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感想メモ:後世への最大遺物・デンマルク国の話

後世への最大遺物・デンマルク国の話 (岩波文庫)
後世への最大遺物・デンマルク国の話 (岩波文庫)
  • 発売元: 岩波書店
  • 価格: ¥ 525
  • 発売日: 1976/01

★★★☆☆

人生において、この世に何を遺すのか。

聞いたことがある問いかもしれない。
例えば7つの習慣で、ミッションステートメントの作り方として。
MIT石井教授も、講演の中で「自身の情熱の源は死だ」と言っていた。

とはいえ、日常で腰をすえて考えることは、
あまりないトピックかもしれない。
そんなトピックについて、内村鑑三の講演が2篇、収録されている。

それで何もかならずしも後世よひとが私を褒めたってくれいというのではない、
私の名誉を遺したいというのではない、
ただ私がドレだけこの世を愛し、ドレだけ私の同胞を思ったかという記念物を
この世に置いて往きたいのである、
すなわち英語でいうMementoを残したいのである。

金、事業、思想。
著述と教育。

講演で述べられているのはこういったものだ。
冒頭で述べたMIT石井教授は「思想」という答えだった。
あなたは、この世に何を遺したいだろうか。
たまにはお茶でもしながら考えてみましょうか。
オススメ度は★3つです。

私?そうですねぇ・・・

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感想メモ:業界再編NOW & FUTURE

業界再編NOW & FUTURE
業界再編NOW & FUTURE
  • 発売元: 日本経済新聞出版社
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2010/05/25

★★★☆☆

新興国ビジネス、環境ビジネス、ICT、制度・ボーダーなど
動きの大きい分野それぞれについて、キートピックが7個前後ずつ
紹介されている。

なんとなく聞いた事はあるけど意味は知らない単語や、
特に聞いたこともがいトピックについて、
概要や最近の動向を知ることができる。
2010年5月発行なので、情報の賞味期限は適宜判断して欲しい。

日本の消費者の中で「利便性消費」が最大多数を占めていることがわかっている。

安い方が良い、というのがトップではないのがなんとなく意外だった。
しかし、実は中国の消費者も同じ。特に上海は、利便性消費や
プレミアム消費の傾向がより強いそうだ。

他には、KPO(Knowledge Process Outsourcing)とか、
知らないことが色々書かれていて勉強になった。

より単純でマニュアル化しやすい業務を
BPOの対象業務として定義していることに対し、
KPOはより多くの判断を伴う業務のアウトソーシングといえる。

特殊リサーチ、分析、そして経営管理、戦略立案なども対象になるようだ。
インドの受注が盛んなようだが、日本は英語がイマイチであり、
求めるクオリティが不要に高かったりするので、ほとんど拡がっていないと。

しかし、こういう本をおもしろいと思ってしまうとは、
オトナになってしまったなぁ、と思った。
オススメ度は★3つです。

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感想メモ:成功者の地頭力パズル

成功者の地頭力パズル あなたは、ビル・ゲイツの試験に受かるか?
成功者の地頭力パズル あなたは、ビル・ゲイツの試験に受かるか?
  • 発売元: 日経BP社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2009/11/19

★★★☆☆

マイクロソフトやGoogle、あるいはコンサル会社などの
採用試験で出題される、いわゆるフェルミ推定的なクイズが
全45問載っている。例えばこんな感じ。

「南へ1キロ、東へ1キロ、北へ1キロ進むと出発点に戻るような地点は
地球上に何ヶ所あるか」

ああ、知ってるよ。北極でしょ?
と思ったあなたは甘い。だって「何ヶ所」だもの。
これは答えを見てビビった。あなたもビビってください。

こういう問題を考える時の頭の使い方をしたのは、
学生の頃、特に小学生か中学生の頃だった気がする。
それ以上になると、純粋な知恵というより、
知識が必要とされる問題が増えるからだ。

