「本」カテゴリーアーカイブ

感想メモ:「知」の挑戦 本と新聞の大学 I ・II

姜尚中,一色清,依光隆明,杉田敦,加藤千洋,池内了
集英社 2013-02-15
¥ 777
姜尚中,一色清,中島岳志,落合恵子,浜矩子,福岡伸一
集英社 2013-02-15
¥ 798

★★★☆☆

各界の識者たちが、政治や社会、経済、科学など、
様々な分野について話す、連続講義の内容をまとめたもの。

I、IIがあるが、独立したトピックが集まっているので、
IIから読んでも大きな被害はない。

むしろ、IIの第10回のまとめから入って、
興味がありそうな話を読んでいく、
という形でも良いと思う。

個人的には、IIで語られていた、画家のフェルメールと、
顕微鏡を作ったレーウェンフックの関係についての仮説が
「へぇー」という感じだった。
読まないとわけわかりませんね。

この多様なトピック、全てに興味がある人は少ないと思うので、
興味がある部分を拾い読みする、という読み方でもよいのかな、
と思いました。

姜尚中,一色清,依光隆明,杉田敦,加藤千洋,池内了
集英社 2013-02-15
¥ 777
姜尚中,一色清,中島岳志,落合恵子,浜矩子,福岡伸一
集英社 2013-02-15
¥ 798

感想メモ:日本の景気は賃金が決める

★★★★☆

アベノミクスという言葉はほとんどの人が知っているだろうが、
その内容と意味を説明してみて、と言われると、
ぐぬぬ、となる人がほとんどだろう。

本書はそんな人がターゲット。
かなりの割合の人が当てはまろう。

以下の点は、あまり知らなかったので、
なるほど〜、と思いながら読んだ。

日本の不況の根本原因は、単純に「消費不足」であり、
これを貯蓄の面からみて「貯蓄過剰」などということもあります。(p173)

国民所得の約七割は労働者に賃金所得として分配されるのですから、
「賃金所得が民間消費に使われる」部分を活性化せずに、
本当の意味での景気回復など起きないことがわかります。(p175)

  • 1男女の賃金格差
  • 2企業規模の大小による賃金格差
  • 3正規・非正規などの雇用形態による賃金格差
  • 4勤続年数の長短による賃金格差

が、消費不況などの問題の根底にあり、これらは
属性による賃金格差といえます。(p198)

日本での「属性による賃金格差」は、国際的にみて
“異常に大きな賃金格差”です。(p218)

パートタイム労働者の賃金はフルタイム労働者の6割弱
女性の賃金は男性より約3割低い
30人未満の企業は大企業の約5割の賃金しかもらえない

イギリスとスウェーデンでは、社員1000人以上の大企業よりも
中規模の企業の方が、平均的に高い賃金を支払っています。(p215)

つまり、賃金が下がることが原因で、消費が足りていないこと。
属性による賃金格差が大きすぎること。
が、不景気の大きな要員としている。

それに対し、アベノミクスの意味合いを議論した上で、
「都市部への人口集中」と「都市部の不動産価格の継続した上昇」を、
景気対策として提案している。
その意図するところは、本書を参照してほしい。

親書だから内容が薄いのは仕方ないかな、
などと思いながら読んだのだが、
しっかりデータに当たっての分析が盛り込まれている、
ものすごく濃い本だったのはよい驚きでした。

感想メモ:ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由

★★★★☆

BODY SHOP、スターバックスジャパンと、
二つの会社のCEOを務めた岩田氏。

どちらの会社も、魅力的な創業者が会社の理念(ミッション)を掲げ、
そのミッションによって束ねられた人たちによって、運営されている。

「想定外」のときにむしろ重要なのは、原理原則である。(p176)

