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感想メモ:問題発見プロフェッショナル—「構想力と分析力」

問題発見プロフェッショナル—「構想力と分析力」
問題発見プロフェッショナル—「構想力と分析力」
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 2,520
  • 発売日: 2001/12

★★★☆☆

 『問題解決プロフェッショナル「思考と技術」』の続編。
解決以前に、適切に問題を発見するところに焦点を当てている。以下内容。

 ・問題は「あるべき姿」と「現状」の「ギャップ」。
うまく問題を発見できないのは、「あるべき姿」を描けなない、
「現状」の把握が正確でない、「ギャップ」の構造がわからない、
解決策を「現状できること」ベースで考えている、などのケース。

 ・現状ベースではなく、ゼロベースで「あるべき姿」を考える。
ツールとして4P。Purpose:何のために、Position:誰にとって、
Perspective:どの範囲で、Period:どの時点で、の問題かを考える。

 ・問題の「拡がり」分析→重要因子抽出。
MECE、トレンド、+/-差異、集中・分散、コスト、CS/CE(バリュー分析)

 ・問題の「深さ」分析→問題具体化。
ロジック、ユーザビリティ、相関、シェア。

 ・問題の「重さ」分析→優先順位付け。
感度、パレート、ABC、ピーク、リスク・期待値。

 「問題解決プロフェッショナル」と合わせて、
コンサルタントの問題発見→解決の手法が教科書的に概観できる。
ただし、現実の問題に大して、手を動かして使ってみないと身に付かないはず。
とはいえ、知識として知っているのはよいことだと思う。★3つ。

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感想メモ:ダメな議論

ダメな議論—論理思考で見抜く (ちくま新書)
ダメな議論—論理思考で見抜く (ちくま新書)
  • 発売元: 筑摩書房
  • 価格: ¥ 714
  • 発売日: 2006/11

★★★☆☆

 巷に溢れる怪しい議論を見抜くための5つのチェックポイントの紹介と、ダメな反論のしかたについての説明。後半は、ニート問題、食糧安保論、日本の財政問題などの現実の話題を例にあげ、ダメな議論のチェックをしていく。

 そのチェックポイントとは以下の5つ。

  1. 定義がおかしくないか
  2. 反証不可能/無内容でないか
  3. 根拠が例え話
  4. 理論の応用がおかしくないか
  5. 単純なデータで否定されないか

 「構造改革」「国際競争力」「夢」などは1にひっかかりやすい。「大変な事態になる」など抽象的な主張は2にひっかかる。「近年の凶悪犯罪の増加」などは5.で否定される。

 しかし、私がこの本で最も興味深かったのは、日本の財政問題に関する記述だったりする。日本国債の保有者は6割が政府系金融機関、3割が民間金融機関で、結局はほとんど家計が保持しているとのこと。対外債務は5%程度なので、「日本の借金」ではないのだ。

 全体としては、やや読みにくい。目次を見ても内容が思い出しにくかったり、今一つすっきり入ってこなかった。もっとおもしろくなれる本だと思う。もったいないので★3つ。

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感想メモ:理科系の作文技術

理科系の作文技術 (中公新書 (624))
理科系の作文技術 (中公新書 (624))
  • 発売元: 中央公論新社
  • 価格: ¥ 735
  • 発売日: 1981/01

★★★☆☆

 理系の文章は、内容を間違いなく読み手に伝えることが目的である。そのためには、どのような点に気をつけて文章を書くかということを、例を挙げて詳細に説明している本。

 「起承転結」といった日本的な文章は、理系の、特に英語の学術論文では通用しない。1つの文章で1つの主題、文章は簡潔に、読み手を考えて、といった要点は理系以外の文章にも共通する事柄だろう。仕事で作る資料にも、まさにあてはまる。

 何気なくダラダラと文章を書くと、ほぼ確実にぜい肉が付いている。しかし、書いた文章を徹底的に添削してもらう機会というのもなかなか多くはないので、何が無駄なのか自分では気付きにくいもの。自分が書く文章の質について意識的になるきっかけとするにはいいかもしれないが、やっぱり理系の人向けの本。万人向けではないので★3つ。理系の学生なら★4つか。