とはいえ、大人の常識レベルは求められる。
つまり、手強いということだ。

論理パズルでは、欠落した情報は誰も与えてくれません。
だから、「何か欠けた情報があることを前提に、ありうる筋書きを
展開しなければならない。そうすれば、欠けた情報があっても
明瞭な結果に到達するだろう」という心構えができていないと、
突破口は見つからないということなのです。

これは何も論理パズルだけの話ではなくて、
現実世界のほとんどの問題に対して当てはまる。

おもしろいのだが、1問ずつ時間をかけて考えていくと、
読み終わるのにべらぼうに時間がかかるので、
後半はすぐ答えを見たりしてしまった。
でもおもしろかった。オススメ度は★3つです。
頭の体操にどうぞ。

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感想メモ:「情報創造」の技術

「情報創造」の技術 (光文社新書)
「情報創造」の技術 (光文社新書)
  • 発売元: 光文社
  • 価格: ¥ 777
  • 発売日: 2010/05/18

★★★☆☆

情報はインプットするだけでは意味がない。
その情報をどう組み合わせ、加工してアウトプットするかが重要だ。
このことを編集と言うこともあるし、情報創造と言うこともある。

この創造する力が大きな武器になるのは言うまでもない。
言われたことをするだけではなく、作り出す力が必要だ。
このプロセスはセンスに任されがちで、できる人はできるし、
できない人はできないというのが私の印象。
では、どうすればその力が身につくのだろうか?

リクルートから中学の校長となった藤原博和氏は、
編集力を鍛える勉強を行っていた。(参考:「つなげる力」)
要するに、答えがないことでも、自分の頭で考える習慣をつけるということだ。

なによりも、内容を考えること、情報を創造することに
社員の能力を集中させるべきです。

それも、なるべくたくさん。

つまり、どうしたら面白い企画がたくさん出せるのかというと、
面白いかどうかは人が決めることであり、自分では面白いと思わない企画でも、
とにかくたくさん出すべきだということなんです。

情報の受信だけではなく、発信を意識すること。
そして行動すること。

私はアンテナよりも情報を可視化する装置の方が大切だと思っています。
だから、重要なのは、アンテナを張り巡らすことなはなくて、
アンテナに引っかかった情報をもとに実際に行動を起こすかどうかじゃないでしょうか。

紹介されているのは、あくまで著者のやり方。
人それぞれ、その人に合うやり方というのがあるはず。
こういった本を読むことは、何かしらのヒントになるだろう。

☆やってみようと思ったこと

ツイッターも単にだらだらつぶやくのではなく、
今日したこと、見て感じたこと、そしてなぜそうしたのか、
そう感じたかを、140字でまとめる訓練に使えばいいかもしれません。

インプットはアウトプットを意識すること、そして行動すること。
色々な本に共通して書かれていることだけに、心がけようと感じた。
オススメ度は★3つです。

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感想メモ:仕事の哲学

仕事の哲学 (ドラッカー名言集)
仕事の哲学 (ドラッカー名言集)
  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2003/08/01

★★★★☆

もしドラで妙なブームになっているドラッガー先生。
以前から有名だったわけだが、裾野が広がった今日この頃。
この本は、1ページに3~5行ずつドラッガー先生の言葉が紹介されている。
字数的にはかなり少ないので、どんどん読んでいける。

しかしなめてはいけない。
やはりドラッガー先生の本は、読むタイミングによって
得られるものが違うのだ。
学生時代に読むのと、社会人に成りたてで読むのと、
何年か働いてから読むのと、何十年か働いてから読むのでは
響き方が違うはず。

ということで目を通し直してみたら、頷けることが増えていた。
以前は、書いてあることに自分のレベルが達していなかったのだな。

仕事の関係に人間関係がからむと、時間はさらに必要になる。
急げば摩擦を生じる。あらゆる組織が、仕事の関係と
人間関係の複合の上に成り立つ。
ともに働く人が多いほど、その相互作用だけで多くの時間が費やされる。
仕事や成果や業績に割ける時間がそれだけ減る。

他にも、時間管理、イノベーション、リーダーシップなど、分野は様々。
仕事を始める前の学生さんも、始めたての新入社員も、
しばらく経っている人も、全員にオススメできる本。
読むタイミングによって、そのときに応じたヒントが得られるでしょう。
「ドラッガー」って言いたいだけの人も、そうでない人もぜひ一冊。
オススメ度は★4つです。良い本です。

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感想メモ:「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った?

