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感想メモ:つなげる力

つなげる力
つなげる力
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 1,500
  • 発売日: 2008/09/10

★★★★★

・リクルートから中学校の校長になった著者の「つなげる」試みの数々

1.教職を目指す学生ボランティアと放課後や土曜の生徒をつなげる
→ボランティアは現場での継続的な経験が得られる
→学校側はコストを抑えて生徒の成績向上が得られる
→生徒もお兄さんお姉さんと一緒に勉強ができ、成績も上がる

コストを最小限に抑え、かつ全員が満足する仕組みが作られている。

2.学校と学習塾をつなげる

サピックスの教員を平日の夜や土曜に招き、高額な学習塾に通う以外の方法(半額以下)で、
トップ校を目指す機会を生徒に提供する。
→学校でカバー不足になりがちな、できる子のケアの仕組み
→学習塾にも顧客創出機会のメリット

リクルートでも数々の成果を残してきた、優秀なビジネスマンである著者。
こういった人が校長をすると、これだけのことができるのかと非常に感心させられた。

この本を読んで感じたのは以下のことである。

  • 「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ」であることの確認(参考:アイデアのつくり方
  • ただし、新しいアイデアを形にするには、必ず発生する数々の障害をクリアし、現実に回っていく仕組みを考え、実現する能力が必要
  • 「人は、あなたとつながりたいと思うときに動き、そう思わないときには本気では動かない」

本の作りもすばらしい。章毎のまとめの図もわかりやすい。
最終章は学校以外の試みについて書かれているが、
こちらも仕事の進め方としてみると非常に参考になる。

学校改革のストーリーとしても楽しめる他、学ぶべき点も非常に多い。
読み手次第でさまざまな刺激が得られるだろう。

文句なしにオススメの良著。★5つ。

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感想メモ:ちょっとアホ!理論

ちょっとアホ!理論 倒産寸前だったのに超V字回復できちゃった!
ちょっとアホ!理論 倒産寸前だったのに超V字回復できちゃった!
  • 発売元: 現代書林
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2006/05/30

★★★★☆

 同じアホなら?

 業績悪化。様々な対策を試し、どれも効かない。倒産の危機。モチベーションの低下。ストレスによる重度の胃潰瘍。

 古着屋の社長である著者が、そんなギリギリの逆境でたどり着いた答えが、
 「アホになる」
 ということだった。

 別に仕事を全部おちゃらけてやる、ということではない。
お客様、社員、自分。皆が「楽しいか」を判断基準とするという
価値観の転換だった。

 「楽しんでもらう」「喜んでもらう」という視点は、商売の基本である。
いかに楽しんでもらうかを考え抜いた末に、アイデアが生まれる。
そのアイデアを、熱意を持ってやり切る。
そこに、ここまでやるか!?という感動が生まれる。
そこに、人が集まる。

 カリスマ的な社長の元で「ちょっとアホ!」な集団として一丸となった結果、
業績は見事なV字回復を見せ、以来好調を続けているとのこと。

 
 ここで描かれている話を毛嫌いする人は、一定割合いるだろう(Amazonの書評を見ればわかる)。
いわゆるビジネスライクな世界とは相容れないからだ。
しかし、だからといってそれが価値がないことにはならない。
個人が心の中で「熱くなれる楽しさ」を求めて暮らすことに、
何の問題があるだろうか?

 「ABC」(あたりまえのことをバカになってちゃんとやる)の実例なのかもしれない。★4つ。

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感想メモ:レバレッジ・リーディング

レバレッジ・リーディング
レバレッジ・リーディング
  • 発売元: 東洋経済新報社
  • 価格: ¥ 1,523
  • 発売日: 2006/12/01

★★★★☆

 「レバレッジ」シリーズの本田直之氏が、「ビジネスに役立つ読書のやり方」について説明している本。

 彼が勧めるのは「多読」であり「速読とは違う」としながらも、フォトリーディングと重なる部分は多かった。結局のところ「全部精読しない」ということなのだ。してたら数は読めない。

 「カラーバス効果」は、テーマを持って読むことで内容が頭に残りやすくなるということで、フォトリーディングの予習にあたる。これは潜在意識への刷り込みなのだろう。

 「読んだままにしない」というアウトプット重視の姿勢も、記憶の強化という面からも納得できる。私がこういう形で書評を書いているのは、そういう意味である。

 他にも、別の読書本で読んだ内容が見られるが(トピックまとめ読み、多読、ためらわず買う、読書は格安の自己投資)、それだけ多くの人が認める確かなことなのだろう。オススメのビジネス書なども紹介されていて、読んで損はない良い本。★4つ。

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感想メモ:予想どおりに不合理

予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
  • 発売元: 早川書房
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2008/11/21

★★★★☆

 行動経済学の本

 一般の経済学が「人は全ての状況を考慮して理性的に最適な経済行動を取る」と仮定しているのに対し、行動経済学は「そんなわけない。人はそんなに理性的じゃない。もっとテキトー」という前提に立つ。