ミッションというのは、立ち返る土台、そもそもの動機とも
言うべきものなのだろう。

皆が、働くことに納得し、働くことを喜んでいるような会社。
働くことで、相手も自分たちも幸せになるから。
それができている会社は、強い。

いいものに対しては、然るべき対価を気持ちよく払うことを厭わないし、
そもそも他に代わるものがないので、価格そのものが気にならなくなる。
私は、これこそが第五次産業の姿だと思います。(p166)

そして、ミッションが必要なのは、会社だけではない。
個人としても、立ち返る原理原則である「ミッション」を持とう。
これが岩田氏のメッセージだった。

さぁ、ノートに書いてみよう。
書くと思いの他叶うもの。

感想メモ:元ドイツ情報局員が明かす心に入り込む技術

レオ・マルティン
阪急コミュニケーションズ 2012-07-26
¥ 1,680

★★★★★

ここで語られる技術とは、犯罪組織の中にスパイを育成し、
その犯罪組織を壊滅に導くような情報を引き出す技術、
というとても難しそうなもの。

スパイ映画によくあるように、相手組織に潜入し、
相手を拘束して脅したり、というのは
リスクが高い下策なのだそうだ。

ではどうするのか?

相手は、裏切りには極度に厳しい犯罪組織の一員。
相手が自分の判断に基づき、リスクを追ってでも
情報を提供するに値すると思わせる必要がある。

そのための秘訣は、
「短期間で相手と深い信頼関係を築く」
ことなのだそうだ。

この本の目標は、人と知り合い、信頼を築き、
人間関係のレベルでポイントを得るのは、
本当はとてもたやすいことだと知ってもらうことにある。(p39)

用心深い犯罪者を相手に、自ら情報を出させるようなレベルでの
信頼関係を築く?どうやって??

架空のケースを元に、その方法が書かれているが、読んでいて驚いた。
それは、その方法が、ものすごく奇抜だ、ということではなく、
逆に、あまりにも正攻法だったからだ。

例えば、以下のようなことなのだが、
本の題名を読まなければ、自己啓発の本だと言われて疑う人は、
ほとんどいないだろう。

  • 周囲の人たちに対する自分の考え方をチェックする。
  • 相手を値踏みするような態度や低く評価する態度を改める。
  • 相手に対するネガティブな考えを持ち出さない。
  • 調和した人格であるよう心がける。
  • 接する人すべてについて、よい特性を見るようにする。
  • 平静さを保つ。何を個人的に受け止め、何を個人的に受け止めないか(こちらの方が重要)、自分で決定する。
  • 感情となるものの引き金となるものを知ること。
  • 自分の人生でうまくいったことがらに焦点を当てる。
  • 成功日誌をつける。

人は感じとったことの確証を得ようとする傾向を持つ。
先入観と符合することを目にすれば、
それを過大評価して、先入観が正しかったと錯覚する。(p66)

  • 過ちを犯したらすぐ認め、二度と繰り返さない。
  • 謝罪は一度だけ、真心を込めて真剣にする。
  • 自分の行為を正当化しない。
  • 相手の行動を理解するために、相手の立場を受け入れる。(p82)

安心感、愛情、称賛ーこれが、誰もが望む基本的な欲求だ。(p89)

情報員は、あるがままの相手を受け入れる。
また、人とその行動を切り離して考える。
相手が自分の望まない行動を取ったとしても、
相手への好意をなくす必要はない。(p217)

この本に書かれている内容は、人間関係の原理やノウハウを学ぶ、
ということところに留まらない。なぜなら、

「人生の成功の鍵は人の信頼を得ること」(p300)

だからだ。

予想を超えたすばらしい本でした。★5つです!

レオ・マルティン
阪急コミュニケーションズ 2012-07-26
¥ 1,680

感想メモ:選択の科学

シーナ・アイエンガー
文藝春秋 2010-11-12
¥ 1,700

★★★★☆

「人生は選択の連続」だ。

では、選択とはなんだろう?

