「本」カテゴリーアーカイブ

感想メモ:借金の底なし沼で知ったお金の味

借金の底なし沼で知ったお金の味 25歳フリーター、借金1億2千万円、利息24%からの生還記
借金の底なし沼で知ったお金の味 25歳フリーター、借金1億2千万円、利息24%からの生還記
  • 発売元: 大和書房
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2009/02/05

★★★★★

ネットビジネスやマーケティングの本を多数出している金森重樹氏が、
自身のお金の哲学について語っている。

金森氏の本はかなり厳しい言葉が多いのだが、その理由がわかった気がする。
本人のお金にまつわる経験がハンパではないのだ。

彼は25歳で5000万の借金を抱え、それはふくらみ続け、総額1億を超えることになる。
そしてここからがすごいのだが、彼は10年かけて、自力でこの借金を返済したのだ。

これがどれだけ大変なことかは経験した本人にしかわからないだろうが、
そんな環境で苦労をしてきた人だから、
ぬるい人たちを見るといらだたしいのだろう。

僕は、普通の人だったら首を吊って死んでしまうような事態に何度か遭ってきています。ですが、平気の平ちゃんでやり過ごしてきています。

こんなことが言える強さを、一体どれだけの人が持ち合わせているだろう。
「谷深ければ、山高し」と言われてしまうと、
一度どん底に落ちることが必要条件になってしまう。
他の道もあると信じたいところだ。

他には、彼が借金を返済する過程で身につけた、
不動産やマーケティングなどについての考察の一部が紹介されている。
こういった部分もとてもおもしろい。

担保なしにこれだけの借金を背負う人は少ないだろうが、
そういった世界の一部も垣間見れる。
さまざまな意味で、おもしろい本。
オススメ。★5つ。

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:華僑 大資産家の成功法則

華僑 大資産家の成功法則 お金がなくても夢をかなえられる8つの教え
華僑 大資産家の成功法則 お金がなくても夢をかなえられる8つの教え
  • 発売元: 実業之日本社
  • スタジオ: 実業之日本社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2005/05/14

★★★★★

前半は、留学先の中国で、華僑の成功者に出会い、
ビジネスに関するアドバイスを受けるお話。
後半は、帰国後実際にビジネスを立ち上げ、
何度となくトラブルに遭いながらも進んでいくというお話。

こう書くと、よくある形式で特に目新しいものではないのだが、
なぜかとてもおもしろく読み進めることができた。
理由を考えてみたところ、こんなことかと思う。

  • 「華僑の教え」でありながら、内容は他の成功法則と重なる部分が多い
  • つまり、今までに読んできたビジネス本と重なる内容が多く、良いおさらいになった
  • 後半の起業の話では、現実に起きたトラブル事例と、その際に考えたことや対応が描かれている

内容が他の成功法則と重なる部分が多いというのは、
例えば以下のような内容。

「理想とする人だったらどう振る舞うか考える」
「成功したければ目の前の仕事に感謝すること」

これらは福島氏や喜多川氏の話と重なるし、

「信頼」が重要

という内容は、中村天風氏や西田文郎氏の話と重なる。

まぁ、ビジネスの成功に関する本は数多く出ているので、
画期的な新しい理論というのはなかなか出てきにくい。
なので、昔から語られている内容を、表現方法や注目する部分を変えることで
独自性を出しているというのが、私がビジネス本に感じる印象である。

だから、数を読んでいると、だいたい共通する部分がわかってくる。
それが大事なのかなと思う。

以下、いいこと言った!と思いメモした部分。

  • 『必要』そのものは、状況に応じて絶えず変化している。しかし、それらがなくなったためしはない。成功者は、この変化に敏感なんだ。(中略)変化に気付いただけではビジネスにはならない。重要なのは、『必要』とされるものが何か、に気づくことだ。
  • もし、君が会社を作るなら絶対的に市場に『必要』とされるもの、それも欲しい人が売りたい人よりも圧倒的に多い市場に参加するように心がけるんだ。
  • 自分で信じたことをやって失敗しても後悔はしない。むしろ、それをやらなかったときに後悔するんだ。成功を信じていないのにやった場合も後悔する。だから、自分の心の声に耳を傾けることがとても大事なんだ。
  • 高い価値観を持った人たちは、君が失敗したそのときにこそ、本当の君を見ようとする。だから失敗したときにこそ、信頼できる人を増やせる重要なタイミングだといえるんだ。
  • 信頼してくれる人の数は、君たちがまじめに努力し続けるかぎり確実に増え続けるものだ。
  • 自分が思い描く、理想の人を自分の中に作り出し、その人だったらこんなときどうするだろうと、自問自答する習慣を作り出すことだ。その理想の人こそ、目ざすべき本当の自分ということになる。
  • 岐路に立たされたら良く考え、よく調べて十分に納得し、自分自身できちんと決定することが重要なんだ。(中略)ひとたび決定したあとは、もうどんなに悩んでもさほど意味はない。悩むべきは決定する直前まで、ということになる。
  • 失敗には一定の法則がある。それは問題を人のせいにする習慣だ。

