「天気の子」と一致するもの

suzume00.jpg ©2022『すずめの戸締まり』製作委員会

『すずめの戸締まり』が、2022年11月11日に公開された。
早速、公開初日の11/11に鑑賞した。

大きく心を揺さぶられる、すばらしい作品だった!

またやってくれたぜ、新海監督!

サントラと小説も買ったし、
冷静に考えられるようになったので、
感想と考察を書いていきたい。

<注意!>
タイトルにあるように、作品の内容に
関わること(ネタバレ)を多分に含みます。
映画未鑑賞の人はいますぐ映画館へGO!
映画『すずめの戸締まり』公式サイト










『君の名は。』『天気の子』から『すずめの戸締まり』への流れを振り返る

私は2016年『君の名は。』で全身に強い衝撃を受けた一方、
2019年の『天気の子』では、それほど衝撃を受けなかった。
その理由について考えて書いたのが以下の記事だ。
【ネタバレあり】『天気の子』深読み感想:『君の名は。』が『天気の子』に与えた呪縛 - うむらうす

言いたかったことをまとめると以下の通り。

  • 『君の名は。』は​「とにかく気持ちよく劇場を出てもらえる作品、劇場を出たときになにかがすこしポジティブに変わっているような作品にしたい」​というモチベーションで作られた
  • 一方『天気の子』は​「『君の名は。』を批判してきた方々たちが見て『もっと批判してしまうような映画』」​にしたいという思いがあった
  • 次回作は『君の名は。』寄りになるといいな

では、今回の「すずめの戸締まり」は、どうだったのだろうか?

公式パンフレット掲載のインタビューで、新海監督はこう答えている。

ほんのわずかだとしても、誰かを変える力というのは
大きなものじゃないですか。
自分たちの作る作品にもそういう力が宿り得るんだとしたら、
それはやっぱりなるべく美しいこと、正しいことに
使いたいなと思うんです

「批判してきた人がもっと批判するようなものを作る」という
『天気の子』のスタンスよりも、
「劇場を出たときになにかがすこしポジティブに変わっているような作品」という
『君の名は。』のときのスタンスに立っている
ようだ。

で、実際に鑑賞してみて、どうだったのか。

観終わった感触は、
『すずめの戸締まり』は『天気の子』よりも『君の名は。』に近い
ものだった(個人的にとてもうれしい)。

また、随所に
「観客に『君の名は。』を連想させる仕掛け」
があったように思えた。

『すずめの戸締まり』は『天気の子』より『君の名は。』寄り?

これまでの新海監督作品でも、
過去の作品への言及は見られてきた。

例えば『君の名は。』では
『言の葉の庭』のユキちゃん先生が出ている
し、
『天気の子』では、『君の名は。』の瀧や三葉がそのまま出てくる。

そういう過去作品のキャラクター出演とは別に、
『すずめの戸締まり』には『君の名は。』を想像させる
仕掛けがいくつも感じられた。

例えば以下のような部分である。

1. キービジュアルの空の色

your-name01.jpeg ©2016『君の名は。』製作委員会

tenkinoko02.jpeg ©2019『天気の子』製作委員会

suzume01.jpg ©2022『すずめの戸締まり』製作委員会

『すずめの戸締まり』の空には、彗星はないはずなのに、
彗星っぽい色の雲が見られる。天の川?

2. オープニングでの『君の名は。』の流れの踏襲

『すずめの戸締まり』のオープニングは以下のような流れだった。

夢からの目覚め → テレビの天気予報をバックに朝食 → 登校

これは『君の名は。』の流れそのままで、
これが意図的でないわけがない。

3. シーン転換時の「開け閉め」の描写

『君の名は。』では、シーン転換時に、
「ドアや窓の開け閉め」が使われていたのが特徴的だった。

your-name02.png ©2016『君の名は。』製作委員会

そして『すずめの戸締まり』では、
「鍵の開け閉め」と「扉の開け閉め」が使われている。

suzume02.png ©2022『すずめの戸締まり』製作委員会

これももちろん、意図的でないわけがない。

かと言って、『天気の子』のサインがないわけではない。
例えば、ニュースのBGMとして『君の名は。』の「糸守高校」と共に
『天気の子』の「K&A 初訪問」も使われていた。

鈴芽がチカのバイクに乗せてもらうときのヘルメットは、
『天気の子』で使われていたヘルメットと同じっぽい(うろ覚え)

