感想メモ:発想法、続・発想法

 

発想法—創造性開発のために (中公新書 (136))
発想法—創造性開発のために (中公新書 (136))
  • 発売元: 中央公論社
  • 価格: ¥ 693
  • 発売日: 1967/06
続・発想法 中公新書 (210)
続・発想法 中公新書 (210)
  • 発売元: 中央公論社
  • 価格: ¥ 861
  • 発売日: 1970/02

★★★★☆

KJ法の入門書

著者川喜田氏考案のKJ法について、その目的や意義、手法などを説明した本。KJ法は、データの収集と仮説を立てる間にあるプロセスで用いる、創造的発想法という位置づけである。簡単に言えば「多くのデータをまとめ意味を抽出する」作業である。

 KJ法というと、思い付くことをたくさんの紙片に書きつけて、関連のあるものをグルーピングする、という印象がある。しかし本家はもっと奥深く、厳密だった。例えば、このグルーピングは理屈で考えたものではなく、心を空っぽにして「なんとなく親しみを感じる」というような感性で行うとのこと。また、グルーピングは小→大というボトムアップで行い、決してトップダウンで行ってはいけないとのこと。 

 「KJ法」と言ってみたい人は、「発想法」「続・発想法」のどちらか一冊を読んでおいた方がよいだろう。「続」の方がKJ法を実践する手法の説明に重きが置かれ、手順の説明や、実際に作られた図が多く示されているので、「続」の方がよいかな。ただ実際に身につけたいと思ったら、研修会に出るか別の本を読んだ方がいい気がする。

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感想メモ:銃・病原菌・鉄

銃・病原菌・鉄〈上巻〉—1万3000年にわたる人類史の謎
銃・病原菌・鉄〈上巻〉—1万3000年にわたる人類史の謎
  • 発売元: 草思社
  • 価格: ¥ 1,995
  • 発売日: 2000/09
銃・病原菌・鉄〈下巻〉—1万3000年にわたる人類史の謎
銃・病原菌・鉄〈下巻〉—1万3000年にわたる人類史の謎
  • 発売元: 草思社
  • 価格: ¥ 1,995
  • 発売日: 2000/09

★★★★☆

 「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」の「この本がスゴい2008」経由で。

 ヨーロッパが世界を植民地にできた理由が「銃・病原菌・鉄」であるが、それがなぜヨーロッパで栄えたのか。それは必然なのか、偶然なのか。という壮大なテーマについて。内容については、上記サイトの書評を読んでもらえれば。
わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: Google Earth のような人類史「銃・病原菌・鉄」

 確かに興味深いテーマで、提示されている仮説も説得力があって、とてもおもしろい。しかし、ページをめくる私の手は、重かった。なぜかというと、読みにくいのだ。これが著者との相性なのか、翻訳のせいなのかはわからない。理系の子だからか?と思ったが、そうでもなさそう。これでもっと取っ掛かりやすければ、と思ってやまない。

 歴史好きには★5つ、普通の人には★3〜4か。読みやすければ文句なしの★5。

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感想メモ:問題発見プロフェッショナル—「構想力と分析力」

問題発見プロフェッショナル—「構想力と分析力」
問題発見プロフェッショナル—「構想力と分析力」
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 2,520
  • 発売日: 2001/12

★★★☆☆

 『問題解決プロフェッショナル「思考と技術」』の続編。
解決以前に、適切に問題を発見するところに焦点を当てている。以下内容。

 ・問題は「あるべき姿」と「現状」の「ギャップ」。
うまく問題を発見できないのは、「あるべき姿」を描けなない、
「現状」の把握が正確でない、「ギャップ」の構造がわからない、
解決策を「現状できること」ベースで考えている、などのケース。

 ・現状ベースではなく、ゼロベースで「あるべき姿」を考える。
ツールとして4P。Purpose:何のために、Position:誰にとって、
Perspective:どの範囲で、Period:どの時点で、の問題かを考える。

 ・問題の「拡がり」分析→重要因子抽出。
MECE、トレンド、+/-差異、集中・分散、コスト、CS/CE(バリュー分析)

 ・問題の「深さ」分析→問題具体化。
ロジック、ユーザビリティ、相関、シェア。

 ・問題の「重さ」分析→優先順位付け。
感度、パレート、ABC、ピーク、リスク・期待値。

 「問題解決プロフェッショナル」と合わせて、
コンサルタントの問題発見→解決の手法が教科書的に概観できる。
ただし、現実の問題に大して、手を動かして使ってみないと身に付かないはず。
とはいえ、知識として知っているのはよいことだと思う。★3つ。