いっぱいメモしてしまった。
ということは、それだけおもしろかったということ。

一方惜しいのは、個別のエピソードを整理した形式だが、
章のタイトルと合わない内容も多々あること、
時系列が逆だろうとはっきりわかる部分があること。
もう少し整理されるとよりスッキリしたと思う。
良著。★4つ。

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:サービスの達人たち

★★☆☆☆

車のセールスからキャバレーやゲイバーのホステス、そして電報の配達員や靴磨き。
さまざまなサービスに携わる人々の話。

ゲイのドンと言われる人の話とオードリー・ヘップバーンをもうならせた
靴磨きの話は、かなり興味深く読めた。
しかし私は文章と相性が悪いのか、他の話は読みにくかった。
素材はおもしろいと思うのだが。残念。★2つ。

職業についての話としては、
「調理場という戦場」がおもしろかったのでオススメ。

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:探究する力

探究する力
探究する力
  • 発売元: 知の探究社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2009/02/15

★★★★☆

TCS(Tokyo Community School:http://tokyocs.org/)のお話。
学校の勉強は、やらされている感があった。
まぁ、実際にやらされている訳なのだが。
しかしやらされていない、自分の興味でする勉強は、実は楽しい。
この感覚に近いほど楽しくなるのだろう。

TCSは、「探求型」の学習を行う全日制の小学校。
では「探求型」とは何ぞやということだが、
知識詰め込み型の受け身の学習ではなく、
フィールドワークを多用し、生徒達がテーマに沿って自発的に
行動を起こしていく、というもの。

みずみずしい体験を伴った学習であるため、座学の知識とは深さが違う。
その分時間もかかるのだろうが、体験した記憶は容易に消えないので、
長い目で見るとずっと良いコストパフォーマンスなのだと思う。

本の前半は探求型学習の実例紹介、後半は現在の探求型学習に至るまでの
道のりと考え方の紹介となっている。
前半で紹介されている、子供たちのイキイキとした姿がとても印象的だ。

TCSでの学習は、「知りたい」「わかりたい」という内的な欲求を
伴う学習であり、学習の理想の形にかなり近いように思う。
おもしろかった。★4つ。

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:心の動きが手にとるようにわかるNLP理論

心の動きが手にとるようにわかるNLP理論 (アスカビジネス)
心の動きが手にとるようにわかるNLP理論 (アスカビジネス)
  • 発売元: 明日香出版社
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2003/10/31

★★★☆☆

他人がどう世界を理解しているかわかったら、
余計な摩擦や衝突も減るし、うれしいだろう。
自分がどう世界を理解しているかわかったら、悩みややる気をコントロールできて、
これまたうれしいだろう。

NLP理論とは、簡単にいうと上のようなものだと理解した。
同じ出来事であっても、認識の仕方が違えば全く別の経験となる。
この認識の仕方をパターン化し、自分や他人がどのパターンかに応じて
効果的なやり方を選択しよう、ということのようだ。

なんだか漠然とした感じだが、説明されている対象範囲もかなり広い。

例えば、

  • 目標設定
  • モチベーションアップ
  • 信頼関係をつくる
  • 説得・交渉
  • 苦手の克服
  • 時間管理
  • チームワークを強める

などなど。キーワードは以下の通り。

  • ラポール
  • バックトラッキング
  • リフレーム
  • チャンキング
  • エコロジーチェック
  • フィードバック
  • GEOモデル

いいこと言った!と思ったのは以下の部分。

  • 経験は五感を通してつくれれ、記憶されるのです。
  • これらをNLPでは「代表システム」と呼び、視覚・聴覚・体感覚(味覚・嗅覚・触覚)として扱います。
  • しかし認識が変わると、失敗した当時は消してしまいたいような経験であっても、楽しい経験として蘇らせることができるのです。
  • 「そして」「それでね」「それから」とつなげることで、未来へと話を向けることができます。
  • 尻込みしている自分に、目標を達成したところにいる自分から、サポートするように力づける呼びかけをします。