私は『天気の子』よりも『君の名は。』が好みなので、
『天気の子』を示唆するサインを過小評価している
可能性は否めない。

しかし、『君の名は。』を連想させるサインが
随所に仕込まれている
ことは確かだろう。

「美しい、正しい」ことを描く

これが、本作の根幹に関わる部分なので
詳しく説明していきたい。

新海監督は、2022/11/8出演のNラジで
次のようなことを語っていた。

「君の名は。」「天気の子」と同じことを考えて、
言いたいことが一つあって描いてきたが、うまく伝わらなかった。
今度こそ、この言い方だったらどうだろう?という気持ち。

その『言いたいこと』とはなんだったんだろうか?
『すずめの戸締まり』に入る前に、
『君の名は。』『天気の子』に込められたメッセージを
振り返ってみたい。

『君の名は。』に込められたメッセージ

今回、奥寺先輩が瀧に"君もいつかちゃんと、幸せになりなさい"というセリフがあって、 ちょっと謎めいた言葉にも聞こえるかもしれないけれど、あれはお客さんに対する僕の気持ちでもあるんですよ...
誰かの幸せを願うような作品にできたらいいなと...
日常がいつかなくなってしまうかもしれない感覚って、みんな日に日に強く抱えるようになっていると思うんですよ。でも、あと少しだけでいいからこの状態を続けていたい。好きな人と一緒にいたい。幸せって、そういう切実な想いの中で初めて見いだせるものだとも思うんです。

引用:新海誠監督作品 君の名は。 公式ビジュアルガイド

好きな人と一緒にいたい。幸せになってほしい。
そんな気持ちを応援するメッセージは、
多くの人に伝わっていたはずである。
そうでなければ、興行収入250億円突破という結果は
成し得なかったことだろう。

その一方で、 「震災を利用している」
「震災をなかったことにしている」
というような批判もあった。

これらが新海監督の心に強く刺さったであろうこと、
そしてその批判に対する反動をベースに『天気の子』が
作られたことについては、以前こちらに書いた。
【ネタバレあり】『天気の子』深読み感想:『君の名は。』が『天気の子』に与えた呪縛 - うむらうす

『天気の子』に込められたメッセージ

『天気の子』には、『君の名は。』への批判に対する反動が
根底に含まれていることは既に述べた。

『君の名は。』ではキラキラに描かれていた東京は、
『天気の子』ではバニラカーが走り、犯罪が描かれ、
「東京って怖ぇ〜」場所として描かれた。

『天気の子』の主人公の帆高は、
「青空よりも俺は陽菜がいい!天気なんか狂ったままでいいんだ!」
と東京を水没させた上で「僕たちはきっと、大丈夫だ」と言った。

つまり、「美しく、正しい」ことを描くことの優先度は低かったように思えた。

確かに、『君の名は。』を
「批判してきた人がもっと批判するようなもの」には
なったのかもしれないが、
「異常気象が常態化している世界で生きていく世代には、
それを軽やかに乗り越えて向こう側に行ってほしい。」

という監督の思いがストレートに伝わるには、
ノイズが大きくなってしまったように思う。

(参考: 『天気の子』新海誠監督単独インタビュー 「僕たちの心は空につながっている」 - ウェザーニュース

『すずめの戸締まり』に託されたメッセージ

『君の名は。』では「震災をなかったことにするのか」
『天気の子』では「セカイ系」などという批判もあり、
結果として新海監督は

「言いたいことがうまく伝わらなかった」

と感じたそうだ。

しかしそこで手を緩めず、『すずめの戸締まり』では
ストレートに2011年の東日本大震災に踏み込んだ

これは非常に勇気がいる決断だったと思う。

タイムリープにより被害をなかったことにするのではなく、
地震による被害を未然に防ぐ戦いにすることで、
『君の名は。』への批判を乗り越えた。

東京上空で草太を要石として刺すことで、
世界を犠牲にすることもせず、
『天気の子』への批判を乗り越えた。

クライマックスのシーンでは、
心ある人々と出会い、支えられ、成長した鈴芽自身が、
傷ついている子供の頃の自分自身を救う声をかけた

「あのね、すずめ。今はどんなに悲しくてもね」

「すずめはこの先、ちゃんと大きくなるの」

「だから心配しないで。未来なんて怖くない!」

これまでの作品への批判に真摯に向かい合い、
このシーンを実現するために慎重に組み立てられた、
「美しく、正しい」ことを描いた作品だった。

「今度こそ、これなら、伝わりましたか?」

という新海監督の声が聞こえるようだ。


2011年の東日本大震災では、
私自身も大きな衝撃を受けた。

当たり前と思っていた今日の命が、
実は当たり前ではないこと。
人の力の及ばない、理不尽な力があり、
それはいつどこで誰に牙を剥くのか、
誰にも分からないこと。

だとしたら、どう生きていくのか。
結局、大事な人と、その時その時を
一生懸命生きていくしかないのではないのか。
そんな風に考えるようになったのを思い出した。

私個人としては、『すずめの戸締まり』は、
新海作品の中で最高の完成度を持つ、
まさに集大成と呼ぶにふさわしい作品だ
と感じた。

それでも。
「無神経」「傷ついた」「がっかりした」などと
言う人は出てくるだろう。
どんなに優れたメッセージであったとしても、
100万人中100万人が同意することなどあり得ないのだから。