わたしたちが「選択」と呼んでいるものは、
自分自身や、自分の置かれた環境を、
自分の力で変える能力のことだ。 (p23)

選択するためには、まず
「自分の力で変えられる」という認識
持たなくてはならない。(p23)

「自分の人生は、自分で変えられる」という認識。
雇用流動性の少ない日本では、この認識は、
あまり高くないように思う。

仕事の自己決定権は、健康にも影響するというのだから、
笑いごとではすまされない。

仕事上の裁量の度合いが小さければ小さいほど、
勤務中の血圧は高かった。(p34)

人々の健康に最も大きな影響を与えた要因は、
人々が実際に持っていた自己決定権の大きさではなく、
その認識にあった。(p35)

最初にも出てきたように、
「認識」というところがポイントであり、救いだ。
そういった「認識」を持つには、
小さな成功体験を持つことが大事であるようだ。

他にも、個人主義と集団主義における
「選択の自由度」に対する認識の違いや、
ヒューリスティックスのような
「人間の選択のクセ」についても触れられている。

著者は、子供の頃に視力を失ったそうだ。
そして現在は、コロンビア大学のビジネススクールで、
教鞭を取っているとのこと。

彼女はどんな選択をしてきたのだろうか。

シーナ・アイエンガー
文藝春秋 2010-11-12
¥ 1,700

感想メモ:あしたの経済学―改革は必ず日本を再生させる

★★★★☆

竹中氏が小泉内閣に入っていた2003年の本だが、
内容は10年経った今読んでも、違和感を感じない。
それどころか、現在の安部内閣での政策と
重なる部分が多いのだ。

一番の理想は、難しいことではありますが、
物価上昇率をゼロから数%程度の範囲で安定させることです。(p81)

これは、10年経って、やっと日銀の目標として設定されたところ。

国債発行についても、
「10年間でプライマリーバランスを回復させる」
は全く実行できず、むしろ悪化した10年だった。

我が国の財政事情 (平成24年度予算政府案)
こちらを見ると、社会保障費の増加ペースが早すぎる。
高齢化が進む今後、社会保障費が勝手に減る見込みはなし。
ここをどうにかしないと、財政バランスは無理っぽく見える。

私はかねてから、日本で特区をつくる意義は大きいと考えていて、
「これを日本の切り札にすべきだ」と主張していました。(p208)

こちらも、10年経って今まさに動き始めている。
国家戦略特区、8月後半にも地域指定 :日本経済新聞

中小企業経営者の個人保証からの脱却についても、
まさに提案されている方向になりそうだ。

ということで、安部首相の政策は、
かなり竹中氏の意見を反映したものになっている。
と思ったら、安部内閣で日本経済再生本部産業競争力会議のメンバーに入っていた。
さもありなん。

日本経済についてわかりやすく書かれていて、
かつ、出版後10年の状況をわかって読めておもしろかった。

感想メモ:自分で「疲れ」をとる!

★★★★☆

整体の考え方を元にした、
体のセルフメンテナンスのやり方や、
体についての知識を教えてくれる本。

身体のどの部分にしろ、
左右の緊張の差が大きくなってくると
違和感や疲れを感じます。(p22)

骨盤の真ん中にある仙骨は、
息を吸うときに後ろに傾き、
吐くときにはお辞儀するように前に傾きます。

ラジオ体操から誤解されがちだが、
「吐くときは背中を丸めるから骨盤後傾」ではない!
吐くときに背筋が伸びる。
スポーツでは、だいたい息を吐きながら動く。

この動きがスムーズにいかず、 十分前に傾く(十分息を吐く)前に
後ろに傾きはじめ(息を吸いはじめ)てしまうのです。

呼吸と呼吸の間の隙間、
とりわけ吐く息から吸う息に移る「間」が、
身体にとってもっとも完全に脱力する瞬間なのです。(p28)

