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感想メモ:環境問題はなぜウソがまかり通るのか

環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks)
環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks)
  • 著者: 武田 邦彦
  • 発売元: 洋泉社
  • 価格: ¥ 1,000
  • 発売日: 2007/02

★★★★☆

リサイクル、環境ホルモン、地球温暖化。
これらについて、一般的に信じられていることが実はウソ!
というショッキングなことが書かれている。著者は武田邦彦教授。

リサイクル

リサイクルで最も身近なものであろう、
ペットボトルのリサイクルについて、
次のようなことが書かれている。

我々がせっせと、やれ「燃えるごみ」だの「燃えないごみ」だのと言って
一生懸命分別しているが、回収される量は10分の1、再利用される量は
実に100分の1程度にすぎないのが実態だ。

この数字には異論がある。
ちょっと調べてみたところ、私はこちらの話が一番確からしいと感じた。
元東大教授、国連大学副学長の安井氏のサイト。
最新ペットボトルのリサイクル 市民のための環境学ガイド

しかし、いずれにしてもリサイクルで14.3万トンが国内で製品になっているが、
これを「リサイクルされたのが3万トン」と表現するのは、いかにもひどい曲解。
この3万トンが、協議会から「捏造」だとされている数値。

最新ペットボトルのリサイクル 市民のための環境学ガイド

結論としては、ペットボトルのリサイクルは、
化石燃料の節約という意味でやる意味は十分ある、
というもの。

リサイクル全般についても、安井氏のサイトの文章がとてもためになるので、
興味がある人は一読されたい。
リサイクルを見る視点 その1
リサイクルを見る視点 その2
リサイクルを見る視点 その3

環境ホルモン

環境ホルモンに関しては、どうも騒がれたほどの影響は認められない、
という結論であるようだ。
同じ安井氏のサイトでも同じ結論になっている。
環境ホルモン終焉決定的
あれだけ騒いで、本当になんだったのだろう??

ということで、環境問題について一般的に信じられている話が
正しくなかったりする、という気づきが得られた。
ただし、内容の正確性については疑問があることに注意。
それを踏まえて読むとして、オススメ度は★4つです。

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感想メモ:ブルー・オーシャン戦略

ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する (Harvard business school press)
ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する (Harvard business school press)
  • 著者: W・チャン・キム , レネ・モボルニュ
  • 発売元: ランダムハウス講談社
  • 価格: ¥ 1,995
  • 発売日: 2005/06/21

★★★☆☆

今更ながら読んでみた。
ブルー・オーシャン戦略そのものについては、
様々なところで論じられている有名な話なので、
ここでは特に触れない。
あの折れ線グラフみたいなのを思い浮かべられれば十分だろう。

さて。
私が読む前から気になっていた疑問は、
「ブルー・オーシャンといっても、
結局後発の模倣は防げないんじゃないの?」

ということだった。

いくら革新的なものだって、
後から出てくるものは可能な限りマネする。
iPhoneやiPadを見ればわかるでしょう?

で、その答えになりそうな部分をピックアップしてみる。

  • 従来の戦略論をもとに考えたのでは、バリュー・イノベーションは理解できない。
  • 他社のブランド・イメージとは相容れない可能性がある。
  • 自然独占によって、2社めの参入が成り立たない場合が少なくない。
  • 特許や法規制が模倣を防ぐ例がある。
  • 規模の拡大を通してコスト優位性を築き、模倣者の参入意欲をくじく。
  • ネットワークの外部性が模倣を阻む。
  • 模倣の実践には、業務オペレーション、社風、社内政治のあり方などを大幅に改める必要がある。
  • ブランド人気が沸騰して顧客から高いロイヤルティを得るため、他社は模倣しづらくなる。

特許であったり、規模やコストの優位性であったり、どれも
「ブルー・オーシャン戦略だからこそ」
という要因には感じられないのだが、皆さんどうだろうか?

イノベーションのジレンマ」では、
破壊的イノベーションについては納得できた。
でも、このブルー・オーシャン戦略については、
結局読む前に持っていた疑問は解けなかった。

偉そうなこと書いたものの、社会人の教養として、
知っておいた方がよいと思います。
オススメ度は★3つです。
実現できるかどうかは別問題…

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感想メモ:傷はぜったい消毒するな

傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)
傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)
  • 発売元: 光文社
  • 価格: ¥ 882
  • 発売日: 2009/06/17

★★★★★

傷ができたら、消毒して、薬を塗ってガーゼや絆創膏をする。
何の疑いもなくやってきたことだが、
このことが、むしろ傷を悪化させている?