★★★☆☆

数学の参考書「よくわかる」シリーズの著者細野氏の本。
彼の本を読んだ受験生は現在社会人になっているだろうから、
売れるのも頷ける。

年金の話も、わかっているようであまりわかっていないまま
過ごしている気がする。
実際、読んでみて知らない話がそこそこあった。

  • 未納は第1種の人だけの話なので
    (他は天引きなので考えてみれば当たり前)、
    年金支払者全体の5%程度。
    なので、破綻はしないっぽい。
  • 2009年から、国民年金の支払の1/2を税金から賄っている
  • 所得代替率(年金が現役世代の手取り給料の何%になるか)は
    世代間であまり変わらないように調整されている。

年金の話とは離れるが、以下の話は
元予備校教師の言葉だけに重みがある。

このように、本などの情報に接した時には、
その後の「復習の仕組み」をどのように作っておくのか
というところまでキチンと考えられるかどうかで、
学習効率は大幅に変わってくるものなのです!

私はこうやって書評を書いているので大丈夫。
でも、後で見返すとあんまり覚えてなかったりする。
人間の忘却力はあなどれないな!

年金の話の他にもサブプライムローンの話も
図入りでわかりやすく説明されている。
昔読んだ参考書とテイストが同じで懐かしかった。
オススメ度は★3つです。

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感想メモ:第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい

第1感  「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい (翻訳)
第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい (翻訳)
  • 発売元: 光文社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2006/02/23

★★★★☆

・適応性無意識≒直感≠無意識

うまく説明できないけれども結構正しい、いわゆる直感。
そもそもどういうものなのか?
どんなときに働いて、どんなときに働かないのか?
間違うことはないのか?
そんなおもしろそうな話題がちりばめられている本。

この本では、直感のことを「輪切り」と表現している。

「輪切り」は、様々な状況や行動のパターンを、
ごく断片的な観察から読み取って瞬間的かつ無意識のうちに
認識する能力のこと。

一体頭の中で、何が行われているのだろうか?

実は、大量の情報を瞬時に処理するのではなく、
不要な情報を削って大事なところに集中しているようだ。
人は選択肢が多すぎると、逆に判断できなくなってしまうからだ。

プロスポーツ選手が体験するいわゆるゾーン体験で、
周りの音がなくなってボールしか見えなくなった、
というのは不要な情報を遮断する事で必要な情報への
集中を高めているのかもしれない。

直感は、分析的な思考よりもはるかに高速で判断する事ができる。
が、万能ではない。
真実に、ではなく経験に基づいているので、間違えるのだ。
直感(と思わしき判断)にも先入観が入り込むのだ。

個人的には、どうも左脳と右脳の働かせ方の違いな気がする。
しかし左脳と右脳について知らないはずがない著者が
このことについてほとんど触れていないことから考えると、
もっと複雑なプロセスなのかもしれない。

というように「直感」について様々な情報が書かれている。
著者は「天才!」「急に売れ始めるにはワケがある」のマルコム・グラッドウェル。
オススメ度は★4つです。さすが、おもしろかったです。

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感想メモ:新版 もっとこだわりの家がつくりたい!

新版 もっとこだわりの家がつくりたい!
新版 もっとこだわりの家がつくりたい!
  • 発売元: ごま書房新社VM
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2010/02/01

★★★☆☆

建築家が、どのように自分の家をリフォームしたか、
考え方や実際の建て替えプロセスを書いた、体験談。
自分の家でビフォーアフターをしたという感じか。

リフォームはそんなに何回も何回もするものではないから、
初めての状態で臨む人の方が多いと予想する。
当然、事前に知識を仕入れておいた方が良いだろう。

例えば。

家を建て替えるには、どういう選択肢があるのだろうか?