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感想メモ:上司は思いつきでものを言う

上司は思いつきでものを言う (集英社新書)
上司は思いつきでものを言う (集英社新書)
  • 発売元: 集英社
  • 価格: ¥ 693
  • 発売日: 2004/04

★★★☆☆

 ここで言う「上司が思いつきでものを言う」のは、「景気が悪いときに」「部下が建設的な提案をした」ケース、とされている。

 景気が良いときは、そのまま方針維持でやっていれば特に問題ない。しかし景気が悪くなると、やり方を変える必要が出てくる。その時に部下から建設的な提案が出てくると、上司はそれを今までのやり方の否定と受け取る。

 現場に戻れない上司が、今の現場をよく理解している部下への嫉妬をするという要素もある。そして、自分の優位性が脅かされた上司は、イチャモンをつけずにいられなくなる。と書かれていると読んだ。

 が、正直わかりにくかった。タイトルがキャッチーで、要素要素にはおもしろい考え方も書かれている。しかし話があっちこっちに行ったり来たりして、さっと目を通しただけでは筋道が追いにくい。ので★3つ。

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感想メモ:徹底予測 これが新成長ビジネスだ!

徹底予測 これが新成長ビジネスだ!—日本をリードする55のフロンティア
徹底予測 これが新成長ビジネスだ!—日本をリードする55のフロンティア
  • 発売元: 日本経済新聞出版社
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2007/05

★★★☆☆

 日本で、今後10年GDPを1%成長させる可能性を秘める先端技術を紹介している本。IT・ライフサイエンス・ナノテクなどの技術を、社会面・生活面での成長ビジネスにするための、筋道を紹介している本とも言える。

  「大予測 日本の3年後、5年後、10年後」「2015年の日本—新たな「開国」の時代へ」など、同じ日本の将来について政策的な面も語っている本とは毛色が異なり、技術トレンドの紹介にフォーカスを当てている点が特徴。

 基本的にどの項目も、先端技術とその応用についての紹介なのだが、現状その技術がどの程度の実力であるかについては詳しく書かれておらず、描かれている未来における実現可能性がよくわからない。

 小項目いっぱい本によくあるように、項目ごとの関連がないため、流して読むだけでは頭に残りにくい。ああ、こういう技術が育ちつつあるのだな、という感想を持てればよいのではないか。★3つ。


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感想メモ:戦略的な人の超速★仕事術

戦略的な人の超速★仕事術 (中経の文庫 に 1-2)
戦略的な人の超速★仕事術 (中経の文庫 に 1-2)
  • 発売元: 中経出版
  • 価格: ¥ 520
  • 発売日: 2008/01
  • おすすめ度 4.0

★★★☆☆

  仕事術ということで、lifehack本。内容を簡単に挙げると

  • 集中できる時間を確保する
  • 計画を立てて、きちんと見直す
  • 無駄をなくす
  • 情報収集
  • 整理整頓
  • コミュニケーションの取り方

など、基本的に読んだことがある内容が多かった。

 そんな中、この本の特徴的な所はというと、6章の企画作成について。各種雛形やプレゼンの方法などが載っていて参考になる。しかしこの本は仕事術がメインで企画作成の本ではないため、残念なことにどれも軽く流されていて、一つ一つの説明が浅くなってしまっている。個人的にはここをもっと掘り下げてもらいたかった。

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感想メモ: パラダイス鎖国

パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)
パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)
  • 発売元: アスキー
  • 価格: ¥ 760
  • 発売日: 2008/03/10
  • おすすめ度 4.5

★★★☆☆

 Tech Mom from Silicon Valleyの海部美知さんの著書。

 日本は国内市場が大きく、サービスも住み心地も良い。国内でかなり事足りてしまうため、若者の海外志向も低下している。などの内容については他の書評に譲る。
影薄くなってるよニッポン〜『パラダイス鎖国』