むしろ、傷は消毒せず、乾かさないことで、
痛まず、早く、きれいに治る。
しかも安価で簡便。

というショッキングな情報と、
画期的な傷の治療法「湿潤治療」について書かれている本。
※消毒と洗浄は違うので注意!水で傷を洗うのは必要。

◯湿潤治療とはどんなもの?

  1. すぐに傷が治る。
  2. 痛みもなくなる。
  3. 擦りむき傷も深い傷も熱傷も同じ方法で治療できる。
  4. 消毒薬も軟膏も不要。
  5. 最低限、水とラップと絆創膏があれば治療でき、極めて安価。
  6. 治療材料が軽くてかさばらない。
  7. 治療方法が簡単、簡便。

いいことだらけだ。
なぜそんな良い治療法が
広まっていないのだろう。
その謎については後半に書かれている。

◯消毒は要らない?

つまり問題は、いつ細菌が侵入するか、どこから侵入するかではなく、
細菌が増殖できる場(=感染源)があるかどうかだけなのである。

むしろ、消毒することで皮膚の細胞が損傷するし、何より、痛い。
もし痛い思いをしなくても、早くきれいに治るのであれば、
その方が絶対にいい。
消毒が痛みを引き起こしている…?

シャンプーや石けん、化粧についても
おもしろい説明がされている。
ぜひ読んで見てほしい。

◯乾かすから痛くなる、かゆくなる

280要するに患部を空気から遮断すると痒みや痛みが軽減し、
空気に露出すると痒みや痛みが発生するのだ。
ここからわかるのは、傷の痛みや痒みの原因(の一つ)は「傷の乾燥」だった、
ということである。

火傷も水から上げると痛くなるのは、
そういうことなのか?
湿潤治療をすると、火傷の痛みも抑えられるのだという。
驚き!

当たり前と思って暮らしていて、
もう技術も確立されていると思っていたところに、
まだこんなにも未開拓な部分があるとは!
しかも、生活を大きく変えてしまうようなことが!

ということで、ぜひ一読し、自分で判断して欲しいです。
オススメ度は★5つです!

・著者のサイトはこちら
新しい創傷治療

・動画による説明はこちら

実際に傷を作って実験された方の記録はこちら。すごい!

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感想メモ:ハーバードで教える人材戦略

ハーバードで教える人材戦略―ハーバード・ビジネススクールテキスト
  • 著者: M. ビアー , P.R. ローレンス , R.E. ウォルトン , B. スペクター , D.Q. ミルズ
  • 発売元: 日本生産性本部
  • 発売日: 1990/09

★★★☆☆

HRM(Human Resource Management)、つまり人事システムは
経営にとっても大事なものなんですよ、ということを初めて説いた本。

出版から30年以上経った現在でも未だ色あせることのない、
間違いなく永遠の名著といえる。

あらすじで読む 世界のビジネス名著に書いてあったので実際に読んでみたのだが、
教科書的に書かれているので、決して読みやすくはない。
「ああアレ?読んだよ?」と言いたいだけちゃうんか、
という人は手にとってはいけない。

出版から30年経っても読まれているということは、当時は画期的であっても
今としては「当たり前のこと」として定着している、ということでもある。
当時は「Japan as No.1」という時代だったので、
「日本の人事システムを見習え!」的な部分もあり(終身雇用とか)、
読んで違和感は特にない。

が、もうちょっと噛み砕いて書いてくれたものの方が
取っつきやすくて好みです、というのが軟弱ものの私の意見です。
内容についてほとんど触れてなくてすみません。

すばらしい本なんだと思いますが、私にはまだ早かった。
という意味で、私のオススメ度は★3つです。
教養として知っておきたいのなら、
あらすじで読む 世界のビジネス名著のまとめで十分な気がします。

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感想メモ:あらすじで読む 世界のビジネス名著

あらすじで読む 世界のビジネス名著
あらすじで読む 世界のビジネス名著
  • 発売元: 総合法令出版
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2004/07/23

★★★★☆

世界的に有名なビジネス書が28冊、「あらすじ」という形で
コンパクトに紹介されている。

ここで紹介されている本28冊全部目を通そうとしたら、日が暮れる。
教養として概要を知っておくということを目的とするなら、
ざっと内容を俯瞰できる、こういうまとめ本はとても有効だ。