つまるところ、心理学的なノウハウ集の本と読んだ。
様々な利用法が紹介されているツールなので、汎用性は高い。
人間関係の向上に役立てるもよし、自分の性格を理解して
モチベーション管理に役立てるもよし。

上のキーワードは、下に挙げる他の本でも出てくるので、
どれか興味が湧く本を読めばよいかも。★3つ。

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:人生の教科書「人間関係」

人生の教科書「人間関係」 (ちくま文庫)
人生の教科書「人間関係」 (ちくま文庫)
  • 発売元: 筑摩書房
  • 価格: ¥ 609
  • 発売日: 2007/04

★★★★☆

「カネ、モノが豊か」な状態というのは、わかる。
それでは、「人が豊か」というのはどういう状況なのだろうか。

「必要なとこいつでも他人のチカラを調達できること」。
そのための人間関係、すなわち「自分ネットワーク」が
豊かであること、と著者は言う。

こう聞くと、目的のために利用するための人間関係、
というように聞こえるが、そうではないようだ。
お互いにチカラを引き出しあう豊かな人間関係、
とのことである。

その秘訣は、出会いに「!」、つまり小さな感動を盛り込むこと・・・

著者は「つなげる力」の藤原氏。
リクルートから公立中学の校長へ赴任し、
次々と新しい試みを行っている注目の人だ。

内容は、その著者が語る人間関係のノウハウ集。
相手の興味を引くには?聞き上手になるには?
初対面の人と打ち解けるには?などなど。

そのコツは、5つにまとめられている。

  1. 人間に関心を持つ
  2. 強みだけでなく、弱みでもつながること
  3. 組み合わせる力が縁を倍加する
  4. 知恵を借りる姿勢をくずさない
  5. 相手の言葉で語る技術

なんとなくは感じていることだが、
文字としてまとめられていると認識が深まった。

以下、いいこと言った!と思った部分。

  • 感動の”!”は、質問の”?”から始まる。
  • 衝突があるから人間関係はおもしろい。
  • まずは、大きくうなずいてください。身を乗り出して聞いてください。
  • 相手と自分共通点を探してリンクを張りましょう。
  • 努力しても距離が縮まらない人と無理につきあう必要はありません。
  • 「たとえ話」がうまくなると、会話が一段と弾みます。
  • 身近な体験を盛り込んでください。テレビや雑誌で見聞きしたことではないあなた自身の体験談を。
  • 子どものころの話を聞いてみてください。
  • 面白い話は圧倒的に体験談。つまらない話をする人は「べき論」「評論」「一般論」ですね。
  • 他者から与えられた信用と共感が大きい人がリスペクトされます。

人間関係は誰しもに関係する大事なこと。
文庫本でサラッと読めるので、持ち歩いて時間が空いたときに
読んでおくとよいでしょう。★4つ。

藤原氏の本では、「つなげる力」がおもしろい。
ちょっと触れた、公立高校での試みの話などが書かれている。
こちらもぜひ読むべき。

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:大きなケーキは人にゆずろう

大きなケーキは人にゆずろう―お金持ちになるための“母の教訓”
大きなケーキは人にゆずろう―お金持ちになるための“母の教訓”
  • 発売元: ソニーマガジンズ
  • 発売日: 2003/10

★★★★☆

 タイトルと目次からは、チーズがなくなったりバターが溶けたり
するような話かと思ったが、良い意味で裏切られた。

 著者はニューヨークNO.1の不動産仲介会社コーコラングループの創設者、
バーバラ・コーコラン。
特別なコネや有力なバックがあるわけでもない著者が、
ここまで事業を大きく成功させた秘訣は何なのだろうか。

 本としては、それは子供十人の家庭を切り盛りする
母からの教えの数々、ということになる。
しかし素直ではない私は、逆にビジネスのノウハウを
家庭のエピソードにつなげて紹介したものと読んだ。
まあどっちでもよいのだが。

 仕事を始めて、家事との共通点に気付く人は少なくないだろう。
つまるところ、複数の人が協力して、
物事を回していくという根本は同じだからだ。

 家庭環境がその人に与える影響は大きいよね。
という安っぽいまとめでいいでしょうか。

以下、いいこと言った!と思った部分。

  • 人はたいてい、心で決めて頭で正当化するものだ。だからこそ、わたしたちが提案して”まずはサインして、あとで考えて”という作戦を容易に受け入れられたのだ。
  • マーケティングにかんするかぎり、いちばんのチャンスはいつも人けのない場所に転がっていた。
  • なぜならいいアイデアがないからではなく、失敗を恐れているからだ。

