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感想メモ: 「経験知」を伝える技術 ディープスマートの本質

「経験知」を伝える技術 ディープスマートの本質 (Harvard business school press)
「経験知」を伝える技術 ディープスマートの本質 (Harvard business school press)
  • 発売元: ランダムハウス講談社
  • 価格: ¥ 2,310
  • 発売日: 2005/06/23
  • おすすめ度 4.5

★★★★☆

 「ディープスマート」とか言われると意味がわからないが、要するに「上級者・熟練者が身につけている、経験に基づいて養われた経験知」みたいなことらしい。だからこそ、伝達が難しいということ。文化や価値観(ここでは「信念」と呼ばれている)が異なる場合は、特に難しい。

 で、じゃあどうすれば伝えられるのよ、ということだが、結局「良いコーチと共に、実際に体験することで効率良く伝えられますよ」となっている。こういうお題で思い浮かぶのが野中郁次郎氏の「暗黙知」だが、彼の「SECIモデル」の「S(Socialization:共同化)」について詳しく述べた感じだろうか。
(野中氏の暗黙知やSETIモデルについては以下がわかりやすい。
http://www.yuhikaku.co.jp/shosai/20c/20001201.html
http://www.cao.go.jp/innovation/action/conference/minutes/minute3/siryou2.pdf

 とりあえず、ディープスマートという言葉の意味がつかめたことが収穫か。


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感想メモ:名経営者が、なぜ失敗するのか?

名経営者が、なぜ失敗するのか?
名経営者が、なぜ失敗するのか?
  • 発売元: 日経BP社
  • 価格: ¥ 2,310
  • 発売日: 2004/06/24

★★★☆☆

経営者がバカだからじゃないよ、という本。(はしょりすぎ)

マジメな書評を求める人は、以下を参照されたい。

関連:


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感想メモ:イノベーションのジレンマ—技術革新が巨大企業を滅ぼすとき

イノベーションのジレンマ—技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
イノベーションのジレンマ—技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
  • 発売元: 翔泳社
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 2001/07

★★★★★

 社会人なら読むべき 技術屋なら絶対読むべき

 企業に勤める人なら読んでおいて損はない有名本。顧客ニーズに応えるためにがんばって性能向上を目指して突っ走っていると、いつの間にか性能が顧客のニーズを追い越してしまい、性能では劣るが別の価値がある安価な技術に対抗できず、足下をすくわれてしまう、という感じの話。PS3とWii、というとわかりやすいか。

 レビューはネット上にたくさんあるので、ここにはこれ以上書かない。この辺りを読むといいと思う。

Life is beautiful: 図解、イノベーションのジレンマ
イノベーションのジレンマ (クレイトン・クリステンセン) : tokuriki.com


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感想メモ:プロフェッショナルの条件

プロフェッショナルの条件—いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))
プロフェッショナルの条件—いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2000/07

★★★★★

 ドラッカーの本は、読むときの自分のレベルによって印象が変わる。
昔はあまり心に響かなかったが、最近読むと「今ドラッカーが良いこと言った!」と思うようになってきた。

 本書はドラッカーの著作の総集編「はじめて読むドラッカー」シリーズ3部作の1冊目である(自己実現編]プロフェッショナルの条件、[マネジメント編]チェンジ・リ−ダーの条件、[社会編]イノベーターの条件)。

 本書は、個人が仕事をしていく上で、職業によらず「どう成果を上げるか」について書いているのだが、「自分の強みを知る」「時間を管理する」「重要なことに集中する」など、昨今のライフハック本に書かれていることは大概書かれていることに驚いた。

 社会人ならば読んでおいて損はないし、これから社会人になる学生も、目を通しておいて損はない。オススメ。★5つ。


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感想メモ:虚妄の成果主義

虚妄の成果主義—日本型年功制復活のススメ
虚妄の成果主義—日本型年功制復活のススメ
  • 発売元: 日経BP社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2004/01