新海監督は、『すずめの戸締まり』の公開後、
「どう受け止められるか不安で怖くて、よく眠れない」と
話していた。

観客の声を真摯に受け止め、できるだけ多くの人の声に
答えようと、正解を探し続けたのだろう。
とても誠実なスタンスだ。誠実すぎる、とも思える。

おそらく新海監督の次回作は、自然災害からは離れるだろう。
そのときに何を描いてくれるのか。とても楽しみだ。
願わくば、自身の描きたいことを優先してもらえたら、と思う。

その他諸々感じたこと

もうちょっと続くのじゃ。

音楽の方向性の転換

『すずめの戸締まり』でも、音楽には『君の名は。』『天気の子』で
タッグを組んだRADWIMPSが再登板している。 そして、音楽に関しても、『すずめの戸締まり』は
集大成と呼ぶにふさわしい完成度の高さ
だった。

『君の名は。』では、一般的なアニメ映画とは異なり
「夢灯籠」や「前前前世」などボーカル曲が多く採用され、
『天気の子』でもその形は踏襲された。

特に、『君の名は。』のスパークルや、
『天気の子』のGrand Escapeで見せた、
緻密に設計された、圧倒的な歌と映像と融合体験
は、
その後の作品にも影響を与えた。

しかし『すずめの戸締まり』では、ボーカル曲多様の方針は
踏襲されず、楽曲の構成が一変
している。

歌詞の乗った曲は、テーマソングの「すずめ feat.十明」と
「カナタハルカ」だけで、しかもどちらも歌詞の乗った歌は
エンディングでしか流れない。

つまり、『すずめの戸締まり』では、
『君の名は。』『天気の子』で効果が証明された
この強力な武器を使わないという選択をしている
のだ!

効果があるとわかっている武器を使わない
これはなかなかできない、大きな決断だと思う。

「すずめ feat.十明」は、予告編でも歌詞付きで流れていたので、
てっきり作中の重要な場面、例えばクライマックスのシーンで
流れるのだろうと思っていた。

ところが。
鈴芽が子どものすずめと対話するクライマックスのシーンでも、歌は流れない。
しかしそれによって、このシーンの体験が損なわれているのかというと、
そんなことは全くない!

むしろ、
『君の名は。』のスパークルが流れる場面に勝るとも劣らない、
圧倒的な力で心を揺さぶる名シーン

となっている。

他のシーンでも「すずめ」のメロディーは使われていて、
メインテーマとして統一感を持って作品を支えている。

『すずめの戸締まり』では、RADWIMPSに加えて
メタルギアソリッドシリーズや「攻殻機動隊 SAC_2045」の音楽を担当した
陣内一真(じんのうち かずま)氏が参加している。

どのような形で関与されているのだろうか、と思ったらこんな記事を見つけた。
新海誠監督×野田洋次郎×陣内一真、『すずめの戸締まり』を彩る音楽を語り尽くす - THE FIRST TIMES

対談動画はこちら。

陣内氏は映画音楽のプロとして音楽全般に関わっていたようだ。
RADWIMPSの野田氏も語っているように、
『君の名は。』は初の映画音楽制作となるロックバンドが作った音楽として、
いい意味で映画音楽の枠にとらわれない、勢いがある音楽だった。

一方『すずめの戸締まり』では、メッセージ性のあるRADWIMPSの音楽に、
陣内氏により観客の感情を盛り上げるアレンジがなされ、
映画音楽として完成度が高いものとなっていると感じた。

陣内氏がクレジットに入っているのは以下の6曲。
いずれも、作中で重要なシーンの音楽で、
これらに関してはアレンジだけでなく作曲されたようだ。

  • 廃墟の温泉街
  • 廃遊園地
  • 決意〜旅立ち
  • 常世
  • 草太の元へ
  • 戸締まり

特に「戸締まり」は、上で述べたクライマックスのシーンのBGM
ミミズとの対決シーンでは高まる緊張感が。
「戸締まり」では一転して包み込むような優しさと、
感情の盛り上がりが表現されている。