 個人的な感想としては、内容をもう少し絞っても良かったと思う。読後、「パラダイス鎖国」というキャッチーなフレーズの意味合いは、確かに頭に入った。しかし内容が、日本の貿易収支から経済の方向性についてなど多岐にわたるため、一つ一つの議論が詰め切れていない。
このことが、今一つ納得感が持てなかったという読後の感想につながっている。説明が足りないというか。

 梅田望夫氏の解説にもある通り、著者は表現が難しい状況に対してキャッチーなフレーズを作り出すのがうまい。だからこそ、一つ一つの言葉にしっかり説明をし、肉付けをして血を通わせてほしいと思った。★3つ。

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感想メモ: 科学と方法

科学と方法—改訳 (岩波文庫 青 902-2)
科学と方法—改訳 (岩波文庫 青 902-2)
  • 発売元: 岩波書店
  • 価格: ¥ 798
  • 発売日: 1953/10

★★★☆☆

  1955年出版だけあって装丁も仮名遣いも超シブい。アイデアのつくり方からの孫引きで読んだのだが、著名な数学者であるポアンカレもアイデアのつくり方と共通することを述べているのを確認した。

 すなわち、数学のアイデアであっても、考え抜いて煮詰まった後に気分転換で別のことをしているふとした拍子に(コーヒーを飲み過ぎて寝れなくてウトウトしてたとき、旅行先で馬車に乗るときに踏み台に足を乗せたとき、通りを横切っているとき)突然アイデアがひらめくという経験をしているということだ。これをポアンカレは、「無意識の活動」の重要性として説明している。

 ぶっちゃけ他の部分はとっつきにくそうだったので流した。

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感想メモ: 頭をよくする私の方法

頭をよくする私の方法—人の何倍も「頭」と「心」をつかいこなす秘訣
頭をよくする私の方法—人の何倍も「頭」と「心」をつかいこなす秘訣
  • 発売元: 三笠書房
  • 発売日: 2001/11

★★★☆☆

 地球惑星物理学者で東大名誉教授で、300冊もの著作を持つ著者の、生活や勉強方法の紹介。

 原稿は読み上げから文字に起こし、原稿用紙3枚程度のパーツを100本ほど組み合わせて本に仕上げているとのこと。なので、一貫したテーマがあって練り上げられた本というのではなく、様々なパーツ(アイデア)がちりばめられているという感じ。ちなみに4章の「新鮮なアイデアを生み出す法」は、「アイデアのつくり方」「アイデアのヒント」と共通する部分がとても多い。それもそのはず、確か「アイデアのつくり方」の解説を書いていたと思う。

 読み込む本というより、気になった部分をピックアップして試してみるのが良いという本。しかし個人的にはあんまり試してみようと思うところがなかったので★3つ。

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感想メモ:アフォーダンス入門——知性はどこに生まれるか

★★★☆☆

 「地面」という単語は物質名ではない。その上に立ったり、物を支えることができる機能を持つ物体や場所を、こう称している。

 このような考え方を一歩進め、主体を「我々」ではなく「物」に置き、「物」がそういった様々な用途を持つ(アフォーダンスがある)、という考え方をするのがアフォーダンスという概念の特徴だ。この考え方のポイントは、「意味」は我々が作り出しているのではなく、物に属すると捉えていることである。我々は見つけ出すだけでいいのだ。

 私がここから連想したことがいくつかある。一つは、「アイデアのヒント」における、「アイデアはそこにたくさんあり、見つけられるのを待っている」という考え方だ。アフォーダンスの考え方に当てはめれば、我々の身の回りの全てのものは、アイデアのアフォーダンスに満ちているということになる。我々は見つけるだけでいいのだ。
(参考:感想メモ:アイデアのヒント (うむらうす)

 もう一つは、UIは触れる人が誰でも同じ「意味」を見出せるようなものが、本来のUIなのだろうということだ。説明書を見なくても、どこをどうするのか直感的にわかる。これがUIの理想だろう。


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