一人の女性がゼロから頂点を極めるまでを綴る
サクセスストーリーとしても読めるし、
彼女の経営やマネージメント、人事や採用、営業などの
考え方について学ぶ本としても読める。

タイトルから受ける印象とはちょいと異なり、
実用的なノウハウ本という印象だった。
仕事をする女性に特にオススメかもしれない。★4つ。

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:調理場という戦場

調理場という戦場―「コート・ドール」斉須政雄の仕事論 (幻冬舎文庫)
調理場という戦場―「コート・ドール」斉須政雄の仕事論 (幻冬舎文庫)
  • 発売元: 幻冬舎
  • 価格: ¥ 630
  • 発売日: 2006/04

★★★★☆

「フランスのレストランで修行をし、帰国後自分の店を構えた」
言葉にすればそれほど珍しい話ではない。
しかしその中身は、激しく濃厚な経験の日々である。

 著者はコート・ドールのシェフ斉須政雄氏。
23歳のときに、言葉もろくにわからない状態で
フランスに渡りお店に入る。
言葉も文化も作法も異なる異国での奮闘の日々。
読んでいるだけでも短期間で非常に多くの
血肉となる経験をしているのがわかる。

  • 大切なのは、簡潔であり、清潔であり、人間性があるということです。
  • 「整理整頓がなされていることは、仕事がきちんとなかれるための基本なのだ」ということが、このお店に来てよくわかった。乱雑な厨房からは、乱雑な料理しか生まれない。大声でわめきたてる厨房からは、端正な料理は生まれない。
  • そしてその「好きだから」という考え方で行動すれば、当たり前の日常で、みんなが楽しくやれるんだなぁということも、ほんとうによくわかりました。
  • だからこそ、毎日試していないといけないなぁと思っています。
  • 生き方は才能が発芽するためのバリアのようなものでしょう。

 後半は、斉須氏の料理人としての仕事観のようなものにも触れられる。
読むと、他の仕事との共通点、違いがわかる。
一生料理人としては働かない気がするので、
その職業の人の考え方を学ぶことができるのはおもしろい。

 料理人という職業も、クリエイティブさが求められる仕事だという意味では
他の仕事と同じだし、掃除や整理整頓が基本であること、
一人ですべてができるわけはないので、チームワークが必要とされることも同じだ。
そんなひとつひとつの事柄に対し、斉須氏の考え方が述べられている。

 人の人生を追体験できるのが、本の醍醐味だと思う。
おもしろかった。★4つ。

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:プロ野球の一流たち

プロ野球の一流たち (講談社現代新書 1941)
プロ野球の一流たち (講談社現代新書 1941)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 798
  • 発売日: 2008/05/20

★★★☆☆

 野村克也、中西太、大野豊、古田敦也、東尾修、渡辺俊介、山崎武司、工藤公康。
そうそうたる顔ぶれに対するインタビューが可能なのは、
著者の野球界での知名度の為せる技なのだろう。

 各人が語る内容は深く、また互いに異なる部分が多いことも興味深い。
しかし私が最も強く感じたことは、やはり野村の野球に対する洞察の深さなのだった。

 野球好きなら、おもしろく読める部分が多いのでは。★3つ。

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru

感想メモ:ほぼ日刊イトイ新聞の本

ほぼ日刊イトイ新聞の本
ほぼ日刊イトイ新聞の本
  • 発売元: 講談社
  • 発売日: 2001/04/26

★★★★☆

 糸井重里が「ほぼ日刊イトイ新聞」について、2001年の時点で書いた本。

 好きなことを始めたい、続けたい、という人にはとても参考になるのではないか。
もちろん糸井重里の人脈なんかマネできないだろうが、
心の持ちようはマネできるし、するべき。
特に、過去の自分の考えを、ためらわずに捨てる勇気と柔軟性はぜひ見習いたい。

 順調に発展を遂げているように見えるが、お金が回るようにするという部分では、
相当苦労したようだ。こういった経験を追体験できるとは、
本とはとてもありがたいものだ。

 他に心に残った部分は以下の通り。

  • 「できるまでやめなければ、できる」
  • 誰が言っても同じことはできるだけ避ける
  • わからないことはわからないまま書く
  • あまりにもつまらんと思ったら、もうひとつ書く

 この本を読むと、サイトの「イトイ新聞」を見る目も多少変わりそうだ。
続編が出るなら読みたい。★4つ。

関連:


その他の書評などはこちら。
Socialtunes – haru