映画の音楽制作の経験も豊富な陣内氏の参加が、
作品に深みを与えたことは間違いないだろう。

サントラには、作中では流れなかった
「Tamaki」と「すずめの涙」の2曲も入っている。

「Tamaki」は、環さんの鈴芽に対する胸の内が描かれている。
「すずめの涙」は、エンディングで流れてもおかしくない曲。
作中で使われなかった理由はわからないが、胸を温めてくれる曲だ。

興味がある方は、ぜひ聴いてみてほしい。

宮崎駿監督へのリスペクト

制作発表時のインタビューで新海監督は、
『すずめの戸締まり』は「魔女の宅急便」の影響を強く受けている
と語っていた。
新海誠×上白石萌音×森七菜『すずめの戸締まり』製作発表会見の舞台裏~The First Door~ - YouTube

直接的には、芹澤カーでかかる「ルージュの伝言」で、
多くの人に自動的に『魔女の宅急便』を連想させる曲だ。
「旅立ちはこの曲」「猫もいるし」というセリフもあった。

話の構造としては、見知らぬ土地で、人の優しさに支えられ、
成長していく主人公
という構図も『魔女の宅急便』を
感じる要素になるだろうか。

他にもいくつか、宮崎作品への言及が見られた

  • Twitterに「リアル耳すま」
  • ミミズは「もののけ姫」のデイダラボッチを連想させる
  • 金色の糸も王蟲のアレを連想させる

考えすぎのところもあるかもしれないが、
随所に宮崎アニメへのリスペクトを感じた。

芹澤カーの選曲センス

「ルージュの伝言」に「夢の中へ」。
神木くん芹澤くん、大学生なのに
随分とシブい趣味してるなーと思っていたら。
小説を読むと、この選曲は、
環さんの年代に合わせた選曲
なのだった。

ごめん、そのやさしさに気付いてあげられなかった...

狐憑き?

唯一、作中で理解できなかったのが、
サービスエリアで環さんが
鈴芽に厳しい言葉を浴びせるシーン。

サントラの曲名は「狐憑き」となっているし、
鈴芽の誰何の声に「サダイジン」と答えているので、
サダイジンが環さんに憑依して言わせたのだろう。

が、その動機がよくわからなかった。

直後に鈴芽を守るため?ダイジンがサダイジンに飛びかかるも、
逆に首根っこを咥えられ帰ってきた。
が、サダイジンを正気に戻すことには成功したようだ。

サダイジンは、何のために環にあのようなことを言わせたのだろうか?
考えてみたが、しっくりくる説明を思いつかなかった。

環と鈴芽の関係性の進展のために
必要なイベントであることは理解できるが、 できればもう少し説明が欲しかった。

また、「ダイジン」はTwitter民の命名だったはずなのに、
なぜもう一体の要石が「サダイジン」なのだろう?
神はTwitterもチェックしてるの?

とか細かいこが気になったりした。

鈴芽が三葉っぽい

『すずめの戸締まり』も、『君の名は。』のように
心を動かされた。

『君の名は。』のときに、なぜ感動したのかを考えたのがこちらの記事。
「君の名は。」はなぜ人を感動させるのか? - うむらうす

簡単に言うと、
共感が強いほどキャラクターへの感情移入が深くなり、感動が強くなる
という仮説だ。

そして鈴芽は、三葉と同じく共感しやすい特性を持っている。

素直、ひたむき、一生懸命 → 応援したくなる

バーで矢継ぎ早の指示にいっぱいいっぱいになって
「え〜〜〜〜!?」と言ってるところとか、
眉間に皺を寄せてスマホを連打しているところとかも、
三葉っぽいな、と思った。

その他気になった点、小ネタなど

  • 鈴芽の部屋で、草太が片付ける本の中に「はつ恋」
  • 鈴芽のお父さんが、瀧くんのお母さんくらい気配がない。草太のご両親も。どこ行ったの?
  • 佐々木特異点
  • 「すごいすごい(棒)」「そうだね(棒)」
  • ついにヒロインの髪型が二つくくりじゃなくなった
  • 足の裏の傷が痛そうで、シャワーの水が当たるときこっちもビクッとした
  • 芹澤のタフな精神を見習いたい
  • クライマックスのシーンに感動した人で、ヴァイオレット・エバーガーデン第10回未視聴の人は、観ると良いと思います

最後に

さて、長々と書いてきましたが、
結論として、『すずめの戸締まり』は、
『君の名は。』『天気の子』を踏まえての、
新海監督作品の集大成
だと思います。

改めて、すばらしい作品でした。
ありがとうございます...!圧倒的感謝...!!


