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感想メモ:考具—考えるための道具、持っていますか?

考具—考えるための道具、持っていますか?
考具—考えるための道具、持っていますか?
  • 発売元: 阪急コミュニケーションズ
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2003/03

★★★★☆

 考えてアイデアを生み出し、企画としてまとめる。博報堂の企画屋である著者が、培ったノウハウを教えてくれる本。考具とは「考えるためのツール」という意味。

 本書は企画屋さんの本らしく、インプット→展開(アイデア)→収束(企画) というように企画としてまとめる流れと、その各ステップに用いるツールを紹介している。ツールは、心構えや習慣から筆記用具、PCの使い方まで幅広い。

 しかし本書で教える最も大切なことは「アイデアを考える習慣をつける」ということだろう。どの道でも、継続は力なり。逆に言えば、読んで「ふーん」と思うだけでは、いくら良い本であっても意味がない。その習慣をつけるための方法が書いてある本として、「脳が教える! 1つの習慣」がオススメ。★4つ。

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感想メモ:ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略

★★★★☆

 世界に50億と言われる貧困層(BOP:Bottom of Piramid)だが、彼らを対象としたビジネスは可能であり、そのためは何が必要かを説明し、実際に運用されている事例を紹介している本。本書の前半は理論的な部分、後半は事例の紹介。

 このような話では、グラミン銀行のマイクロファイナンシャルが有名だが、他にも途上国でのビジネスを成功させている例はあるのだ。例えばヨード欠乏症を防ぐ、ヨード添加塩の販売。下痢による感染の蔓延を防ぐために、手洗い習慣を推進する石鹸販売、他にも義足の販売、信用販売、住宅供給など成功例は多い。貧困層をターゲットとしたビジネスは不可能ではないのだ。

 ただし、それが簡単でないのも事実。例えば、嗜好品を売ろうと思ってもうまく行かないのは明白だ。従って、成功にはいくつもの条件が必要とされる。それを文中では「イノベーション12の原則」として紹介している。

 ★4つだが、堅い本なのできちんと全部読もうとすると、かなり時間がかかるので注意。付属のCD-ROM(英語)には、本に書かれている事例についての映像での説明がある。また、本に書かれていない追加の事例紹介もあり。

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感想メモ:まぐれ—投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか

まぐれ—投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか
まぐれ—投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 2008/02/01

★★★★☆

 人間はランダム性を正しく認識できないということを、投資を舞台に語っている本。「行動経済学入門」と重なる部分が多いが、「投資家のほとんどの成功は運による要素が多いが、実力と勘違いしている場合が多い」と容赦ない。

 著者によれば、ある状況で高いパフォーマンスを出す投資家は、状況に過剰適応している可能性が高く、大暴落などの状況では、全てを吹き飛ばすような大損をすることになる。日頃は高いリターンを得られないが、堅実な運用をしている人の方が長い目で見れば大きなリターンを得る(ロバストネスのトレードオフ)。果たして、投資の世界には前者のような人たちがほとんどだったということが、今回の金融危機で証明されたことになる。

 著者はというと、ロングのオプションしか取らないという変わったスタンスである。彼のアドバイスに従った投資家は、今回の金融危機でも非常に高いパフォーマンスを上げたということで注目を浴びた。
「ブラックスワン」の助言、プラス50%超の運用成績生む−大暴落でも – Bloomberg.com

 難点は、読みにくいこと。「目次で内容がわかるような本は嫌いだ」と語る通り、目次を見ても内容がわからない。意図的なのだろう。

 投資に興味がある人には★5つ。ない人には★3つ。「The Black Swan」という続編あり。

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感想メモ:セクシープロジェクトで差をつけろ!

