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感想メモ: 科学と方法

科学と方法—改訳 (岩波文庫 青 902-2)
科学と方法—改訳 (岩波文庫 青 902-2)
  • 発売元: 岩波書店
  • 価格: ¥ 798
  • 発売日: 1953/10

★★★☆☆

  1955年出版だけあって装丁も仮名遣いも超シブい。アイデアのつくり方からの孫引きで読んだのだが、著名な数学者であるポアンカレもアイデアのつくり方と共通することを述べているのを確認した。

 すなわち、数学のアイデアであっても、考え抜いて煮詰まった後に気分転換で別のことをしているふとした拍子に(コーヒーを飲み過ぎて寝れなくてウトウトしてたとき、旅行先で馬車に乗るときに踏み台に足を乗せたとき、通りを横切っているとき)突然アイデアがひらめくという経験をしているということだ。これをポアンカレは、「無意識の活動」の重要性として説明している。

 ぶっちゃけ他の部分はとっつきにくそうだったので流した。

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感想メモ:したたかな生命

したたかな生命
したたかな生命
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2007/11/16

★★★★☆

 生命の持つロバストネス(頑丈さ)には、知れば知るほど感心させられる。この生命が進化の末に獲得してきたロバストネスの仕組みについて、それを実際に技術として実用化した例を交えながら説明されている。

 内容は下のようなもの。

  • システム制御方法:netative/positive feedback, feedforward
  • 冗長性、多様性、モジュール構造、デカップリング
  • ロバストネスのトレードオフ

 長年の進化の果てに獲得された仕組みだけに、感心させられる例が多かった。

 他に、生命の仕組みを技術として用いている例を紹介している本としては、赤池学氏の「自然に学ぶものづくり」「昆虫力」などがある。★4つ。


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感想メモ: 光と物質のふしぎな理論—私の量子電磁力学

発売元: 岩波書店
価格: ¥ 1,050
発売日: 2007/06

posted with Socialtunes at 2008/06/01

 

★★★☆☆

QED(量子電磁力学)の内容を、ノーベル賞物理学者のリチャード・ファインマン教授が素人にもわかるように説明した講義の内容。こんな硬派な内容なので、量子力学に多少なりとも興味がある人以外には全くオススメできない。多少興味がある私でも、ファインマン図には興味が湧かず、途中からどうでも良くなった。

 とはいえ、へぇ〜な情報も色々と含まれていた。私の記憶に残ったのは以下の点。小学校で習うことは、近似であって正確ではなかったのだな、と。

  • 光は最短経路しか進まない、のではない!直進以外にも、考えられる全ての経路を進みうる(最短とそれに近い経路以外は互いにキャンセルされ、寄与が小さいだけ)
  • 鏡も、最短距離一点だけで反射するのではない!
  • 鏡を最短距離の部分だけを小さく残しても、反射する光は弱くなる!
    →他の部分も反射に寄与している
  • 二重スリットで「波束が収縮」する問題は、「粒子の存在確率は、最初の状態と最後の状態を正確に定義する必要がある」と考えると当たり前になる
  • 一枚目のスリットを通過した時点で測定を行えば、そこが「最初の状態」となるので、スリットを通る前に計算した存在確率とは「最初の状態」が異なるから

読み返してみると、やっぱり相当読者を選ぶようだ。

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