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感想メモ:なぜ会社は変われないのか

なぜ会社は変われないのか―危機突破の企業風土改革 (ビジネス戦略ストーリー)
なぜ会社は変われないのか―危機突破の企業風土改革 (ビジネス戦略ストーリー)
  • 発売元: 日本経済新聞社
  • 発売日: 1998/01

★★★★☆

言ってもムダ。言い出しっぺが損をする。
これは、変化する力が失われた組織を包む雰囲気である。

基本的に、人は変化を恐れるものだ。
これは、人の集合体である組織も同じだ。
しかし、変化できない組織は、外部環境の変化に対応できない。
対応できなければ、生き残れない。生物と同じである。

変化を起こすには、安定、不活性な雰囲気を、
あえて不安定、活性な雰囲気にすることである。
これが、企業風土を変える、ということになる。

しかし、言うは易し、行うは難し、である。
企業風土というのは、人の思考パターンの集合体と言える。
従って、企業風土の変革というのは、多くの人の思考パターンを変えることを意味する。
一人の人の考え方を変えるのも難しい。
多くの人を変えるともなれば、なおさらである。

よくあるやり方としては、こんな感じだろうか。
コンサルタントが入って、経営陣を含んだプロジェクトグループを結成。
企業の歴史や風土、強みなどの意見を集約、分析し、
ミッションステートメント的な文言をがんばって作成。
組織や制度をいじって、それが各部署へトップダウンとして降ってくる。
現場は降ってきたから「またか」的な雰囲気でとりあえず対応・・・
こんな方法で、人の考え方が変わるだろうか?

本書のストーリーから浮かび上がってくる方法は、
上のようなものとはかなり異なる。
簡単に言うと、トップダウンの重要性は認識しつつ、
「やらされている」感をなくすボトムアップを重視するという感じだ。

以下、メモした部分。

  • マジメなことを言いあえる関係、場(オフサイトミーティング)を作る
  • ミーティングと会議の役割を分ける
     議論⇔情報の伝達、少人数⇔多くても可、長くかかる⇔できるだけ短く
  • 変革には、マネージメント層が重要
  • 二割の社員が変わればいい

風土の話は、企業だけではなく、人が集まる組織であれば
多かれ少なかれ共通している話だ。
多くの人が何かしらの組織に所属しているだろうから、
組織をよくしたいと思う人にはどこかしら参考になる部分があるだろう。

ちょっと読みにくい部分もあったが、おもしろかった。★4つ。

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感想メモ:パワーの原則

パワーの原則―影響力を発揮しつづけるパワーとは
パワーの原則―影響力を発揮しつづけるパワーとは
  • 発売元: キングベアー出版
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 2003/11

★★★★☆

 人に影響を与えるパワーを持つには、どうすればよいだろうか?
そんな問いに答えてくれる本。

 人に影響を与えるには

  1. 「強制」
  2. 「実用」
  3. 「原則中心」

の3つの方法がある。

 「強制」は文字通り強制して言うことを聞かせる方法。
しかしこれは相手の態度を硬化させるだけで、心を動かすことはできない。

 「実用」はギブアンドテイク、地位による指示、取引などの方法。
相手は妥当なので従うが、妥当性を超えた協力は期待できない。

 最後の「原則中心」の方法がこの本の主題で、
相手の尊敬を勝ちえることができる。
相手は心を動かし、自主的、主体的に活動してくれる、としている。
つまり、「この人のためなら一肌脱ぐ」と思われるようになれ、ということ。

 「原則」という言い方なのは、著者がフランクリン・コヴィーの
人だからだが、内容的には「箱」と共通点を多く感じた。
つまり、自分の心の持ち方によって、相手への影響の仕方が変わるということだ。
個人的には「箱」の方がより心に響いた。★4つ。

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感想メモ:戦略プロフェッショナル

戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)
戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)
  • 発売元: 日本経済新聞社
  • 価格: ¥ 680
  • 発売日: 2002/09

★★★★★

V字回復の経営」の三枝匡氏の初の著作(91年)の内容を
アップデートした文庫版。

大企業から異業種の関連会社へ出向し、短期間で事業建て直しを行うという、
実話に基づいたストーリー。
元は経営者向けの戦略トレーニングセミナーの教材として作られたものが
ベースだそうだ。

著者は、ビジネススクールで使われる「ケース」が、
必要最低限のことしか書かれず無味乾燥であることに強い不満があり、
このケースを作ったとのことだ。

内容は、経営コンサルタントが行うような、
事業分析、戦略の建て直しとその実行なのだが、
V字回復の経営と同じく登場人物の内面も含めて描かれているため、
ストーリーとしてしっかり頭に入ってくる。

セグメンテーションなど言葉としては一般的になっているもの、
その理念や現実に用いる際の例まで書かれているので、
「なんとなく知っている」以上の理解が得られるだろう。

章間に書かれている「戦略ノート」も、ストーリーの解説や戦略、
コンサルティングの知識が得られためになる。
実際にコンサルタントとして働いている人も勧めていたので、
内容も確かなものなのだろう。

読み物としても、ビジネスの知識をストーリーで理解する
教科書としてもおもしろい。
ビジネスに携わる人にはオススメの★5つ。

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感想メモ:第8の習慣 「効果」から「偉大」へ

第8の習慣  「効果」から「偉大」へ
第8の習慣 「効果」から「偉大」へ
  • 発売元: キングベアー出版
  • 価格: ¥ 2,494 (5% OFF)
  • 発売日: 2005/04/23

★★★★☆

 フランクリン・コヴィー博士による、名著「7つの習慣」の続編。

「7つの習慣」が「行動を行う際の指針」であるのに対し、
この「第8の習慣」は行動以前に「ボイス(内面の声)」に耳を傾け、
「自分が情熱を持って行い、才能を発揮できることを見つける」
という所から議論が始まる。

つまり、「第8の習慣」で何をするのかを定め、
「7つの習慣」に基づいて実行するという構造になる。

 詳しい内容は他に譲り、印象に残った点を書いていく。
本書には繰り返し現れるフレームワークとして、
「1.肉体(PQ)、2.知性(IQ)、3.情緒 (EQ)、4.精神(SQ)」
というものがある。

IQとEQの違いはわかるが、EQとSQの違いがピンと来なかった。
しかし、EQは感情、SQは信頼や夢(ビジョン)などが属するものと捉えると、
なんとなく違いが理解できる。

 内容の理解を深めるものとして、短編映像が入っているDVDが付属されている。
ページ数も500ページを超え、ボリュームたっぷり。
腰を据えて取り組むべき本。関連する本として「パワーの原則」を挙げる。
(→感想メモ:パワーの原則

第1部に関しては「大好きなことをしてお金持ちになる」も近い印象を持った。
内容はすばらしいと思うのだが、ちょっとヘビー過ぎたので★4つ。

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