★★★★☆

「ブランド人になれ!」に続く、トム・ピーターズの「サラリーマン大逆襲作戦」の2冊目。メッセージは「仕事をするなら、イヤイヤつまらないことをするよりも、興奮して打ち込めるようなプロジェクトをしよう!」ということ。これが「セクシープロジェクト」である。

 メッセージには、とても共感できる。人が大きなことを達成するためには、情熱が必要不可欠である。そして同じ仕事をするのでも、つまらないと思ってやっているのと、興味を持ってワクワクとするのでは全く結果が異なるだろう。問題は、「どうすれば情熱を持てるの?」ということだ。答えとしては、「どんなつまらない仕事でも、チャンスと思って楽しくしてやるというスタンスで臨もう」ということである。

 どうせ長い時間仕事をするのなら、確かにワクワクできることをしたいものだ。「でも」とできない理由をならべるよりも、ポジティブなメッセージとして受け取るのが、「セクシープロジェクト」への第一歩だろう。★4つ。


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感想メモ:KJ法—渾沌をして語らしめる

KJ法—渾沌をして語らしめる
  • 発売元: 中央公論社
  • 発売日: 1986/11

★★★★☆

KJ法の決定版

 KJ法について書かれた「発想法」「続・発想法」が1970年ぐらいに発刊されたが、この「KJ法は」1986年に発刊された、約580ページ+図表5枚の堂々たるボリュームの決定版(お値段6800円)。

 kJ法のやり方や精神については、前著の2冊の内容とほぼ同じだが、より発展させた形。KJ法の会議への適用やグループKJ法について、他にも取材方法としてKJ法と逆に発散志向のメモ+まとめ方法である、マインドマップに似た「探索ネット(通称花火)」など色々な内容がたっぷり書かれている。

 説明は尽くされている感があり、図表もふんだんに示されているため、KJ法の全容をつかむことができる。難点は手に取るのをためらわれるボリュームと、立派な価格か。KJ法を学ぶ必要がある人にとっては非常に価値があり、★5つ。普通の人には値が張りすぎるので★3つ。図書館で借りられるなら★4つ。

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感想メモ:発想法、続・発想法

 

発想法—創造性開発のために (中公新書 (136))
発想法—創造性開発のために (中公新書 (136))
  • 発売元: 中央公論社
  • 価格: ¥ 693
  • 発売日: 1967/06
続・発想法 中公新書 (210)
続・発想法 中公新書 (210)
  • 発売元: 中央公論社
  • 価格: ¥ 861
  • 発売日: 1970/02

★★★★☆

KJ法の入門書

著者川喜田氏考案のKJ法について、その目的や意義、手法などを説明した本。KJ法は、データの収集と仮説を立てる間にあるプロセスで用いる、創造的発想法という位置づけである。簡単に言えば「多くのデータをまとめ意味を抽出する」作業である。

 KJ法というと、思い付くことをたくさんの紙片に書きつけて、関連のあるものをグルーピングする、という印象がある。しかし本家はもっと奥深く、厳密だった。例えば、このグルーピングは理屈で考えたものではなく、心を空っぽにして「なんとなく親しみを感じる」というような感性で行うとのこと。また、グルーピングは小→大というボトムアップで行い、決してトップダウンで行ってはいけないとのこと。 

 「KJ法」と言ってみたい人は、「発想法」「続・発想法」のどちらか一冊を読んでおいた方がよいだろう。「続」の方がKJ法を実践する手法の説明に重きが置かれ、手順の説明や、実際に作られた図が多く示されているので、「続」の方がよいかな。ただ実際に身につけたいと思ったら、研修会に出るか別の本を読んだ方がいい気がする。

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感想メモ:銃・病原菌・鉄

銃・病原菌・鉄〈上巻〉—1万3000年にわたる人類史の謎
銃・病原菌・鉄〈上巻〉—1万3000年にわたる人類史の謎
  • 発売元: 草思社
  • 価格: ¥ 1,995
  • 発売日: 2000/09
銃・病原菌・鉄〈下巻〉—1万3000年にわたる人類史の謎
銃・病原菌・鉄〈下巻〉—1万3000年にわたる人類史の謎
  • 発売元: 草思社
  • 価格: ¥ 1,995
  • 発売日: 2000/09

★★★★☆

 「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」の「この本がスゴい2008」経由で。

 ヨーロッパが世界を植民地にできた理由が「銃・病原菌・鉄」であるが、それがなぜヨーロッパで栄えたのか。それは必然なのか、偶然なのか。という壮大なテーマについて。内容については、上記サイトの書評を読んでもらえれば。
わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: Google Earth のような人類史「銃・病原菌・鉄」