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感想メモ:問題解決プロフェッショナル「思考と技術」

問題解決プロフェッショナル「思考と技術」
問題解決プロフェッショナル「思考と技術」
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 2,447
  • 発売日: 1997/01

★★★★☆

 コンサルタントが問題解決に使う考え方の基礎を学ぶことができる本。

 主に紹介されているのは以下のもの。

  • ゼロベース思考
  • 仮説思考
  • MECE
  • ロジックツリー
  • ソリューションシステム

 最後のソリューションシステムが聞き慣れないが、
前の4つを駆使した問題解決のプロセス、とのことだ。

 コンサルタントだけではなく、社会人、学生、主婦、職業に関わらず、
すべての人が少なからず問題を抱えて生きているわけで、
その解決に役立つ考え方を知るのは良いことに違いない。

にも関わらず、こういった考え方がビジネス以外の場で使われているかというと、
あまり、そういうことはないように思える。

 しかし、個人がこういった本で勉強をして、
自分が抱えた問題の解決に活用するのは自由だし、
本書もそういった意図で書かれていることだろう。
ただ、独学で身につけた知識がどこまで実用に堪えるかは別問題で、
ここが独学のつらいところでもある。

 この本は、問題解決の基礎となる知識を絞って紹介してあるので、
一つでも実際の生活に活かそうとしてみるのがよさそう。
逆に言えば、実生活に活かさなければ何の意味もないが、それは読み手の問題と。
オススメ度は★4つです。

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感想メモ:ライト、ついてますか —問題発見の人間学

ライト、ついてますか—問題発見の人間学
ライト、ついてますか—問題発見の人間学
  • 発売元: 共立出版
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 1987/10

★★★★☆

 問題を解決するのは簡単ではないな、と心底思える本。

  • 問題を解決するには、まず「そもそも問題が何なのか」を理解する必要がある。
  • そしてその問題が、誰にとっての問題なのか?誰がそれを解決したがっているのか?を考える必要もある。
  • 問題を把握した、と思えたとしても、それは幻かもしれない。
  • それを子どもや外国人にも説明できなければ、問題を把握できていないのかもしれない。
  • また、問題解決を依頼する人自身が問題の原因なのかもしれない。
  • 人には問題があると、それを解決したいという欲求があるが、やっと問題を解決してから、その問題を解いて欲しかった人があまりいなかったことがわかることもある。

 
 というように、内容としては示唆に富むのだが、ちょっと読みにくい。目次が疑問文になっていることが多く、目次から内容の構成を予期できない。また、章同士にあまり関連がない場合も多く、ざっと読んでいても流れが頭に入ってこないので困った。もったいない感じ。読みにくさを考えると★3つかもしれない。

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感想メモ:誰のためのデザイン?

誰のためのデザイン?—認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)
誰のためのデザイン?—認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)
  • 発売元: 新曜社
  • 価格: ¥ 3,465
  • 発売日: 1990/02

★★★★☆

 身の回りには理不尽なデザインであふれている。

 押すのか引くのかわからないドア。どのツマミでどこの火がつくのかわからないコンロ。膨大な数のボタンがあるリモコン。機能が多いが使い方がわからない電話。こういったものに出会ったとき、ユーザーは自分のせいだとあきらめてしまいがちだ。

 しかしそうではない、使いにくいのはデザインが悪いのだと声を上げるべき、というのが著者の主張。実際問題、ちょっと改良すれば使い方をまちがえることがなくなった、という例も多いからだ。

 デザインは、見栄えだけでなく、ユーザーの使い勝手も規定する。しかしそこまできちんと考えられたデザインを持つ商品は、残念ながらそれほど多くない。まだまだ発掘されていないものは多く、大きな可能性が残されていると言える。

 そんな世の中を変えるにはどうしたらいいだろう?手始めに、身の回りでどうも使いにくい、というものがあったら、どうしたら使いやすくなるかを考えてみるのもいいかもしれない。

 頷かされる部分が多かった。★4つ。

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感想メモ:理科系の作文技術

理科系の作文技術 (中公新書 (624))
理科系の作文技術 (中公新書 (624))
  • 発売元: 中央公論新社
  • 価格: ¥ 735
  • 発売日: 1981/01

★★★☆☆

 理系の文章は、内容を間違いなく読み手に伝えることが目的である。そのためには、どのような点に気をつけて文章を書くかということを、例を挙げて詳細に説明している本。

 「起承転結」といった日本的な文章は、理系の、特に英語の学術論文では通用しない。1つの文章で1つの主題、文章は簡潔に、読み手を考えて、といった要点は理系以外の文章にも共通する事柄だろう。仕事で作る資料にも、まさにあてはまる。