参考になったインタビュー記事やサイトを挙げておきます。

映画『すずめの戸締まり』完成披露イベント映像

当サイトの新海監督過去作品関連記事

  1. 「君の名は。」はなぜ人を感動させるのか? - うむらうす
  2. 「君の名は。」の入れ替わりの謎について考えてみた - うむらうす
  3. 【ネタバレなし】天気の子感想メモ 〜タイプ別オススメ度〜 - うむらうす
  4. 【ネタバレあり】『天気の子』深読み感想:『君の名は。』が『天気の子』に与えた呪縛 - うむらうす

web拍手にお答え 2019年1月〜12月

はい!2020年は東京オリンピックの年!と思いきや、
世界的にコロナウイルスとの戦いの歳になってしまいました。

「2020年はね、新型ウイルスが世界中に蔓延して、
ニューヨーク、ロンドン、世界中の都市がロックダウンして、
オリンピックも延期になるんだよ」
といったところで、誰が信じたでしょうか。

という話をしておいて、web拍手へのお答えは、
なんと2019年の1月〜12月なんですね。

ちなみに前回は、

「新しい年号は何かな?画数から考えて「豆男(7,7)」かな?」

とか言ってました。「豆男」ってw (←セルフツッコミ)


【OSX】Excelで文字入力が超絶遅くなったときの対処法へのweb拍手
osXでExcel利用している者ですが、文字入力が遅く、困っていたところとても助かりました!ありがとうございました。

ありがとうございます!
最近発生していない現象なので、ExcelかMacが改善したんですかね?

 


「君の名は。」の入れ替わりの謎について考えてみたへのweb拍手
今まで観た最高のアニメ映画です!

「君の名は。」よかったですねよ〜。
「天気の子」も観ましたが、「君の名は。」の方が好みでした。

 


「蛙の行列」ってなんだ?へのweb拍手
この話、落語の圓生師匠が枕で使っていました。

おお、私もついに圓生師匠レベルに...!(激しい思い上がり)
てか読み返したら、結構おもしろかったし、タメになりました。
「蛙の行列」ね。上位概念は「蛙のテンソル」だよね(違)。

 


もうこのカバーに替えて1年ほど立ちましたが、
首にかけるストラップと、手にはめるバンドがあるおかげで、
落とす気配もありません。いい買い物でした。

 


インパクトドライバーが便利すぎて感動した(マキタTD110)へのweb拍手
仕事で使っています。プライベートでも欲しいが高くて買えません。

いいですよね!インパクトドライバ。
響きもかっこいい。インパクトドライバ!!
技の名前みたい。インパクトドライバ!!(右手を突き出しながら)

冗談はさておき、その後もネジ締めのたびに活躍してます。
元々、手首を痛めないために買ったのですが、
作業効率もアップ、無駄に汗だくになることもなくなり、
これもいい買い物でした。

 


父親が赤ちゃんを寝かしつける3つのコツへのweb拍手
おつかれさまでした。

こんな時代もありましたねぇ...(遠い目)
自力で寝られないって、おかしいですよね。

 


解決策を提示したはずなのですが、
悩みは解消しなかった...? ウチではその後もちゃんと連携できてます。


返戻率の読み方へのweb拍手
読めなかったので助かりましたわ!

どういたしまして!
「へん...なんだっけ」
という人は読むといいですよ!


アルミ箔は燃えるゴミへのweb拍手
助かりました!ありがとうございますm(_ _)m

どういたしまして!
自治体によって扱いが違うらしいので、
一応確認してくださいね。

なんか色々お礼を言われてて、えらいな。私。


Touch Bar をカスタマイズして闘魂注入できるようにしたへのweb拍手
いい記事をありがとうございます。

読み返してみましたが、力作ですね。
若葉マークは結構使ってますよ。
炎マークは...ときどき。


ということで、やっと2019年の拍手にお答えできました!
Stay Home!(挨拶)

tenkinoko01.jpeg ©2019『天気の子』製作委員会

全ワタクシ待望の『天気の子』が、いよいよ公開された。

ネタバレなしの感想はこちらに書いたので、
【ネタバレなし】天気の子感想メモ 〜タイプ別オススメ度〜
今度はネタバレありの感想、
特に『君の名は。』との関係について書きたい。