ジャンルは大きく3つに分けられている。
ジュニアスタッフ層向け、ミドルスタッフ層向け、シニアスタッフ層向け。
当然、後ろの方に行くほど専門的になる。

何はともあれこれは読んどけ!のジュニアスタッフ層向けは次の2冊。

同意なのだが、これを両方とも読んでる人って、どれぐらいの割合なんだろう。
あと、個人的にはマッキンゼー流図解の技術も加えていい気がする。

ミドルスタッフ層向けからは、どんどん激しくなっていくので、
関係が深いところから読んでみると良いのではなかろうか。

読まないまでも、
「大体こんなことが書いてあったなぁ」
とわかっているということは結構大事。

一回通読しても、内容を全部忘れてしまうよりは、
この「あらすじ」を何回か斜め読みして、
なんとなく覚えている方が絶対実用的。

ということで、一度読むというより、置いておいて
パラパラと参照すると言う使い方が良さそう。
借りるというよりも買う本かな。
オススメ度は★4つです。社会人なら持っていていい本です。
知っているようで知らない 法則のトリセツも合わせてオススメ。

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感想メモ:知っているようで知らない 法則のトリセツ

知っているようで知らない 法則のトリセツ
知っているようで知らない 法則のトリセツ
  • 著者: 水野 俊哉
  • 発売元: 徳間書店
  • 価格: ¥ 1,260
  • 発売日: 2009/02/26

★★★★☆

「○○の法則」というようなものは、使えることが認められているからこそ、
今日まで生き残っている、ということが多い。
例えば2:8のパレートの法則や、
フレームワーク、と言い換えてもいいだろう。
だから、知っておいて損はないよね、と。アグリーです(←偉そう)

知らなかったもの、名前だけで中身が良くわかってなかったものを、
いくつかメモしておく。

  • ハロー効果:挨拶ではなく、背光効果。坊主好きなら袈裟まで気に入る
  • ピグマリオン効果:期待されると伸びる
  • バンドワゴン効果:人づてでほめる
  • 傍観者効果:誰かやるでしょ
  • エメットの法則:先延ばしした仕事は倍の労力がかかる
  • マニャーナの法則:明日やるよ
  • ピークエンドの法則:終わりよければ美化される
  • ホフスタッターの法則:作業は思ったより時間がかかる
  • SMARTの法則:Specific(具体的),Measurable(計測可能),Achieveble(同意できている), Relevant(現実的),Timing(明確な期日)
  • アイビー・リー式:Todo管理。明日やる6個のことを書き出し、当日は順にやっていく
  • プロスペクト理論:人は間違える。ヒューリスティクス
  • バーナム効果:それ私のことだ!当たってる!
  • ジョハリの窓:すごい!当たってる!なんでわかるの!
  • フォールス・コンセンサス:え?オレ普通だよ?

自分がやっていたのがアイビー・リー式っぽいのだと知った。
また、「影響力の武器」の6つの効果は繰り返し出てくる。
返報性、一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性。
まずはこれをぜひ読んでおくべき。

こういう法則を色々知っておくと、似たような状況に出会ったときに、
「ああ、アレだな」と考える余裕ができる。
こういう引き出しは多い方がよいので、ぜひ一読をオススメします。
オススメ度は★4つです。

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感想メモ:英語と米語 その違いを読み解く

英語と米語―その違いを読み解く (丸善ライブラリー)
  • 著者: 大石 五雄
  • 発売元: 丸善
  • 発売日: 1995/11

★★★☆☆

アメリカ英語(以下米語)とイギリス英語(以下英語)は、
発音が微妙に違ったり、綴りが微妙に違ったり、と
素人にはわかりにくい差があったりして困る。

ただ、なんとなく

「イギリスって伝統を重んじるんだから、
英語がアメリカに渡って変化したんだろう」

と思っていたら、驚いたことにそうでもなかった。

例えば英語では、伸ばす「r」をあまり発音せず、
米語での「アとエの間の音」が「ア」に近くなる。
この違い、変化したのは、米語ではなく英語の方なのだそうだ。
まず19世紀のコックニー地方の方言で変化し、
それがイギリス全体に広がったとのこと。

一方、米語的な発音を、ビートルズが歌として
イギリスに持ち込んだりという流れもあるようだ。

米語と英語では綴りも色々違う。例えば以下のようなもの。

labor:labour
theater:theatre
defense:defence

これは、18世紀にウエブスターさんという甲殻類が好きそうな人が、
(←それはロブスター←自らによる丁寧なツッコミ)
英語からの米語の独立を唱え、提案したものが
取り入れられたものであるそうだ。
scheduleの発音が、英語では「シェジュール」に近いが
米語では「スケジュール」みたいになったのも、彼の提案であるそうだ。