 確かに興味深いテーマで、提示されている仮説も説得力があって、とてもおもしろい。しかし、ページをめくる私の手は、重かった。なぜかというと、読みにくいのだ。これが著者との相性なのか、翻訳のせいなのかはわからない。理系の子だからか?と思ったが、そうでもなさそう。これでもっと取っ掛かりやすければ、と思ってやまない。

 歴史好きには★5つ、普通の人には★3〜4か。読みやすければ文句なしの★5。

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感想メモ:問題解決プロフェッショナル「思考と技術」

問題解決プロフェッショナル「思考と技術」
問題解決プロフェッショナル「思考と技術」
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 2,447
  • 発売日: 1997/01

★★★★☆

 コンサルタントが問題解決に使う考え方の基礎を学ぶことができる本。

 主に紹介されているのは以下のもの。

  • ゼロベース思考
  • 仮説思考
  • MECE
  • ロジックツリー
  • ソリューションシステム

 最後のソリューションシステムが聞き慣れないが、
前の4つを駆使した問題解決のプロセス、とのことだ。

 コンサルタントだけではなく、社会人、学生、主婦、職業に関わらず、
すべての人が少なからず問題を抱えて生きているわけで、
その解決に役立つ考え方を知るのは良いことに違いない。

にも関わらず、こういった考え方がビジネス以外の場で使われているかというと、
あまり、そういうことはないように思える。

 しかし、個人がこういった本で勉強をして、
自分が抱えた問題の解決に活用するのは自由だし、
本書もそういった意図で書かれていることだろう。
ただ、独学で身につけた知識がどこまで実用に堪えるかは別問題で、
ここが独学のつらいところでもある。

 この本は、問題解決の基礎となる知識を絞って紹介してあるので、
一つでも実際の生活に活かそうとしてみるのがよさそう。
逆に言えば、実生活に活かさなければ何の意味もないが、それは読み手の問題と。
オススメ度は★4つです。

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感想メモ:ライト、ついてますか —問題発見の人間学

ライト、ついてますか—問題発見の人間学
ライト、ついてますか—問題発見の人間学
  • 発売元: 共立出版
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 1987/10

★★★★☆

 問題を解決するのは簡単ではないな、と心底思える本。

  • 問題を解決するには、まず「そもそも問題が何なのか」を理解する必要がある。
  • そしてその問題が、誰にとっての問題なのか?誰がそれを解決したがっているのか?を考える必要もある。
  • 問題を把握した、と思えたとしても、それは幻かもしれない。
  • それを子どもや外国人にも説明できなければ、問題を把握できていないのかもしれない。
  • また、問題解決を依頼する人自身が問題の原因なのかもしれない。
  • 人には問題があると、それを解決したいという欲求があるが、やっと問題を解決してから、その問題を解いて欲しかった人があまりいなかったことがわかることもある。

 
 というように、内容としては示唆に富むのだが、ちょっと読みにくい。目次が疑問文になっていることが多く、目次から内容の構成を予期できない。また、章同士にあまり関連がない場合も多く、ざっと読んでいても流れが頭に入ってこないので困った。もったいない感じ。読みにくさを考えると★3つかもしれない。

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感想メモ:カリスマ 人を動かす12の方法

★★★★☆

  潜在意識に訴えかけるコールドリーディングの手法をビジネスでも活用すれば、チームマネージメントがうまく行くに違いない、という本。以下まとめ。

  1. 人を動かすカリスマ性を持つには「何ができるか」より「どういう人か」
  2. カリスマ性を持つ人になるには自信は持つこと
  3. 自信を持つには最初は「なりきる」
  4. 「はったり」も続ければ「本物」に
  5. カリスマ性を感じさせるテクニックの紹介
  6. 部下を叱るときはポイントで、褒めるときは拡大解釈で
  7. 性格分析はMeタイプとWeタイプの2つだけで十分

 5.は、人に安心感を与えるコツというようなもので、他のコールドリーディングの本でも詳しく述べられている。知識として知っておくとよいかと思う。1.〜4.については、コーチングの本(例えばアンソニー・ロビンズ)と共通する部分がある。

 テクニックを学んだからといって、すぐに信頼を得られるわけではないが、人はどういう人を信頼しやすいのかという知識は、知っておいて損はない。★4つ。

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