『天気の子』未鑑賞の人は、公式サイトへどうぞ!
映画『天気の子』公式サイト










ということでここからは、
『君の名は。』と『天気の子』の関係性を軸に、
感じたことを書いていきたい。

『君の名は。』と『天気の子』の共通点、相違点

『天気の子』を語る上で欠かせないのが、
前作『君の名は。』だ。

『君の名は。』の空前の大ヒットについては、ここで繰り返すまでもないが、
今回の『天気の子』に、影響を強く与えたのは間違いない。

まず、両作品の共通点、相違点について見てみよう。

『君の名は。』と『天気の子』の共通点

  1. ボーイ・ミーツ・ガール
  2. 年長者による隠されたルールの示唆
  3. ヒロインの喪失
  4. あの世:隠り世(かくりよ) ↔︎ 彼岸
  5. あの世へアクセスするための特別な場:御神体 ↔︎ 鳥居
  6. 目的達成のための犯罪行為
  7. 再開でのハッピーエンド

新海監督作品の大きな魅力でもある美しい映像は、
『天気の子』でも健在だった。

tenkinoko02.jpeg ©2019『天気の子』製作委員会

tenkinoko03.jpeg ©2019『天気の子』製作委員会

例えば、花火のシーンは、今作でのハイライトの一つだが、
音楽とカメラワークも相俟って、幻想的な美しさに圧倒された。

一方、共通点が多いことの問題として感じたのは、
これは布石で、次はこうなるんだろうなぁ、と
展開が予想できてしまったことだ。

『君の名は。』を予習し過ぎたデメリットだろうか。

『君の名は。』と『天気の子』の相違点

  1. 世界の描かれ方:
    東京ってキラキラしてて、お祭りみたい ↔︎ 東京ってコエ〜
  2. ヒロインを救うことの副作用:
    厄災から町の人を救うこと ↔︎ 首都圏に厄災をもたらす

まず1についてだが、『君の名は。』では、世界が
現実以上に美しく描かれていたことに驚いた。

悪役らしい悪役も、ピザにつまようじを刺した
チンピラくらいで(隕石は人じゃないとする)、
世界は美しかった。

美しく描かれていたことにも理由があるわけだが、
(参考:「君の名は。」公開記念 新海誠監督インタビュー
美しい存在ばかりではない現実と、
向かい合う力を与えてくれるのも、
物語なのではないか。

次は2について。
主人公たちが、目的達成のために犯罪行為を行うのは、
『君の名は。』と『天気の子』でも共通している。
しかし、その副作用が異なる。

前作では、ヒロインを救うことは、
町の人々をも救うことであり、終盤は、
ヒロインの三葉自身が、町の人達を守るために奔走した。

一方今作では、ヒロインを救うことが、
首都圏に災害をもたらすことであるとわかっていた上で、
それを選んだ。
つまり、「世界を敵に回しても、君を選ぶ。」

ここが、意図的に設定された前作と今作の差異であり、
「意見が分かれる」点なのだろう。

その辺りの議論は他の方々に譲るとして、
これはどのような意図で作られた差異なのか
考えてみよう。

『天気の子』の出発点は『君の名は。』への批判

新海監督は、『君の名は。』のビッグヒットの後、
どのような考えで、今作を形作っていったのだろうか

新海監督は、インタビューで以下のように語っている。

僕の映画『君の名は。』を強く批判した人たちに
批判されないようにするべきなのか。
あるいは違うやり方があるのか。
その時に僕が出した結論は
『君の名は。』を批判してきた方々たちが見て
『もっと批判してしまうような映画』を作らないといけない

と思いました。
(中略)
きっと自分自身に作家性のようなものがある、
描きたいものがあるんだとしたら、
その中にこそあるはずじゃないかと思いましたし。
あるいはもっと叱られる映画を作ることで、
自分が見えなかった風景が見えるじゃないかという気もしたんですよね。
「君の名は。」から「天気の子」へ 新海誠監督の格闘 "称賛" "批判"を受けとめて|けさのクローズアップ|NHKニュース おはよう日本

今作『天気の子』は、
『君の名は。』への批判がベースになっている
と言っていいだろう。

『君の名は。』に寄せられた意見は、批判が多かった?

『君の名は。』は、国内だけで1900万人、
国外も合わせると4000万人という、
すごい人数の人が鑑賞した。
(参考:君の名は。 - Wikipedia)

感想も大量に寄せられただろうが、その中には、
批判が多かったのだろうか?