そして、こういったアメリカにおける改革は、
イギリスに影響を与えることはなかったと。
アメリカが変わった部分も、当然あるのですな。

以下、小ネタ。

  • 「.」は米語ではperiodだが、英語ではfull stop
  • 米語のfirst name, family nameは、英語では Christian name, surname
  • OKはAll correctの意味のOll Korrectの略語という説
  • 英語はBBC、米語はABCのニュースキャスターあたりが 話すのがスタンダードとされる
  • アメリカ大西洋沿岸、南部では英語の影響が残っている。 なまりで、教養がないとみなされる

full stopとかsurnameとか、すごい基本的っぽいのに知らなかった…
他にも、言葉の細かい違いを挙げていけば、キリがないので触れない。

知識として、サラッと目を通しておいてもよいでしょう。
こういう違いを知らないと、失礼に当たる場面もあったりするのだろう。
今後、そんな場面に遭遇しないことを、信じてやまない。
オススメ度は★3つです。

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感想メモ:考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則
考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 2,940
  • 発売日: 1999/03

★★★★★

  • ピラミッド構造
  • 明快な文章を書く秘訣
  • ロジカルシンキングのベース

これ一冊で、文書、プレゼン資料作りはOK。
何冊も読むくらいなら、この本を繰り返し読んだ方がずっといい。
というほどすばらしい本。

と言いつつ、読み返してみたら、
忘れているところもあったので(ダメじゃん)、
思い出しがてらポイントを書いてみる。

  • ピラミッド構造:上位は下位グループの要約
  • トップダウン(演繹)とボトムアップ(帰納)
  • SCQ(Situation, Complication, Question)→A(Answer)
  • 順序:時間、構造、重要度
どのような文書であっても、30秒かけても文書の主旨が読み手に
伝わらないとすれば、その文書は書き直すべきだと言えるでしょう。

みんながこの本を読んで、そんな文書を書いてくれれば、
世の中の生産性は10倍くらい上がるのではないだろうか。
残念ながら、そんな世界は来ないのだろうけど。

社会人なら、と言わずとも学生の間に読んでおくと、
非常によいと思われます。
はい。残念ながら私は読んでませんでした。

ということで、オススメ度は文句なしの★5つです!

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感想メモ:ライフサイクル イノベーション

ライフサイクル イノベーション 成熟市場+コモディティ化に効く 14のイノベーション
ライフサイクル イノベーション 成熟市場+コモディティ化に効く 14のイノベーション
  • 発売元: 翔泳社
  • 価格: ¥ 2,100
  • 発売日: 2006/05/16

★★★☆☆

キャズム」のジェフリー・ムーアによる、イノベーション論。

テクノロジーは、導入、成長市場、成熟市場、衰退市場と
成熟化のライフサイクルをたどる。
一般的に「イノベーション」というと、その製品を作り上げるまでの
話と考えられているが、成長市場以降の市場においても、
様々なタイプのイノベーションがありますよ、
適切なものを選択して勝負していきましょう、というもの。

では、どうやって適切な土俵を選択すればよいのだろう?

戦略立案においては、コンプレックス・システム型で行くか、
ボリューム・オペレーション型で行くかという
質問に最初に答えなければならない。

消費者との取引を対象とするのがボリューム・オペレーション、
企業間の取引を対象とするのがコンプレックス・オペレーション。
ざっくり、BtoC、BtoBと考えるとわかりやすい。

そして、市場や製品について分析して、勝負する土俵を決めるという
プロセスを踏む。

特定の市場カテゴリーにおいて、
設定した期間内で、選択したイノベーション・タイプにフォーカスし、
競合他社よりはるかに優位な位置に立ち、
顧客やパートナーが競合他社を有効な選択肢とみなさなくなるようにする。

確かに、結果としてこれができればすばらしい。
問題は、どう実現するか…

「イノベーションに様々なタイプがある」というのは気づきだった。
14種類紹介されているが、理解できたとは口が裂けても言えない。
ちょっと私には難しかったので、オススメ度は★3つです。
イノベーション論に興味がある人は読んでみるとよいでしょう。
もしまだであれば、「イノベーションのジレンマ」の方を、
先に読んだ方がよいと思います。

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