★★★★☆

かなり旬は過ぎた感があるが、一応。

著者は高橋伸夫、東大経済学部教授。
バブル前後を含め、数十年経済学界に身を置いてきた著者の主張は簡潔だ。

「人は金で動くのではなく、金銭を仕事の動機付けにするのは間違いである。
『お金は年功主義で保証し、仕事で報いる』という日本型年功主義を見直そう」

というもの。

このことを示す上で非常に興味深かったのは、ある実験例で、
被験者にパズルを4セット解かせるというもの。

2セット終わった所で自由時間を入れるのだが、
休憩時までに解いた数に対して報償を支払う場合(A)

報酬を支払わない場合(B)
で、自由時間の過ごし方に差が見られるというのである。
(ちなみに休憩時間は実験者は部屋から出て行き、周りに人はいない)

差というのは、
「片方が自由時間にパズルを解かず、休憩を取る割合が多い」
というのだが、
それは、休憩が多いのは報酬が支払われた(A)か?
と思うとそうではなく、なんと(B)の方なのである。

(A)の場合は「報酬のためにパズルを解く」事になるのに対し、
(B)の場合は「パズルを解くこと自体が楽しい」状態になるからなのだろう。
これは誰しも経験がある、
「同じことでもやらされるとたのしくなくなる」
というやつだろう。

人が最高のパフォーマンスを発揮するのは、
お金のためにがんばっているという状態ではなく、
「そのこと自体が好きであるため、いくらやっても苦にならない」
という状態なのだろう。

成果主義ではこういう状態になることの助けにならず、
むしろ年功制で生活に対する保障をした上で、
仕事の内容で報いる日本型年功主義の利点を
再確認することが必要なのだという。

金銭が全くモチベーションになることはない、
と言っているわけではないが、
弊害の方が多いですからやめた方がいいですね、という話だ。

人のパフォーマンスを上げる「動機付け」についての理解が深まる上、
日本型経営についても興味深い、良著でした。

日本で導入された成果主義は、成果主義の皮をかぶった
人件費削減であることが多いので、そこを切り分けてから
議論する必要があるような気もするが。

ちなみに2008年6月の著者のインタビューでは

2004年に出版した『虚妄の成果主義』(日経BP)が思いもよらずベストセラーになったことで成果主義に関する取材をいまだに受けますが、少々辟易しています。経営学者である私の専門は経営組織論や意思決定論で、人事労務問題が専門ではありませんから。もう成果主義ではなくて、専門の企業経営について聞いてくださいと言いたくなります。

From: 「成果主義は失敗だった」と企業は明言せよ:NBonline(日経ビジネス オンライン)

と言ってる。こういう本を出したのだから
しょうがないと思うのだが…
オススメ度は★4つです。
知っておいて損はないです。

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感想メモ:「残業ゼロ」の仕事力

「残業ゼロ」の仕事力
「残業ゼロ」の仕事力
  • 発売元: 日本能率協会マネジメント 出版情報事業
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2007/12/22

★★★★☆

 衝撃的なタイトルだが、トリンプを19期連続の増収増益に導いたという実績に裏打ちされている。以下のような内容だった。

  • 残業を前提条件とするから効率が下がる
  • 欧米に比べ日本のホワイトカラーの仕事の効率は低い
  • 効率を上げる余地は絶対にある!仕事のスピードは努力すれば必ず上がる
  • 自分でデッドラインを切ることでスピードを意識する
  • 「会社にとって正しいこと」を優先
  • まずやってみる、結果に修正をかけていく
  • 小さな失敗は問題としない。最後に成功すればいい
  • 良いことはためらいなくパクる
  • 出来た時間は自分の人生のために投資する
  • 仕事は結果を出すゲーム。のめりこまずに冷静に引いて見る

 単純作業以外の仕事の効率は、工夫次第で数倍以上にできる可能性があると思う。著者は奥さんがフランス人であるということも残業0という考え方に大きな影響を与えているようだが、日本は「長く働く=美徳」とする風潮が根強く、法律で休暇取得が義務づけられているヨーロッパとは背景が異なる。

 社長自らがこのパラダイム転換を果たそうとしても何年もかかるというのに、従業員が勝手にパラダイム転換を起こしても、「なんだアイツは」的な目で見られるリスクは高い。まずは少しでも効率を上げる余地がないか、自分のやり方を見直す機会とするのが良いだろう。


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