『君の名は。』に対する感想は肯定的なものが多かった

そうではない。
『君の名は。』に対する感想には、
国内外問わず肯定的な意見が非常に多かった。

そうでなければ、今ほどネームバリューがなかった
当時の新海監督の映画に、あの観客動員数は
なしえなかったはずだ。

99の肯定より1の批判が胸に突き刺さる

一方で、それにも関わらず、批判が多く感じられたのは、
これもまた当然のこと
だ。

なにしろ、母数が1900万人という異常な数字。
仮に、肯定的な意見が95%という超高評価であるとしても、
否定的な意見を持つ5%の人だけで95万人もいる
ということになる。
ざっと100万人だ。

結果として、新海監督は、至る所で作品に対する批判を
耳にすることになった。
それは、これまでの作品に対する反応とは、桁が違ったことだろう。
(この状態がわかる人は、日本では宮崎駿だけ)

そして、深いダメージを負ったことは想像に難くない。
自分が心を込めて作り上げた作品に対する批判は、
それだけ心に刺さる
からだ。

村上春樹ですら、自分の作品の感想には
注意深く触れないようにしているそうだ。
(それでも目に入って来てしまうらしい)

批判してくる人よりもファンの方を向いてほしかった

個人的には、上のインタビュー記事を読んで、
「そもそも批判してきた人の方を向く必要なんてない」
のではないかと感じた。

残念なことに、万人が受け入れるものなど存在しない。
それを目指す必要もないと思う。

批判の背後には、もっと膨大な数の、
好意的な意見を持った人たちがいたはず。
個人的には、そちらのファンの人たちを向けた気持ちを、
作品の出発点にしてほしかった

そうしたら、もっと楽しめたんじゃないか(主に私が)。
という勝手な意見が、この記事の主旨となります。

この点について、新海監督のインタビューにも、
気になるものがあった。

今は完成直後、公開直前なんですが、大変落ち着かないですね。 ちょっと前までは自信があったんです。絶対におもしろい映画だと。 少なくとも劇場に来たことを後悔させない、 僕たちは全力をぶつけたんだという自信があったんですけども、 公開が近づくにつれて不安になってきて。 大丈夫だったのかな、スタートから間違えてないかなとか、 そんなことを考えています。 WEB特集 新海誠監督 批判を乗り越えた先に | NHKニュース

想像だが、新海監督自身、『天気の子』のスタート地点が、
『君の名は。』に対する批判であるということに、
疑問を感じていたのではないだろうか。

以下の『君の名は。』公開時のインタビューを読んでみると、
「スタート地点」が違うことがわかるのではないだろうか。

「君の名は。」公開記念 新海誠監督インタビュー| U-NEXT

107分間の観客の気持ちの変化を、 自分の中で完璧にシミュレーションする。 過去の作品では把握しきれなかった時間軸を、 今回は完全にコントロールしようと思いました。 とにかく見ている人の気持ちになって、 できるだけ退屈させないように、 先を予想させない展開とスピードをキープする。 一方で、ときどき映画を立ち止まらせて、 観客の理解が追いつく瞬間も用意する。 それらを作品のどの場面で設けるか、徹底的に考えました。 『君の名は。』新海誠インタビュー前編 「エンタメど真ん中」を志した理由とは - KAI-YOU.net

最後に

クリエイターという人種は、天才だと思う。
我々は、その天才たちが作り出した作品を
ありがたく楽しませてもらっている凡人である。

ただ、クリエイターが生み出す作品を愛するが故に、
色々と物申したくなってしまう。
しかし、実は天才も同じ人間なので、
「凡人からであろうと、批判されたら傷つく」
という当たり前のことを忘れてしまいがちだ。
(この記事は、批判ではなく応援のつもりで書いている)

確かに、チャレンジなしに成長はない。
「もっと叱られる映画を作ることで、
自分が見えなかった風景が見え」たのだろうか。
きっと、そこで手に入れたものを元に、
またすばらしい作品を作り出してくれるのだろう。

ということで、気が早いが、
雑音(この記事を含む)なんか気にせず、
ずっと新海監督を見守っているファン、
『君の名は。』から入った新参者のファン(私含む)、
まだ見ぬ新海監督ファンになる人に向けた作品を
生み出してくれるのを楽しみにしよう。

参考

観てきました。『天気の子』

色々書きたいことはありますが、
まずは未鑑賞の人向けの感想を書いてみます。
ネタバレあり感想は後で書きます。


さて。

この「天気の子」の評価は、
この映画に何を求めているかによって、
かなり異なるのではないか
、と感じられました。

そこで、大きく以下の4つのタイプに分けて、
それぞれの人たちへのオススメ度を考えてみます。

  1. 映像と音楽の美しさを期待する人
  2. 新海誠監督の昔からのファン
  3. 映像や音楽より、ストーリーを期待する人
  4. 「君の名は。」のような体験を期待する人

自分がどのタイプか、なんとなく頭に浮かべつつ、
参考にしてもらえればと思います。

1. 映像と音楽の美しさを期待する人

◎オススメ!