  • 新築かリフォームか
  • ハウスメーカーか工務店か設計事務所か

どういうところに力を入れるべきなのか?
・間取り、収納など

他にも、コストの内訳も明らかにされていて参考になる。

リフォームをしようかと思っている人が
事前に読むと参考になるでしょう。
オススメ度は★3つです。

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感想メモ:梅干と日本刀

完本 梅干と日本刀―日本人の知恵と独創の歴史 (祥伝社黄金文庫)
完本 梅干と日本刀―日本人の知恵と独創の歴史 (祥伝社黄金文庫)
  • 発売元: 祥伝社
  • 価格: ¥ 900
  • 発売日: 2000/02

★★★☆☆

日本古来から伝わってきた知恵には、
もっと評価されるべきものが数多くある。
欧米カッコいい、だけではなくて日本の良いところも
きちんと見直しましょう、という本。

生活が西洋化して、廃れてきてしまっているものも多いが、
その中には良さがあるものも多い。
日本建築や土木工事の技術や、調理や保存食など、
教養として知っておくとよいと感じたことが多かった。

Amazonでなか見検索ができるので、
目次だけでもパラパラと見てみるとよいと思う。
Amazon.co.jp: 本: 完本 梅干と日本刀―日本人の知恵と独創の歴史 (祥伝社黄金文庫)

コロッケはスペインから伝わったもので、
がんもどきはコロッケをアレンジして作られたもの
というのは印象に残った小ネタだった。

オススメ度は★3つです。
時間があれば読んでおくとよいと思います。

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感想メモ:医薬品クライシス

医薬品クライシス―78兆円市場の激震 (新潮新書)
医薬品クライシス―78兆円市場の激震 (新潮新書)
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 735
  • 発売日: 2010/01

★★★☆☆

製薬業界が大きな市場を持つことはなんとなく知っている。
しかし、どんな問題があるのかなどは、あまり知らないものだ。
そんなあなたに一歩進んだ知識を与えてくれる本。

ペニシリンの例は行きすぎだが、昔の新薬開発に比べて
現在の新薬開発は、精度も効率もかなり上がっている。
その一方、重要な分野での薬はかなりの部分が開発済みであり、
残っているのは重要だけれども開発が難しい分野に
限られてしまっているそうだ。

このことが、一発当たると年に数兆円という規模の売上が
可能となる一方で、一生研究しても一度も新薬を創り出せずに
終わる研究者の方が多いという現状につながっている。

盛んに進められている製薬会社の合併も、
莫大な開発コストを支えるだけの体力を持つため、
という側面が大きいようだ。

行政による対応も、医薬品に対する大きなファクターとなる。
例えば南アフリカでエイズが蔓延してしまったのは、
効果が証明されているエイズ治療薬の使用を認めようとしなかった
過去の大統領によるところも大きいようだ。

彼は「西洋の会社が作った医薬などは、
全てアフリカを害するための策略である」と公言し、
ドイツのメーカーによる抗HIV約の無償供与さえ拒絶した。

他にも、タミフルの副作用に関する一連の報道と規制の話は記憶に新しい。
これも、果たして本当に薬の副作用によるものなのか、怪しいようだ。

仮にすべての異常行動がすべてタミフルのせいで起こっていたとして、
異常行動による死の危険は四千万分の二十、すなわち約二百万分の一
ということになる。これは交通事故による死亡率二万分の一、
航空機事故による死亡率五十万分の一より遥かに低い値だ。

初期にタミフルを投与することで重篤化を防ぐという方針が、
日本における新型インフルエンザの死者が少ないという結果に
つながっている、と著者はいう。

業界の概要が理解できる本でした。
オススメ度は★3つです。

関連:


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