 何気なくダラダラと文章を書くと、ほぼ確実にぜい肉が付いている。しかし、書いた文章を徹底的に添削してもらう機会というのもなかなか多くはないので、何が無駄なのか自分では気付きにくいもの。自分が書く文章の質について意識的になるきっかけとするにはいいかもしれないが、やっぱり理系の人向けの本。万人向けではないので★3つ。理系の学生なら★4つか。

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感想メモ:2015年の日本—新たな「開国」の時代へ

2015年の日本—新たな「開国」の時代へ
2015年の日本—新たな「開国」の時代へ
  • 発売元: 東洋経済新報社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2007/12

★★★★☆

 似たテーマの本として「大予測 日本の3年後、5年後、10年後」を以前読んだが、今回のこちらの本の方が頭に入りやすかった。その理由としては、全編の内容が関連しあっている(互いに言及もある)こと、章毎のまとめがあること(結構大事)、一つの項目についての説明が豊富で具体的であることが挙げられる。

 内容は、1〜2章で日本の現状と今後の説明、3章で日本と似た境遇だが成長を続けているイギリスの事例紹介、4章以降は「新たな開国」の提言。

 主張はクリアで、これまでの日本は1億人という均質な市場のみを見ていても成長してこれたが、今後は労働人口も総人口も減っていくため、成長を見込むことはできない。非製造業もグローバル化を考えないといけませんよ(第三の開国をしましょう)、ということ。

 データも豊富で、国際競争力を持つ人材育成のために大学を強化すべき、外国観光客の地域へ直接誘致を伸ばすべきなどの主張にも説得力がある。

 ただし、金融危機以前の本なので、かなり前提条件が変わってしまった。イギリスは大きく沈み込み、「イギリスを見習おう」とは言いにくい状況になった。日本の強みとは何なのか、考え直す材料ともできるだろう。

 全体を通じて、読む価値はある。★4つ。


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感想メモ:日本の選択

日本の選択
日本の選択
  • 発売元: 講談社インターナショナル
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2007/03/01
  • おすすめ度 4.0

★★★★☆

 知日派のイギリス人2人が日本の将来について熱く語りあっている対談本。著者は「日はまた沈む」「日はまた昇る」の著者ビル・エモット氏と、ピーター・タスカ氏。

 やはり日本人とは異なる視点で語っているのが興味深い。例えば、二人ともが日本の財政に問題ないと考えている。財政赤字はほとんどが対内的なものなので気にするな。貯蓄はいずれ使われるので、財源は自然と豊かになるから、財政は現状維持で問題なし、むしろ問題は増税を示唆して消費に水を差すことの方、というのだ。自分がマスコミの情報を鵜呑みにして、あまり自分で考えていなかったと気付かされた。

 二人の意見は他にも共通点があり、例えば中国を好ましく思っておらず、日本にアジアでのリーダーシップを取って欲しいと考えていること。そして、日本が今後成長を伸ばすには、国内市場だけでなくグローバル市場を相手にしていくべきということなど。

 イギリスは、過去に栄えた国で最近は落ち込み気味、という印象があるが、実はここ10年程3%近い経済成長を続けている(金融が原動力なのでダメージもでかいが)。従って、現在の日本がイギリスから学ぶべき点があるとすれば、それは何なのか。そういう点からも読むことができる。


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感想メモ:ヤバい経済学

ヤバい経済学 [増補改訂版]
ヤバい経済学 [増補改訂版]
  • 発売元: 東洋経済新報社
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 2007/04/27
  • おすすめ度 4.5

★★★★★

 アメリカで170万部販売のベストセラーの増補改訂版。原題は「Freakonomics」。

 「経済学」となっているが、対象がいわゆる「経済学」の範疇に留まっていないことから、経済学に興味がない人にもおもしろく読める内容となっている。

 例えば、相撲の千秋楽での勝率の不自然な偏りや、不動産広告の意味、犯罪率の低下には何が効いているのか、勉強ができる子の親はどんな人で何をしているか、白人と黒人の名前の変化の傾向、子どもにとっての銃とプールの危険性、などなど。読後の生活にも影響を与える本かもしれない。

 原題の「Freakonomics」と「ヤバい」の雰囲気の違いが気になるところだが、良著であることに変わりはない。オススメの★5つ。
 ブログはこちら→Opinion – Freakonomics Blog – NYTimes.com


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