映像は、文句なしに非常に美しいです。
音楽も、前作同様、RADWIMPSが
がっつりと制作に関わっていたこともあり、
楽曲とのシンクロ度合いもバッチリです。

したがって、
このタイプの人は、「天気の子」を
かなり高い確率で満足できるだろう

と予想します。

2. 新海誠監督の昔からのファン

◎オススメ!

このタイプの人々は、「君の名は。」のずっと前から、
新海監督の歩みを見守ってきた人たちであり、
時に辛辣に、時に暖かく、見守ってきた人たちだと思います。

このタイプの方々は、どんな作品であっても、
様々な意見を持ちつつ、それでいてやっぱり、
新海監督を見守るっていく人たちでしょう。

この人たちは、いつか観ることになるはずなので、
どんな感想を持つかはわかりませんが、さっさと観ましょう。

3. 映像や音楽より、ストーリーや世界観を期待する人

○少し気になるかも?

映像の美しさや、音楽との相乗効果よりも、
世界観や設定、ストーリーの緻密さ、蓋然性の高さ、
メッセージ性などを、映画に求める人も多いでしょう。

私は、この層の人たちによる評価が、
一番低くなるのではないか
と予想します。

というのも、一緒に観た連れがこのタイプで、
「これってなんでなんだろう?おかしくない?」と、
色々な設定の部分が気になってしまったようでした。

この層の人たちは、他のタイプの人たちよりも、
自分の意見を論理的に表現することができるので、
ネット空間では論理的な批判が多くなるのではないか、
とちょっと心配しています。

4. 「君の名は。」のような体験を期待する人

○少し気になるかも?

当たり前ですが、「天気の子」は「君の名は。」とは別の映画です。
新海監督はインタビューでも語っていますが、
「君の名は。」では、様々な肯定的な意見、否定的な意見が、
寄せられ、それで『「君の名は。」で怒らせた人を、
もっと怒らせてやろうという気持ちがあった』
と語っています。

彼らが怒らない映画を作るべきか否かを考えたとき、
僕は、あの人たちをもっと怒らせる映画を作りたいなと。
独占インタビュー!『天気の子』新海誠監督、「君の名は。」批判した人をもっと怒らせたい (2/3ページ) - 芸能社会 - SANSPO.COM(サンスポ)

つまり「天気の子」は、観た人に対して、
「君の名は。」と異なる影響を与えよう、
という意図を根底に作られた作品なのです。

ですから、「君の名は。」と同じような経験を期待すればするほど、
「違う」という感覚に苦しむことになるでしょう。

これは、 「君の名は。」とは別の映画なのです。
別の作品を楽しむ気持ちで臨めば、
余計なショックを受けずに、
素直に楽しむことができると思います。

なんでこんなにくどいかと言いますと、
私はこの4.の層だからです。

別の作品に対して、全く同じ体験など得られるわけがないのに、
期待し過ぎてしまった自分が悪い
のですが。
やっぱりなんかこう、ションボリしてしまったわけです。
観る前の自分に、言ってやりたかった。

でも、私は、4. であると同時に
「1. 映像と音楽の美しさを期待する人」でもあるので、
その部分ではとても満足しています

映像は、天気の描き方は、
それはもうすばらしいものでした。
特にあのシーンのあのへんとか、
あのシーンのあそことかも、ただただ、美しかった。

音楽も、ステキでした。
映像とRADWIMPSの音楽のマッチングは、
すばらしかったと思います(語彙力)。


まとめると、本作に何を求めるかで、
オススメ度が変わると思う
、という話でした。

1. 映像と音楽の美しさを期待する人 → ◎ 2. 新海誠監督の昔からのファン → ◎ 3. 映像や音楽より、ストーリーを期待する人 → ○ 4. 「君の名は。」のような体験を期待する人 → ○

映像と音楽の美しさは超一流品だと思うので、
それだけでも観る価値があると思います。
ただ、ストーリー重視派の人、
「君の名は。」を期待する人に対しては、
ちょっと留保が付くかな
という感じでした。

もちろん、これは個人的な意見なので、
3や4のタイプの人でも、観てみたら大満足!
ということも十分にもありえますし、
ネタバレは怖くないのでTwitterで感想を眺めてみましたが、
すばらしい!と言っている割合が高かったです。

ということで、見ようかどうしようか迷っている人の
参考になれば幸いです。

小説読んでから2回目観るかなー。

〜おしまい〜