<疲れすぎ>→<うまく脱力できない>
→<呼吸が深くできなくなる>→<眠りが深くなれない>
→<疲れがとれない>→<まずす疲れやすくなる>
という「負のスパイラル=疲れスパイラル」が起きてしまう(p35)

呼吸眠りを深くするためには、
凝り固まった疲れをある程度
眠りにつくまでにほぐしておく必要がある(p35)

これは整体に限らず、何の呼吸法や身体技法でも、
<みぞおちがゆるむこと、下腹(丹田)に力があること>が
身体の働きのよさを表す共通した指標です。
それが同時に、深い呼吸を生むのです。

引用が多くなってしまったのは、
私がこういうのが好きだからなのだが、
それでも歯ごたえがある本だった。
あまり好きでない人には、ちょっと厳しいかも。

感想メモ:からだのメソッド-立居振舞いの技術

★★★★☆

立つ、歩く、座るといった日常の動き。

意識しなくてもできるからいいじゃないか、
という考え方もあるだろうが、
意識することで初めて見えることもある。

PCが普及している現代社会では、
日常的に運動できている人の方が少ないはず。

となると、こういった日常の動きを、
自覚的に正しい動きとして行うこと、
これが健康への効率的な道であるように思う。

立ち方メソッド
1. 足裏の重心位置を確かめる
2. 足指の感覚をとり戻す
3. 足指のケア
4. 足指の感覚
5. 膝と爪先をまっすぐにする
6. 膝と大腿骨をまっすぐにする
7. 頭の位置を整える(工夫する)
8. 「耳肩・鼻臍」〜頭の位置をさらに整える
9. 猫背の治し方 両肩の距離を遠くに保つ

西洋式の歩き方
1. 踵重心で立つ
2. ターンアウト 股関節を支点に脚全体を外旋 深層外旋筋を使う
3. 正中線の上を歩く
4. ターンアウトと足運び 五本の足指がすべて地面につく
5. 爪先から着足する

ということで、数々の動きのヒントを得たので、
日々実験してみている。

体は、手をかけた分だけ変わっていく。
手間と時間を投資する価値がある。

感想メモ:手耳足のマッサージ

三采文化,加藤 幸子
日東書院本社 2012-09-27
¥ 1,365

★★★☆☆

手、耳、足のリフレクソロジーと、
症状別にやると良いことが紹介されている。

全部覚えるのは無理だろうから、
あー、肩が疲れたー、こんなときは…
みたいな感じで使うことになろうか。

というのもなんだかやらなさそうな気がするので、
巻頭にある「反射区マップ」を眺めて、
興味があるツボを2つか3つくらい覚えて、
お風呂で揉んでみる。

あるいは、手や足を揉んでみて、
妙に痛いところをみつけて、本の反射区マップを見て、
あ、胃のツボだった、みたいな感じかな。

とりあえず、お風呂や寝る前に足を揉んでみよう。

三采文化,加藤 幸子
日東書院本社 2012-09-27
¥ 1,365

感想メモ:自分でできる心とからだの浄化法

望月 俊孝,かさぎ 好香
大和書房 2008-07-16
¥ 1,260

★★★☆☆

ジムに行ったりマッサージに行ったり。
そういう自分ケアももちろんいいのだが、
なるべく手間をかけずにセルフケアをしたい

そんなヒントを得られるかと読んでみた。

「からだ」については、
足首のストレッチや、手で体をさするなど、
日々の生活の中でできることが紹介されている。

「心」については、気の持ちようというか、
楽に生きる考え方のヒントが得られた。

いちばんいいのは、快く受け取って、
いただいた喜びを素直に表現することです。
「どうもありがとうございます!」と、喜んで受け取ることで、
プレゼントした相手もますます嬉しくなります。
相手の豊かさに貢献することができます。(p102)

気軽に読めて、心とからだが楽になる本、かな。

望月 俊孝,かさぎ 好香
大和書房 2008-07-16
¥ 1,260