 タイトルの「予想通りに不合理」は、人間は理性的じゃない=不合理な行動を取ること、その不合理さはランダムなのではなく、心理にもとづきある傾向を持っている、という意味である。

 この本では以下のような内容が紹介されている。

  • アンカー効果
     比較できるおとり(とても高いもの)を置くと、次に高いものがよく売れる
     どんな数字でも値付けのアンカーになる(保険証番号でも!)
  • 無料の力
     1円と無料には大きな隔たり。人は無料のものに対して理性的な判断ができない
  • 社会規範と市場規範
     報酬が支払われると、途端にやる気が減る(市場規範)
     プレゼントでは市場規範にはならない。お金は意味が違う
     「100円のお菓子」だと市場規範になる
     お金のことを口にしたり考えたりするだけで市場規範に!
  • 予測の効果
       おいしそうだと予測すると、やはりおいしく感じる
       まずそうだと予測すると、やはりまずく感じる

 行動経済学の本を読んだことがあれば、似たような話を見たことがあると感じるだろう。例えば「セイラー教授の行動経済学入門」など。こういった本を読んだことがある人には★4つ。ない人には★5つ。

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感想メモ:仕事が夢と感動であふれる5つの物語

仕事が夢と感動であふれる5つの物語 (講演CD付)
仕事が夢と感動であふれる5つの物語 (講演CD付)
  • 発売元: きこ書房
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2008/10/31

★★★★★

 本当の失敗とは、自分があきらめたときだけ

 「どんな仕事も楽しくなる3つの物語」の続編で、流れる雰囲気は同じ。逆境にあってもあきらめなかったことで、感動的な結果に繋がった物語5つの紹介と、「夢の力」についての説明。

 心に残ったのは以下の部分。

  • わかってくれない人はいない。わかってくれる前に、努力をやめてしまう人がいるだけ
  • あきらめない限り夢は実現する。本当の失敗とは、自分があきらめたときだけ
  • 自分の夢にするためには「あきらめない理由」を見つけ出すことが必要
  • あきらめない理由がある夢は必ず実現することができる
  • あきらめない理由の見つけ方
     1.自分の過去の体験
     2.自分が問題意識を感じたこと
     3.自分が大切にしたいと思っていること
  • できるかどうかを考えず、自分の感性を信じることが大切

 「失敗とは自分があきらめたときだけ」という言葉に衝撃を受けた。確かにその通り。本当に限界まで続けたことなど、あるだろうか。自分に言い訳をつけて、自分からやめただけだったのではないだろうか。

 ちなみにこの本は講演のCDが付いている。同じ内容でも、声で聞くとまた印象が違うのがおもしろい。かなりの数の講演をこなしているだけあり、話もとてもうまい。CD付きで1500円は安いと思う。

 今後の自分の行動にも影響を与える本である気がする。オススメ。★5つ。

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感想メモ:どんな仕事も楽しくなる3つの物語

どんな仕事も楽しくなる3つの物語
どんな仕事も楽しくなる3つの物語
  • 発売元: きこ書房
  • 価格: ¥ 1,050
  • 発売日: 2008/03/28

★★★★★

 仕事でも勉強でも、いつも楽しくできるわけではない。ではどうすれば楽しくできるのだろうか?結局それは自分の考え方次第なのだ、と著者は語る。

  • 面白い仕事も、つまらない仕事もない
  • そこに関わる人が、面白いものにしたり、つまらないものにしたりしているだけ
  • 今、自分が関わっている仕事の面白さは、自分の仕事に対する考え方によって決まる

 そして「仕事が感動に変わる5つの心構え」として以下のものを挙げている。

  1. 仕事の意味を考える
     ・・・自分で仕事の意味を付け加える
  2. ものごとを前向きに受け止める
     ・・・チャンスにできない出来事はない。しなかった人がいるだけ
  3. 自己原因で考える
     ・・・他人や環境は思い通りにならない。不満を作り出しているのは自分自身
  4. 自分の可能性を信じて、自分らしくやる
     ・・・「こだわり」が個性。「こだわる」ことで自分らしい価値を社会に提供できる
  5. 目指すことを、あきらめない
     ・・・あきらめる理由を探さず、「あきらめない」と決意しておく

 最後に、当たり前のことにも感動があり、それを見つけ出すことが生きる喜びに繋がると語っている。

 元気がないときに、やる気を取り戻すことができる本。オススメ。★5つ。

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感想メモ:キミが働く理由

キミが働く理由
キミが働く理由
  • 発売元: 中経出版
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2009/02/28

★★★★☆

 あきらめない限り、人生には成功しかない

 夢、働く意味、生きる意味を語る、福島氏の著作。働く理由をみつけるヒントとなる、25のメッセージから成る。

 著者の本は、どれも前向きなメッセージで溢れていて、読むと元気づけらレるものが多いが、この本も例外ではない。著者自身が若い頃に働く理由をみつけられずに苦しんだことが、人生の意味や夢を語るという現在の仕事に結びついているとのこと。

 印象に残ったのは以下の部分。

  • やると決めたら、どう実現できるかを考えればいい
  • やると決め、できるまでやめなければ、できる
  • あきらめた瞬間が終わり。あきらめない限り、人生には成功しかない
  • 仕事は意義、目的を忘れるとすぐにつまらなくなる
  • 何のために生き、働くのか、思い出す習慣を付ける
  • 社会、お客様とのつながりに、とても大切な意味がある
  • 世界のため、他人のため。働く目的を毎日繰り返し思い出すのが自己管理
  • 人を励ますと自分も元気になる。自分が元気でないと人を励ませない
  • 批判は感謝に勝てない。感謝は支持者を増やす
  • プラス受信:チャンスを見いだす
  • 面白くしようと思えばどんな仕事も面白くできる
  • 何をしてもらえるかではなく、自分がどうできるかを考える
  • 自分に期待する。周囲には期待せず、信頼する

 最後に著者の挙げる3つの指針を紹介する。

  1. あきらめない
  2. 失敗を糧にする
  3. 自分ができることから行動する

 誰しも、読むと何かしらのメッセージを受け取ることができると思う。
どうせなら日々を前向きに生きたいものだが、それは決して簡単なことではない。
この本では、そのヒントを与えられたと思う。

斜に構えた人は耐えられない前向きさかもしれないが、素直に読むべし。
オススメ。★5つ。

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感想メモ:日本でいちばん大切にしたい会社

日本でいちばん大切にしたい会社
日本でいちばん大切にしたい会社
  • 発売元: あさ出版
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2008/03/21

★★★★★

 「この会社を大切にしたい」確かにそう思わせる会社が紹介されている本

 社員の7割が障害者の日本理化学工業、48年増収増益を続けた寒天メーカーの伊那食品工業、義肢メーカーの日本ブレイス、地域に生きるお菓子メーカー柳月、全国からお客様がやってくる家族経営の杉山フルーツ。どの会社にも共通することは、お客様だけを見ているのではないということ。そのことを、著者は「五人に対する使命と責任」という言葉で表現している。

 五人とは1.社員とその家族、2.外注先・下請け企業の社員、3.顧客、4.地域社会、5.株主である。中でも、上に挙げた会社に共通しているのは、顧客だけでなくまず社員を大事にしていること、だからこと社員がその会社で働いていることに感謝と誇りを持っていることである。このことこそが、これらの会社を業績面でも光らせていることなのだろう。

 しかしそれが、難しい。周りを見回してみて、社員が感謝と誇りを持ってイキイキと働いている会社がいくつ思い浮かぶだろうか。残念ながらそのような会社は多くないというのが現状だろう。

 どの会社の紹介も感動的な話が多いのだが、それだけでなく働くということについても考えさせられる本。万人にオススメできる良著。★5つ。

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感想メモ:決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法

決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)
決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)
  • 発売元: 朝日新聞社
  • 価格: ¥ 756
  • 発売日: 2007/05/11

★★★★★

 なんとなく会計を勉強したい、という人にとてもオススメできる本。私が読んだ「わかりやすい会計の本」の中では最も良い。その理由は、B/S、P/L、CSを「つながり」を持って説明していることにある。

 事業の流れとしては、「お金を集め」「何かに投資し」「利益を上げる」という3つがある。これがそれぞれ「B/Sの右側」「B/Sの左側」「P/L」との「つながり」がある。「B/Sの右でお金の集め」「B/Sの左で投資し」「P/Lで利益を出す」と考えれば、とてもスッキリする。

 またこの3つが、CSの「財務CF」「投資CF」「営業CF」との「つながり」もある。そしてP/Lの「当期純利益」がB/S右下の「繰越利益余剰金」に現れるという「つながり」もある。お金を集めるには「借りる」「資本を入れてもらう」他に「自分で稼ぐ」という手があるからだ。そしてこの「繰越利益剰余金」は新しい資産としてB/S左側に現れる。

 これらの基本を説明した後に、それを踏まえて架空の事業で財務3表がどう動くかをシミュレートする。この実践例を全てこなしたら、かなり身になるだろう。知識は、意味と関連性を考えることで定着しやすくなるという良い例。

 全ての社会人にオススメ。★5つ。


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感想メモ:財務を制するものは企業を制す

財務を制するものは企業を制す (PHP文庫 イ 6-1)
財務を制するものは企業を制す (PHP文庫 イ 6-1)
  • 発売元: PHP研究所
  • 発売日: 1986/06

★★★☆☆

 元銀行マンの著者が、数々の起業の財務改善に携わった経験と、財務改善に必要とされる心構えを説いている。

 財務改善では、支出を抑えることが必要不可欠である。支出を抑えるというと、どうも「守り」のイメージが強いが、ここで語られる支出の抑制は、知恵を出し尽くすことによる「攻め」のコストの削減であり、それは「意欲型」の財務管理者であると著者は説く。

 1986年の本ではあるが、サブプライム以降の金融危機で破綻する企業が多い今であるからこそ、目を通して損はないと思われる。ただし最も本書を必要とするのは、経営や財務に直接携わる人間だろう。そういう人には★4つ、普通の人には★3つ。


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